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不機嫌な嫁とよくわかってない俺
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不機嫌を隠そうとしない嫁を見るのは久しぶりだ。
「さっきの人に何か言われたのか?」
すぐ後ろから声をかけてみるが、返事はない。珍しい。この世界に来てから、男性相手には、俺も含めて、苛立つ様子を見せることもたまにはあったが、女性には気分良くしていたのに。
「大丈夫か?」
疲れたのかもしれないな。いろんな人に会ったから。
俺に話すのも面倒なんだろ。まあ、いいや。嫁が食事の用意を始めたから、後で自分もキッチンを使わせてもらおう、と思っていたら、
「作りすぎたから、食べるなら…」
と言われた。
「食べます!」
泣きそう。最近涙もろい。
かなこの手料理は久しぶりで嬉しい。
あっちの世界では完全に自業自得だけど。
当たり前だけど、「かなこと一緒にご飯食べると美味しいなあ。」と呟くと、「さっき、断ったから。」と言われた。
ああ、気にしてたのか。いいのに。
「気分良くなった?」
嫁の表情から怒りの感情はなくなったみたい。そのかわり、少し寂しげに見える。どうしたのだろう。
「貴方は、残念だったでしょうね。」
嫁にそう言われて、よく意味がわからないでいると、「だって好きでしょう?ああいうゆるふわ系。」と言う。
ん?ゆるふわ系?
「何の話?ご飯のこと?」
ゆるふわ系のご飯ってどゆこと?
俺が話を聞いていないと思ったのか、ご飯を手のひらで隠すようにして、
「さっきの女の子、ゆるふわ系だったでしょう。」と言う。
女の子……女…の…子?
「いや、覚えてない。」
正直嫁の顔しか見てなくて覚えていなかった。それを正直に言うと、最初は信じて無さそうだったけれど、何回か、答え合わせをされて、最後には信じてもらえた。
嫁のご飯が美味しくて、たくさん食べてしまったけれど、そのあとは、落ち着いたようで、後片付けをしたあとに、回復魔法をかけてくれたりした。
村人の俺は回復魔法なんて使えないから、嫁の肩や腰をマッサージする。寝室には入れてもらえなかったけれど、今日の嫁は優しくて、感謝しっぱなしだった。
嫁の回復魔法のおかげで、ぐっすり眠れた。嫁は自分の力で回復魔法をかけられるなら、いいが、俺だけ楽にしてもらうなんて、わるいことしたな、と反省していた。
お風呂も湯の入れ方を教えてもらって、今日はいいことづくしだな、と思う。つくづく自分が一人で生きるのは難しいと自覚した。しかし、そうも言っていられない。最後には離れなくてはいけない。かなこのために自分でも出来ることは限られている。できることさえしなくて何が夫だ。
さあ、寝るぞ、と硬いベッドに入ってウトウトしていると、急に思い当たった。
あれ?嫁のあれって、まさか……いや、まさかな。まさか……あれ?
あれって、嫉妬ってやつでは?
さっきまでの眠気がどこへやら、急に目が冴えてしまって、まだ、信じきれないがたぶん、そう言うことと思う。
たしかに、俺の好みは、ゆるふわ系。だから、かなこが好きだったし、結婚した。浮気相手も全てゆるふわ系だったが、それは見た目がそうなだけで、性格はどの子も肉食系だった。
異世界に来てから必死だったのもあるが、異世界の服って、露出が高すぎて見られない。かなこは、ちゃんと隠しているが。俺は、言えたことではないと思うが、かなこには露出の多い服を着て欲しくない。かなこ以外の女性に目が行くことさえないので、はっきり言えないが、さっきの女の子達を思い出そうとするより、かなこに嫉妬されたと考える方がドキドキする。
ぬか喜びになるのだろうな。でもチャンスを貰えるのなら、もう絶対に浮気はしないし、かなこだけを愛すると誓う。誓いなら結婚の時に一度して、裏切ってはいるのだけど。
悶々と考えてしまって、寝つきは過去最悪に悪かったのに、凄く良い気分で目が覚めた。今日のかなこは、朝ごはんを作ってくれた。めちゃくちゃ嬉しいけれど、調子に乗らないようにしよう。一緒に食べて顔がにやけるのは許してほしい。かなこはいつも通り。
後片付けをする。自分に厳しくする。今更感はすごいけど。
今日は、またレベルアップに取り組む。レベルが一気に上がる時期は過ぎたものの、中には大器晩成型がいるので、あまり気にかけない方が良い、て人に言われ、心が晴れたような感じ。
かなこは臆することなくどんどん森へ入って行くので、迷わないようについて行く。ここで、置いてかれたら確実に死ぬ。かなこはなんだかんだいいながら、俺を気にしてくれているようで、進むたびに何度も振り返ってくれた。
俺はそれを、俺に対する情があるからと結論付けたが、知らない方が幸せな理由だった。
かなこは知っていたのだ。この森は何の隠れ家なのか。かなこはこれに乗りたくて、この森を訪れる決意をしたのだ。
「さっきの人に何か言われたのか?」
すぐ後ろから声をかけてみるが、返事はない。珍しい。この世界に来てから、男性相手には、俺も含めて、苛立つ様子を見せることもたまにはあったが、女性には気分良くしていたのに。
「大丈夫か?」
疲れたのかもしれないな。いろんな人に会ったから。
俺に話すのも面倒なんだろ。まあ、いいや。嫁が食事の用意を始めたから、後で自分もキッチンを使わせてもらおう、と思っていたら、
「作りすぎたから、食べるなら…」
と言われた。
「食べます!」
泣きそう。最近涙もろい。
かなこの手料理は久しぶりで嬉しい。
あっちの世界では完全に自業自得だけど。
当たり前だけど、「かなこと一緒にご飯食べると美味しいなあ。」と呟くと、「さっき、断ったから。」と言われた。
ああ、気にしてたのか。いいのに。
「気分良くなった?」
嫁の表情から怒りの感情はなくなったみたい。そのかわり、少し寂しげに見える。どうしたのだろう。
「貴方は、残念だったでしょうね。」
嫁にそう言われて、よく意味がわからないでいると、「だって好きでしょう?ああいうゆるふわ系。」と言う。
ん?ゆるふわ系?
