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召喚聖女
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聖女を召喚したのは百年振りだという。マユを召喚したのは前の聖女が役目を降りたからだという。違う、降りてもいいように、だったかな。その人は何だっけ、他に重要な役目があって、聖女との両立が難しいとかで、聖女を辞めることになったとか。
前の聖女とやらには、未だに会えていない。お付きの人に聞いても、懐かしそうな顔をされて、「寂しいですよね。」とか言われただけだ。
寂しいも何も、会ったことがないから、会って聖女の仕事のこととか聞きたかったのに。
何故かマユの周りにいた男達も、前の聖女に会うことに難色を示した。マニュアルとやらを渡して、「ここに全て書いてあるから前の聖女にお会いできなくても何とかなるだろう。」と。それから補佐として、彼女が来たのだった。
マユは彼女に支えられて何とか聖女の業務をやり遂げた。とはいえ、難しいところは全て彼女にして貰っちゃったんだけど。彼女がしたこと全てマユの手柄になって、良いのかな、と悩んだ日はあったものの、彼女が前の聖女様もそうでした、と言うから、じゃあいいのか、って。
前の聖女様について聞く人達は皆同じ反応だった。皆嬉しそうな顔をして「素晴らしい方です。」と尊敬してる顔を浮かべている。そんなに凄い方だからなのか、何か制約でもあるのか、マユが会うことは許されなかった。
聖女に会うことは諦めたものの、マユが会えない人がもう一人。この国の王太子殿下、つまり第一王子。第二王子のイーサンの兄、と言う訳ではないらしい。
第一王子はマユが来る前には既に亡くなっていて今の王太子は、公爵家からの養子らしい。イーサンがいるのに、養子としたことで、少し揉めたらしいがイーサンのお母さんが王太子を支持したらしくて、イーサンはそれに不満を漏らしていた。
イーサンはマユから見ても、いい王様になれるんじゃないかな。だって優しいし、頭も良いし。元々の王子の血なんだったら、公爵家より正統派なんでしょう?聖女が口添えしたから考え直してくれるかな?と提案しても、イーサンは少し驚いたものの、マユの頭に手を置いて、微笑んだだけだった。
「マユはそんなこと気にしなくて良いんだよ。」
イーサンはそう言っていたけど、マユの周りにいた他の人、アレンやグレイズ、リアンの目の色が変わったのがわかった。
やっぱり皆気にしていたんだって、何だか凄く嬉しくなった。だっておかしいもの。国王様だって、親戚の子より自分の子の方が可愛いでしょう?イーサンはきっと心配するだろうから、私を含めて皆でイーサンを王太子にする為に、動き出そうと決意した。
でも具体的に何をするかってなった時に、グレイズが待ったを掛けた。
「直接、聖女様と殿下が動くのは危険です。前の時のように潰されかねない。第一王子殿下の時のことを、知らない訳ではないでしょう?」
イーサンも含め皆顔を曇らせたけれど、マユに詳細を教えてくれる人は誰もいない。え、どういうこと?
それからはグレイズが主体で話は進んだものの、皆危険だから、とマユには何も言ってくれなかった。
前の聖女とやらには、未だに会えていない。お付きの人に聞いても、懐かしそうな顔をされて、「寂しいですよね。」とか言われただけだ。
寂しいも何も、会ったことがないから、会って聖女の仕事のこととか聞きたかったのに。
何故かマユの周りにいた男達も、前の聖女に会うことに難色を示した。マニュアルとやらを渡して、「ここに全て書いてあるから前の聖女にお会いできなくても何とかなるだろう。」と。それから補佐として、彼女が来たのだった。
マユは彼女に支えられて何とか聖女の業務をやり遂げた。とはいえ、難しいところは全て彼女にして貰っちゃったんだけど。彼女がしたこと全てマユの手柄になって、良いのかな、と悩んだ日はあったものの、彼女が前の聖女様もそうでした、と言うから、じゃあいいのか、って。
前の聖女様について聞く人達は皆同じ反応だった。皆嬉しそうな顔をして「素晴らしい方です。」と尊敬してる顔を浮かべている。そんなに凄い方だからなのか、何か制約でもあるのか、マユが会うことは許されなかった。
聖女に会うことは諦めたものの、マユが会えない人がもう一人。この国の王太子殿下、つまり第一王子。第二王子のイーサンの兄、と言う訳ではないらしい。
第一王子はマユが来る前には既に亡くなっていて今の王太子は、公爵家からの養子らしい。イーサンがいるのに、養子としたことで、少し揉めたらしいがイーサンのお母さんが王太子を支持したらしくて、イーサンはそれに不満を漏らしていた。
イーサンはマユから見ても、いい王様になれるんじゃないかな。だって優しいし、頭も良いし。元々の王子の血なんだったら、公爵家より正統派なんでしょう?聖女が口添えしたから考え直してくれるかな?と提案しても、イーサンは少し驚いたものの、マユの頭に手を置いて、微笑んだだけだった。
「マユはそんなこと気にしなくて良いんだよ。」
イーサンはそう言っていたけど、マユの周りにいた他の人、アレンやグレイズ、リアンの目の色が変わったのがわかった。
やっぱり皆気にしていたんだって、何だか凄く嬉しくなった。だっておかしいもの。国王様だって、親戚の子より自分の子の方が可愛いでしょう?イーサンはきっと心配するだろうから、私を含めて皆でイーサンを王太子にする為に、動き出そうと決意した。
でも具体的に何をするかってなった時に、グレイズが待ったを掛けた。
「直接、聖女様と殿下が動くのは危険です。前の時のように潰されかねない。第一王子殿下の時のことを、知らない訳ではないでしょう?」
イーサンも含め皆顔を曇らせたけれど、マユに詳細を教えてくれる人は誰もいない。え、どういうこと?
それからはグレイズが主体で話は進んだものの、皆危険だから、とマユには何も言ってくれなかった。
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