第二王子の初恋

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兄を怒らせてはいけない

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僕を睨んでいた男に見覚えがあったものの、どこで会ったことがあるのか、確信が持てない。

とりあえず、トビアスに命じて、
様子を探ってもらう。

王弟殿下の部屋に通され、
話し合いの席でのことを聞こうとした。

アルノルトも一緒についてきたので、さっきのユーリアの表情について尋ねると、苦笑しながら、
「気にしなくていいよ。」と言った。

「元はと言えば、俺のせいだ。ユーリア嬢にも謝っておいてくれないか。」
「はい、でも大丈夫です。彼女なら。」
叔父さんが、アルノルトに詫びるが、
アルノルトは、やんわりと断った。

「皆、何か期待しているようでしたね。」

僕の顔を見ながら、叔父さんもアルノルトの言葉に同意した。

「期待に応える必要はないがな。」

僕とエリアスは、置いてきぼりで
疑問符が浮かんでいたが、
エリアスはなんとなく、理解していたようだった。

「その話は、僕らが今回の話し合いに呼ばれなかったことと、関係があるのですか?」

エリアスの問いかけに叔父さんとアルノルトが顔を見合わせる。
少しの沈黙が流れる。

「お前達と言うより、ノアだな。」

え?僕?
待って、話が全く見えない。

「なるほど。でも、この人全く分かってませんよ。」

「うーん、これは特に知らなくていいことかもしれないんだけど、知りたい?」

アルノルトは僕が大きく頷いたのを見ると、相合を崩して深くため息をついた。

「端的に言えば、お前とユーリアが繋がっている、と考えるグループがいる。」

「は?!」
僕が?ユーリアと?

何で? 

「元はと言えば、お前が悪いんだ。初めて会ったユーリアに求婚なんかするから。」

は?
ユーリアに求婚?
なんの話?

「7才の時に、お前が求婚したのは、ソフィア嬢ではなくて、お母上に泣き付かれてお淑やかなお嬢さまを装っていたユーリアだ。」

は?

意味がわからない。

「侯爵令嬢の中で、一番弱い立場のソフィア嬢を選ぼうとしている姿は、本命がユーリアであることの隠蓑としてるから、と思われたようだ。」

「ユーリアのさっきの顔は、困惑と怒りだな。」

不敬罪案件だね、と続けたアルノルトの顔は笑っていたが、目は笑っていなかった。

「でももうすぐ婚約式するんだから、僕らが無関係ってわかるでしょ。」

動きの遅い脳に鞭打って、
かろうじて言葉を発する。

「いや、本当に申し訳ない。」

叔父さんが、この時期にやらかしたのか?
そして、あの王弟殿下が、
と深読みしたやつらが暴走した、
ということ?

いや、わからん。

「ちゃんと、順を追って説明して。」

うん、と頷いて、どこから話せばいいかな、と前置きして、叔父さんは話し始めた。











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