「何の話?ご飯のこと?」
ゆるふわ系のご飯ってどゆこと?
俺が話を聞いていないと思ったのか、ご飯を手のひらで隠すようにして、
「さっきの女の子、ゆるふわ系だったでしょう。」と言う。
女の子……女…の…子?
「いや、覚えてない。」
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嫁のご飯が美味しくて、たくさん食べてしまったけれど、そのあとは、落ち着いたようで、後片付けをしたあとに、回復魔法をかけてくれたりした。
村人の俺は回復魔法なんて使えないから、嫁の肩や腰をマッサージする。寝室には入れてもらえなかったけれど、今日の嫁は優しくて、感謝しっぱなしだった。
嫁の回復魔法のおかげで、ぐっすり眠れた。嫁は自分の力で回復魔法をかけられるなら、いいが、俺だけ楽にしてもらうなんて、わるいことしたな、と反省していた。
お風呂も湯の入れ方を教えてもらって、今日はいいことづくしだな、と思う。つくづく自分が一人で生きるのは難しいと自覚した。しかし、そうも言っていられない。最後には離れなくてはいけない。かなこのために自分でも出来ることは限られている。できることさえしなくて何が夫だ。
さあ、寝るぞ、と硬いベッドに入ってウトウトしていると、急に思い当たった。
あれ?嫁のあれって、まさか……いや、まさかな。まさか……あれ?
あれって、嫉妬ってやつでは?
さっきまでの眠気がどこへやら、急に目が冴えてしまって、まだ、信じきれないがたぶん、そう言うことと思う。
たしかに、俺の好みは、ゆるふわ系。だから、かなこが好きだったし、結婚した。浮気相手も全てゆるふわ系だったが、それは見た目がそうなだけで、性格はどの子も肉食系だった。
異世界に来てから必死だったのもあるが、異世界の服って、露出が高すぎて見られない。かなこは、ちゃんと隠しているが。俺は、言えたことではないと思うが、かなこには露出の多い服を着て欲しくない。かなこ以外の女性に目が行くことさえないので、はっきり言えないが、さっきの女の子達を思い出そうとするより、かなこに嫉妬されたと考える方がドキドキする。
ぬか喜びになるのだろうな。でもチャンスを貰えるのなら、もう絶対に浮気はしないし、かなこだけを愛すると誓う。誓いなら結婚の時に一度して、裏切ってはいるのだけど。
悶々と考えてしまって、寝つきは過去最悪に悪かったのに、凄く良い気分で目が覚めた。今日のかなこは、朝ごはんを作ってくれた。めちゃくちゃ嬉しいけれど、調子に乗らないようにしよう。一緒に食べて顔がにやけるのは許してほしい。かなこはいつも通り。
後片付けをする。自分に厳しくする。今更感はすごいけど。
今日は、またレベルアップに取り組む。レベルが一気に上がる時期は過ぎたものの、中には大器晩成型がいるので、あまり気にかけない方が良い、て人に言われ、心が晴れたような感じ。
かなこは臆することなくどんどん森へ入って行くので、迷わないようについて行く。ここで、置いてかれたら確実に死ぬ。かなこはなんだかんだいいながら、俺を気にしてくれているようで、進むたびに何度も振り返ってくれた。
俺はそれを、俺に対する情があるからと結論付けたが、知らない方が幸せな理由だった。
かなこは知っていたのだ。この森は何の隠れ家なのか。かなこはこれに乗りたくて、この森を訪れる決意をしたのだ。
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