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精霊王に会えない俺
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何もできない自分だけど、それでも出来ることはあるのではないかと、引きこもってみる。精霊王の娘の家には何らかの仕掛けをしてもらい、かなこだけ外へ出ていく。本当はついて行きたいけれど仕方ない。足手纏いになりたくないから。
かなこが準備してくれたもので、本を見ながらポーションを作ったりして、時間を過ごす。ポーションは最低ランクのものがたくさんで、何度か作ったせいなのか、かなこのおかげかはわからないけれど、そのうち10本に1本とかの割合で、少し上のランクの物も作れるようになっていた。
精霊王の娘の作ったポーションは質が高すぎて、扱いに困るそうだ。逆に俺が作った安い物なら、売るのに良いのではないかと思ったが、飲むと美味しくないそうだ。かなこの作るのだと、文句なしに美味しく飲めるそうだ。こんなところでも負けるなんて。
まあ、ランクも種族も、全く違うのだから当然なのだけど。
精霊王に会えるチャンスは意外と早く巡ってきた。クエストの中に精霊王と会うものがあって、会えたら、祝福やら加護やらを貰えることもあるらしい。かなこの所には優先的に回ってきたようで、一緒に行くか、聞かれた。
行きたいのはやまやま。でもクエストの注意書きにもあるように、会えるかどうかは精霊王の気持ち次第だと言うし、俺は会ってもらえないような気もする。それでも、やっぱり好奇心には勝てなくて、二つ返事で、飛びついた。かなこと一緒に行けば、お情けで、会ってくれるかもしれないし。若干セコい考えを持ち、クエストに旅立ったのだが。
何というか、予想通り。俺は会えなかった。かなこの姿が急に消えたのだ。森の奥、一番頼りにしていた人が居なくなった恐怖で、一瞬にして、精霊王のことなどどうでも良くなってしまった。
魔獣とかいたらどうするんだよ。かなこの名前を呼んではみたものの、音に反応して襲ってくることを考えて、何も話さないように草の中に身を隠していた。村人としてのレベルは今11になったところで、スキルもあれからいくつかついたけれど、一冒険者としては、ゴミみたいなものだった。自力で実力をあげたのは、調剤スキルぐらいで、今はまだ、あまり役にはたっていない。それ以外はすべて、かなこのおかげだ。かなこがやっつけた魔物を、解体するスキルも最近は持っている。かなこさまさまだ。解体するには使いやすいナイフだが、これでやっつけるのは難しい。
例えるなら、出刃庖丁一本で、魚をとって、捌くみたいな感じ。捌くのは簡単だが、取るのは難しい。
時間としては5分ぐらいしか経っていないのだが、心細さやら恐怖やらで、時間が長く感じられた。
かなこは、精霊王に会えたようで、嬉しそうだった。かなこの実の父は、既に亡くなっているのだが、精霊王が新しい父として名乗りを上げてくれるなら、いいな、と思っていたので、かなこだけでも、会えてよかったと思うようにした。
かなこは、俺の存在に今気づいたようにしていたが。
「精霊王ってどんな感じだった?」
よくある感じだと、金髪碧眼の美青年なイメージなんだけど、かなこは笑ってかぶりを振る。
「お父さん。会ったことあるでしょ。」
「ん?」
「うちの父よ。転生したみたい。だから、私が精霊王の娘なのね。見た目は少し若くなっていたけど、純日本人の父だったわ。」
「嘘だろ。」
あのハゲちゃびんが、精霊王だって?
