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精霊王の娘とゴミ ギルド受付嬢の言
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私が冒険者ギルドの受付嬢として働くようになり、もう数年たつ。その間、勇者やら剣士やら英雄やら、名のある人がたくさんきた。最初こそ、ミーハー丸出して喜んでいたが、どの人も、人格はお世辞にも良いとは言えず、偉そうで傲慢で感じが悪かった。あまり期待するのは辛くなるからやめようと、最近はどんな人が相手でも特に騒がずに、全て流れ作業になっていた。
だから、精霊王の娘なんてレアキャラに最初は気づかなかった。二度見して、ようやく、わかった。その方はおっとりしていて、可愛らしい人だった。
精霊王の娘らしく、後光がさしていたし、背景に薔薇が見えたし、妖精たちをたくさん連れていたし、レベルなんて、はかるでもなく、素晴らしいことはわかりきっていた。
かなこさんと言う、ちょっと変わった名前で、でもとてもお似合いで、私も改名しようかしら、と思っていると、奴があらわれた。実力差は装備でも見た目でもわかるぐらい貧相だった。
自分が弱いと言うのをわかっているのに、精霊王の娘の従者ならまだしもパートナーだと、言う。この時点で私は怒りがふつふつと湧いていたのだが。
かなこさんを呼び捨てにしている?たかが、レベル9の村人が、何様のつもりだ!かなこさんは優しいから、村人のことを気にして世話をしてやっているみたいだが、それを当たり前のように受け取るこの男が嫌いだ。
かなこさんの装備はシンプルなのに、強いのが不思議で、左手の薬指に輝く指輪を見ても何のアイテムかわからないでいた。「それは何のアイテムなのですか?」「え?ああ、これ?これはアイテムではなくて…そうねぇ、契約の指輪かしら。あの人とお揃いなのだけど。」
そう言いながら寂しそうに村人を見ている。あんなゴミとお揃い…え?かなこさんの表情で、わかってしまった。もしかして、いや、もしかしなくても、そう言うこと?
あいつは契約の指輪と言うアイテムで、かなこさんを縛っているのね。きっとあの指輪は、村人が死ぬまで、取れないに違いない。私が殺してあげましょうか、と言う言葉が口から出そうになって、ギリギリで止まった。
「もう、あの人は覚えていないかもしれないわね。」私に何も言わせないようにニッコリ笑う。私はそれ以上二人に近づくのを断念した。どうやら立ち入られたくないみたいだし、精霊王の娘なら、やろうと思えば、村人なんて簡単に処理できるだろう。なのに、しないってことは、何か理由があるのだと、理解した。私は憧れているだけの何も知らない第三者だ。理由を話す義理などない。
まあ、それにしても、私があの男をゴミ扱いすることに変わりはない。ひとつだけ、褒めるところがあるとしたら、私に色目を使わないことかしら。
女と見るとしつこいぐらい、言い寄ってくる脳筋が多い中、レベルが低いことによるのか、謙虚な態度で、話を聞くところは、唯一好感が持てる。彼だって、精霊王の娘に近づかなければ、私の受ける印象だって変わっただろう。
そう思えば、この男だってかわいそうなやつなのかも。辛くあたられることはこの先にもあるだろう。少しくらい優しくする?……いや、無理。顔を見るとどうしても腹が立ってしまう。何故?何か女の敵な感じがするのよね。私は勘が強い方だから、当たっている筈。
だから、やっぱり呼び名はゴミでいいか。精霊王の娘と一緒にいなければ、こんなに気にならなかっただろうし、すっぱり忘れてしまおう。そう決意した意味もなく、既に顔すら思い出せなくなっていた。勿論、かなこさんはバッチリ覚えている。
奴の左手の薬指には、お揃いの指輪ははめられていなかった。だから、かなこさんは悲しそうだったのだろうか。それとも他に事情があったのか。寂しそうなかなこさんの顔を忘れることが出来ず、ゴミの顔を忘れてしまったにもかかわらず、考えてしまう。精霊王の娘と言うレアキャラでも、うまくいかないことはあるのだ。不思議だが、同じ人間なのだと安心する自分がいる。精霊王に叱られるかしら。
だから、精霊王の娘なんてレアキャラに最初は気づかなかった。二度見して、ようやく、わかった。その方はおっとりしていて、可愛らしい人だった。
精霊王の娘らしく、後光がさしていたし、背景に薔薇が見えたし、妖精たちをたくさん連れていたし、レベルなんて、はかるでもなく、素晴らしいことはわかりきっていた。
かなこさんと言う、ちょっと変わった名前で、でもとてもお似合いで、私も改名しようかしら、と思っていると、奴があらわれた。実力差は装備でも見た目でもわかるぐらい貧相だった。
自分が弱いと言うのをわかっているのに、精霊王の娘の従者ならまだしもパートナーだと、言う。この時点で私は怒りがふつふつと湧いていたのだが。
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そう言いながら寂しそうに村人を見ている。あんなゴミとお揃い…え?かなこさんの表情で、わかってしまった。もしかして、いや、もしかしなくても、そう言うこと?
あいつは契約の指輪と言うアイテムで、かなこさんを縛っているのね。きっとあの指輪は、村人が死ぬまで、取れないに違いない。私が殺してあげましょうか、と言う言葉が口から出そうになって、ギリギリで止まった。
「もう、あの人は覚えていないかもしれないわね。」私に何も言わせないようにニッコリ笑う。私はそれ以上二人に近づくのを断念した。どうやら立ち入られたくないみたいだし、精霊王の娘なら、やろうと思えば、村人なんて簡単に処理できるだろう。なのに、しないってことは、何か理由があるのだと、理解した。私は憧れているだけの何も知らない第三者だ。理由を話す義理などない。
まあ、それにしても、私があの男をゴミ扱いすることに変わりはない。ひとつだけ、褒めるところがあるとしたら、私に色目を使わないことかしら。
女と見るとしつこいぐらい、言い寄ってくる脳筋が多い中、レベルが低いことによるのか、謙虚な態度で、話を聞くところは、唯一好感が持てる。彼だって、精霊王の娘に近づかなければ、私の受ける印象だって変わっただろう。
そう思えば、この男だってかわいそうなやつなのかも。辛くあたられることはこの先にもあるだろう。少しくらい優しくする?……いや、無理。顔を見るとどうしても腹が立ってしまう。何故?何か女の敵な感じがするのよね。私は勘が強い方だから、当たっている筈。
だから、やっぱり呼び名はゴミでいいか。精霊王の娘と一緒にいなければ、こんなに気にならなかっただろうし、すっぱり忘れてしまおう。そう決意した意味もなく、既に顔すら思い出せなくなっていた。勿論、かなこさんはバッチリ覚えている。
奴の左手の薬指には、お揃いの指輪ははめられていなかった。だから、かなこさんは悲しそうだったのだろうか。それとも他に事情があったのか。寂しそうなかなこさんの顔を忘れることが出来ず、ゴミの顔を忘れてしまったにもかかわらず、考えてしまう。精霊王の娘と言うレアキャラでも、うまくいかないことはあるのだ。不思議だが、同じ人間なのだと安心する自分がいる。精霊王に叱られるかしら。
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