1 / 8
男爵家の娘モニカ
しおりを挟む
モニカには不満があった。元王子の父と、元伯爵令嬢の母から生まれた自分が男爵令嬢なのは何故なのか。もう年頃であると言うのに、茶会とやらに呼ばれたことがなければ、貴族の令嬢令息に会う機会があったとしても、遠巻きにされ、近くに来る人はいない。
その理由として、両親が昔やらかしたことに原因があると、言われたことがあるのだけれど。
モニカには理解ができない。何故そんな昔のことをずっと忘れずに恨みに思う人間が多いのか。
モニカには侍女がついていない。だから令嬢が着るようなドレスが着れず、自分で着れるような簡単なワンピースしかクローゼットには入っていない。母の侍女は実家の伯爵家から来ている侍女がいて、その侍女は母の代わりに、父の側にいることはあれど、モニカには見向きもしない。
両親とモニカの仲は良いとは言えない。母の実家の伯爵家が代替わりしてから、母は伯爵家に帰ることはなくなった。だからといって、モニカに興味はないらしく、その昔仲が良かった友人とやらに会いに行くばかりで娘はほったらかし。
父は、というと、彼はモニカを娘だとは思っていないらしい。それはモニカ自身も、納得している。だって、明らかに見た目が違う。母の見た目を継ぐでもなく、父にも似ても似つかない姿。ならば、父は母の不貞を疑うのは当然だ。
母は学生の頃、父の周りにいた男性達と、目眩く恋愛模様を繰り広げたと聞いている。母を巡って当時の高位貴族の令息達が、競争を繰り広げ、結果父が母を手に入れた。
当時第一王子だった父には母以外の婚約者がいた。彼女は公爵家のご令嬢で、今は西の辺境伯夫人となっている。
父は一代限りの男爵で、モニカは一応娘ではあるから男爵令嬢であるが、彼女が男爵位を継ぐことはできない。
モニカはこのままだと平民だ。だからこそ、頑張って貴族に輿入れしたいのに、全くその道筋すら立てないのだ。だって関わりがないから。
ならば、平民の子供を手懐けて、便利に使おうにも、両親が平民を毛嫌いしているせいで、その線も難しい。かくなる上は、と母の侍女が口にした、隣国の叔母に手紙を書く、というのを実行することにした。
母の妹のセリーヌ叔母さんは、婚約者を母に奪われてから、隣国の公爵家に嫁いだらしい。母は失敗し、叔母は成功した。モニカは意気揚々と手紙を書いた。母の侍女も、叔母を知っているらしく、「とても優しいお方なので、手紙を出せばすぐにでも迎えが来ますよ。」と太鼓判を押した。
モニカは期待してウキウキしながら返事を待った。
叔母から返事が来た時には歓喜した。隣国の公爵家に呼ばれたからだ。父がいまだに王子であったならば何らおかしなことではない。臣籍降下しても公爵家。自分だって母さえうまくやれば、公爵令嬢だった訳だから。
モニカは意気揚々と隣国へ乗り込んだ。気分はもう公爵令嬢になったよう。初めて会う従兄弟達にも思いを馳せる。
新しい環境で心機一転、幸せになる、と意気込んで。
その理由として、両親が昔やらかしたことに原因があると、言われたことがあるのだけれど。
モニカには理解ができない。何故そんな昔のことをずっと忘れずに恨みに思う人間が多いのか。
モニカには侍女がついていない。だから令嬢が着るようなドレスが着れず、自分で着れるような簡単なワンピースしかクローゼットには入っていない。母の侍女は実家の伯爵家から来ている侍女がいて、その侍女は母の代わりに、父の側にいることはあれど、モニカには見向きもしない。
両親とモニカの仲は良いとは言えない。母の実家の伯爵家が代替わりしてから、母は伯爵家に帰ることはなくなった。だからといって、モニカに興味はないらしく、その昔仲が良かった友人とやらに会いに行くばかりで娘はほったらかし。
父は、というと、彼はモニカを娘だとは思っていないらしい。それはモニカ自身も、納得している。だって、明らかに見た目が違う。母の見た目を継ぐでもなく、父にも似ても似つかない姿。ならば、父は母の不貞を疑うのは当然だ。
母は学生の頃、父の周りにいた男性達と、目眩く恋愛模様を繰り広げたと聞いている。母を巡って当時の高位貴族の令息達が、競争を繰り広げ、結果父が母を手に入れた。
当時第一王子だった父には母以外の婚約者がいた。彼女は公爵家のご令嬢で、今は西の辺境伯夫人となっている。