嘘だ。嫌だ。夢がなさすぎる。
そうか。転生か、転生ね。
まあ、それなら会えないのも無理はない。お義父さんに許しては貰えないのも、わかる。一人娘のかなこをそれはそれは可愛がっていたもの。
もし、今後会えるなら、ちゃんと謝らないといけない。ついでに何発か殴られても文句は言えない。
かなこが久しぶりに会えた父を想い、嬉しそうにしているのを、ほっこりみつめながら、密かに覚悟した。
一応、かなこは会えたのだから、クエストは完了だろう。かなこのステータスは精霊王の娘から、精霊王の愛娘に変わっていた。
そして、何故か俺のステータスも少し変わっていた。村人から、ただの村人になっていた。精霊王のささいな嫌がらせだろうか。よくわからない。せめて、精霊王の義息子ぐらいにはなりたいけれど、まあ、無理だろうな。
かなこが準備してくれたもので、本を見ながらポーションを作ったりして、時間を過ごす。ポーションは最低ランクのものがたくさんで、何度か作ったせいなのか、かなこのおかげかはわからないけれど、そのうち10本に1本とかの割合で、少し上のランクの物も作れるようになっていた。
精霊王の娘の作ったポーションは質が高すぎて、扱いに困るそうだ。逆に俺が作った安い物なら、売るのに良いのではないかと思ったが、飲むと美味しくないそうだ。かなこの作るのだと、文句なしに美味しく飲めるそうだ。こんなところでも負けるなんて。
まあ、ランクも種族も、全く違うのだから当然なのだけど。
精霊王に会えるチャンスは意外と早く巡ってきた。クエストの中に精霊王と会うものがあって、会えたら、祝福やら加護やらを貰えることもあるらしい。かなこの所には優先的に回ってきたようで、一緒に行くか、聞かれた。
行きたいのはやまやま。でもクエストの注意書きにもあるように、会えるかどうかは精霊王の気持ち次第だと言うし、俺は会ってもらえないような気もする。それでも、やっぱり好奇心には勝てなくて、二つ返事で、飛びついた。かなこと一緒に行けば、お情けで、会ってくれるかもしれないし。若干セコい考えを持ち、クエストに旅立ったのだが。
何というか、予想通り。俺は会えなかった。かなこの姿が急に消えたのだ。森の奥、一番頼りにしていた人が居なくなった恐怖で、一瞬にして、精霊王のことなどどうでも良くなってしまった。
魔獣とかいたらどうするんだよ。かなこの名前を呼んではみたものの、音に反応して襲ってくることを考えて、何も話さないように草の中に身を隠していた。村人としてのレベルは今11になったところで、スキルもあれからいくつかついたけれど、一冒険者としては、ゴミみたいなものだった。自力で実力をあげたのは、調剤スキルぐらいで、今はまだ、あまり役にはたっていない。それ以外はすべて、かなこのおかげだ。かなこがやっつけた魔物を、解体するスキルも最近は持っている。かなこさまさまだ。解体するには使いやすいナイフだが、これでやっつけるのは難しい。
例えるなら、出刃庖丁一本で、魚をとって、捌くみたいな感じ。捌くのは簡単だが、取るのは難しい。
時間としては5分ぐらいしか経っていないのだが、心細さやら恐怖やらで、時間が長く感じられた。
かなこは、精霊王に会えたようで、嬉しそうだった。かなこの実の父は、既に亡くなっているのだが、精霊王が新しい父として名乗りを上げてくれるなら、いいな、と思っていたので、かなこだけでも、会えてよかったと思うようにした。
かなこは、俺の存在に今気づいたようにしていたが。
「精霊王ってどんな感じだった?」
よくある感じだと、金髪碧眼の美青年なイメージなんだけど、かなこは笑ってかぶりを振る。
「お父さん。会ったことあるでしょ。」
「ん?」
「うちの父よ。転生したみたい。だから、私が精霊王の娘なのね。見た目は少し若くなっていたけど、純日本人の父だったわ。」
「嘘だろ。」
あのハゲちゃびんが、精霊王だって?
嘘だ。嫌だ。夢がなさすぎる。
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まあ、それなら会えないのも無理はない。お義父さんに許しては貰えないのも、わかる。一人娘のかなこをそれはそれは可愛がっていたもの。
もし、今後会えるなら、ちゃんと謝らないといけない。ついでに何発か殴られても文句は言えない。
かなこが久しぶりに会えた父を想い、嬉しそうにしているのを、ほっこりみつめながら、密かに覚悟した。
一応、かなこは会えたのだから、クエストは完了だろう。かなこのステータスは精霊王の娘から、精霊王の愛娘に変わっていた。
そして、何故か俺のステータスも少し変わっていた。村人から、ただの村人になっていた。精霊王のささいな嫌がらせだろうか。よくわからない。せめて、精霊王の義息子ぐらいにはなりたいけれど、まあ、無理だろうな。
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