元ヒロインの娘は隣国の叔母に助けを求める

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男爵家の娘モニカ

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モニカには不満があった。元王子の父と、元伯爵令嬢の母から生まれた自分が男爵令嬢なのは何故なのか。もう年頃であると言うのに、茶会とやらに呼ばれたことがなければ、貴族の令嬢令息に会う機会があったとしても、遠巻きにされ、近くに来る人はいない。

その理由として、両親が昔やらかしたことに原因があると、言われたことがあるのだけれど。

モニカには理解ができない。何故そんな昔のことをずっと忘れずに恨みに思う人間が多いのか。

モニカには侍女がついていない。だから令嬢が着るようなドレスが着れず、自分で着れるような簡単なワンピースしかクローゼットには入っていない。母の侍女は実家の伯爵家から来ている侍女がいて、その侍女は母の代わりに、父の側にいることはあれど、モニカには見向きもしない。

両親とモニカの仲は良いとは言えない。母の実家の伯爵家が代替わりしてから、母は伯爵家に帰ることはなくなった。だからといって、モニカに興味はないらしく、その昔仲が良かった友人とやらに会いに行くばかりで娘はほったらかし。

父は、というと、彼はモニカを娘だとは思っていないらしい。それはモニカ自身も、納得している。だって、明らかに見た目が違う。母の見た目を継ぐでもなく、父にも似ても似つかない姿。ならば、父は母の不貞を疑うのは当然だ。

母は学生の頃、父の周りにいた男性達と、目眩く恋愛模様を繰り広げたと聞いている。母を巡って当時の高位貴族の令息達が、競争を繰り広げ、結果父が母を手に入れた。

当時第一王子だった父には母以外の婚約者がいた。彼女は公爵家のご令嬢で、今は西の辺境伯夫人となっている。

父は一代限りの男爵で、モニカは一応娘ではあるから男爵令嬢であるが、彼女が男爵位を継ぐことはできない。

モニカはこのままだと平民だ。だからこそ、頑張って貴族に輿入れしたいのに、全くその道筋すら立てないのだ。だって関わりがないから。

ならば、平民の子供を手懐けて、便利に使おうにも、両親が平民を毛嫌いしているせいで、その線も難しい。かくなる上は、と母の侍女が口にした、隣国の叔母に手紙を書く、というのを実行することにした。

母の妹のセリーヌ叔母さんは、婚約者を母に奪われてから、隣国の公爵家に嫁いだらしい。母は失敗し、叔母は成功した。モニカは意気揚々と手紙を書いた。母の侍女も、叔母を知っているらしく、「とても優しいお方なので、手紙を出せばすぐにでも迎えが来ますよ。」と太鼓判を押した。

モニカは期待してウキウキしながら返事を待った。

叔母から返事が来た時には歓喜した。隣国の公爵家に呼ばれたからだ。父がいまだに王子であったならば何らおかしなことではない。臣籍降下しても公爵家。自分だって母さえうまくやれば、公爵令嬢だった訳だから。

モニカは意気揚々と隣国へ乗り込んだ。気分はもう公爵令嬢になったよう。初めて会う従兄弟達にも思いを馳せる。

新しい環境で心機一転、幸せになる、と意気込んで。
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