父は一代限りの男爵で、モニカは一応娘ではあるから男爵令嬢であるが、彼女が男爵位を継ぐことはできない。
モニカはこのままだと平民だ。だからこそ、頑張って貴族に輿入れしたいのに、全くその道筋すら立てないのだ。だって関わりがないから。
ならば、平民の子供を手懐けて、便利に使おうにも、両親が平民を毛嫌いしているせいで、その線も難しい。かくなる上は、と母の侍女が口にした、隣国の叔母に手紙を書く、というのを実行することにした。
母の妹のセリーヌ叔母さんは、婚約者を母に奪われてから、隣国の公爵家に嫁いだらしい。母は失敗し、叔母は成功した。モニカは意気揚々と手紙を書いた。母の侍女も、叔母を知っているらしく、「とても優しいお方なので、手紙を出せばすぐにでも迎えが来ますよ。」と太鼓判を押した。
モニカは期待してウキウキしながら返事を待った。
叔母から返事が来た時には歓喜した。隣国の公爵家に呼ばれたからだ。父がいまだに王子であったならば何らおかしなことではない。臣籍降下しても公爵家。自分だって母さえうまくやれば、公爵令嬢だった訳だから。
モニカは意気揚々と隣国へ乗り込んだ。気分はもう公爵令嬢になったよう。初めて会う従兄弟達にも思いを馳せる。
新しい環境で心機一転、幸せになる、と意気込んで。
220
あなたにおすすめの小説
最後のスチルを完成させたら、詰んだんですけど
mios
恋愛
「これでスチルコンプリートだね?」
愛しのジークフリート殿下に微笑まれ、顔色を変えたヒロイン、モニカ。
「え?スチル?え?」
「今日この日この瞬間が最後のスチルなのだろう?ヒロインとしての感想はいかがかな?」
6話完結+番外編1話
婚約者は一途なので
mios
恋愛
婚約者と私を別れさせる為にある子爵令嬢が現れた。婚約者は公爵家嫡男。私は伯爵令嬢。学園卒業後すぐに婚姻する予定の伯爵令嬢は、焦った女性達から、公爵夫人の座をかけて狙われることになる。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
真実の愛を見つけた王太子殿下、婚約破棄の前に10年分の王家運営費1.5億枚を精算して頂けます?
ぱすた屋さん
恋愛
「エルゼ、婚約を破棄する! 私は真実の愛を見つけたのだ!」
建国記念祭の夜会、王太子アルフォンスに断罪された公爵令嬢エルゼ。
だが彼女は泣き崩れるどころか、事務的に一枚の書類を取り出した。
「承知いたしました。では、我が家が立て替えた10年分の王家運営費――金貨1億5800万枚の精算をお願いします」
宝石代、夜会費、そして城の維持費。
すべてを公爵家の「融資」で賄っていた王家に、返済能力などあるはずもない。
「支払えない? では担保として、王都の魔力供給と水道、食料搬入路の使用を差し止めます。あ、殿下が今履いている靴も我が家の備品ですので、今すぐ脱いでくださいね?」
暗闇に沈む王城で、靴下姿で這いつくばる元婚約者。
下着同然の姿で震える「自称・聖女」。
「ゴミの分別は、淑女の嗜みですわ」
沈みゆく泥舟(王国)を捨て、彼女を「財務卿」として熱望する隣国の帝国へと向かう、爽快な論理的ざまぁ短編!
お飾り妻は天井裏から覗いています。
七辻ゆゆ
恋愛
サヘルはお飾りの妻で、夫とは式で顔を合わせたきり。
何もさせてもらえず、退屈な彼女の趣味は、天井裏から夫と愛人の様子を覗くこと。そのうち、彼らの小説を書いてみようと思い立って……?
本物の公爵令嬢
Na20
恋愛
幼い頃に交わした、大切な友達との約束。
その約束を胸に、ミレイアはつらい日々を過ごしていた。
公爵家の養子に迎え入れられたものの、家族からも婚約者からも受け入れられることはなかった。
そんなある日、学園に大国であるランカ帝国から一人の留学生がやってきて――
一話1~2千文字程度になります。
一日二回更新予定です。
この作品は以前投稿した【偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~】を加筆・修正したものです。
この作品の投稿後、以前の作品は取り下げ予定です。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる