中学生捜査

杉下右京

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第11話 仕組まれた自由 5000文字拡大スペシャル

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これまで数々の難事件を解決してきた天才中学生の久野隆は今度は誘拐事件に首を突っ込んでいた。
誘拐されたのは飯島春樹という中学3年生だった。そして春樹が通っていたのは隆が通っている中学校だったのである。春樹は昨日学校からの下校中に行方が分からなくなっているという。そしてこの春樹のように行方が分からなくなっている中学生はいた。その数は17人にも及ぶ。いずれも同じ中学校の生徒だった。これに対し、愛知県警は連続誘拐事件として総力を挙げて犯人摘発に当たっていた。
刑事部長の猪俣真一の指揮の元、この事件は大熊中学校生徒連続誘拐事件と名付けて捜査本部を設置していた。
捜査員の会議が行われ捜査の報告が行われていた。その場で捜査一課の北野が報告を行っていた。
「誘拐された生徒の共通点は全員が中学3年生であること。そして全員に犯人からの身代金の要求がされているということです。その事から今回の誘拐事件は同一犯の犯行の可能性が極めて高いと思われます。」
「そんなことは初動の捜査ですでに分かっていることですよ。今更誇らしげに発言しないでいただきたい。」
猪俣は北野の報告をそう退けた。
「申し訳ありません。」
北野は内心、腹を立たせながらそう言った。
「まあ同一犯であることは間違いないようですね。チャンスは17回ありますから慎重に誘拐犯確保に努めてください。」
この時はまだ子供が誘拐されたすべての家に一億円を用意しろと言う要求が来ただけだった。
そして北野と沢村の担当が飯島家だったのである。
「こんなところまで我が物顔で顔を出さないでもらえますかねぇ。」
隆が飯島家に入ると北野が嫌味を言って来た。
「あなた方だけでは身代金が奪われてしまうかもしれませんので。で、どういう状況ですか?」
「今日の12時までに一億円を用意しろという要求があったんですよ。」
そう隆に説明したのは沢村だった。
「バカっ!ペラペラしゃべってんじゃねえ。」
北野は沢村の頭を叩いた。
「まあ、そういうことですから。お引き取り願えますか?」
北野は隆の肩をポンと叩いてそう言った。時計は午後12時を指していた。
その瞬間に電話が鳴った。
春樹の母親の智子が電話に出た。
「もしもし。」
「一億円は用意できたか?」
加工された音声で犯人はそう言った。声からして男だと考えられる。
「できました。」
「よーし。では矢田川に全裸で入れ。」
「は?」
「入らなければ息子の命はない。」
電話は切られた。
「逆探知できました。」
捜査員がそう言った。
「矢田川付近の公衆電話からです。」
捜査員はその公衆電話めがけて走っていった。

「しかし、妙な要求だな。」
飯島の家の中で北野は沢村に言った。
「でも全裸で川に入るなんて、真冬ですよ。」
沢村はそう言ったが
「バカっ!そんなこと言ってんじゃねえ。全裸になるとか犯罪だ。いくら犯人からの要求だとしても犯罪行為を警察が勧めるわけにはいかない。」
「矢田川という場所に心当たりはありますか?」
そんな北野をよそに隆は智子に質問をしていた。
「勝手に質問しないでもらえますかねぇ。それに、子供を誘拐されている人すべてに同じ要求がされてるんですよ。」
「あの、私どうすればよいのでしょうか。やっぱり裸で川に入るべきですか?」
飯島は慌てた口調でそう言った。
「北野さん、どうですか?」
「私に聞かれても。」
その時、北野の無線から声が聞こえてきた。
「裸になれという要求ですが我々警察が犯罪行為をさせるというのは由々しきことですので服を着た状態で川に入るように勧めてください。我々の威信がかかっています。細心の注意を払ってください。」
その声は猪俣の物だった。
「しかし、犯人はなぜ全裸になることを要求してきたのでしょうかねぇ。」
「どういうつもりなんだぁ。」
北野はそう言って智子に声をかけた。
「服は脱がなくて結構ですから服を着て川に入ってください。」
「でも、本人の要求を断るとなると息子の命が危ないんじゃないですか?私、息子のためなら裸にでもなんにでもなりますよ!」
「しかし、裸になるというのは犯罪行為です。そんなことをさせるわけにはまいりません。」
「でも。」
ここで隆がフォローに入った。
「身代金が要求されている以上、犯人の目的は身代金でしょう。要求1つ呑まなかっただけで直ちに春樹君の命が脅かされるというような事はないと思いますよ。」

矢田川に集まったのはカバンに一億円を詰め込んだ17人の大人だった。いずれも母親のようである。時間は午後2時を回ったころだった。水深は腰のあたりぐらいまでであった。真冬の川は相当冷たい。その川の中に女性が入っていくのは誰が見ても滑稽であった。
「しかし、犯人はなぜ全員を同じ場所に集めたのでしょうねぇ。」
北野と沢村の隣でその様子を見ていた隆はそう言った。
「そりゃあ、1億円をまとめて回収するためでしょう。17人全員から金をとれれば17億円が手に入りますからね。」
「しかし、裏を返せばそれだけ同じ場所に警察が集まり警備体制が強化されるわけですから足が付きやすい方法です。それに、川に入るというのも疑問ですねぇ。川に入ったらバッグに入っているお金を奪いにくくなってしまうのではありませんかねぇ。」
隆はそう疑問提起をした。
「確かに。」
沢村は頷いた。
「バカっ!感心してる場合か!」
北野は沢村の頭を叩いた。
その時、母親たちの電話に着信があり、犯人が川を登れという指示があった。
母親たちが一斉に動き出す。17人が一斉に川を上る様子はこれもまたどう見ても滑稽であった。
近所の人は川周辺に集まっている。捜査員の邪魔でしかなかった。
ここで一人の母親の携帯が鳴り、かばんを橋の上に投げろ、という指示があった。母親がかばんを投げる。捜査員は全速力で橋へ向かった。川周辺に集まっていたギャラリーに紛れていた犯人はバッグをキャッチをすると、バイクに乗って走り去った。捜査員はバイクを取り逃がしてしまったがナンバープレートの番号を確認することはできた。
橋の上にカバンを投げた母親はもう自分の仕事は終わったと川から上がろうとしたが犯人からの電話がかかった。
「まだ川に上がるな。すべての母親の金が奪われるまで川を上り続けろ。捜査員が周りにいることは分かっている。捜査員もこの電話を聞いているのだろう?よく聞いておけ。これから一人ずつ金を奪っていく。せいぜい頑張るんだな。」
最期に薄気味悪い笑い声を出した犯人は電話を切った。
「舐めやがって。」
北野は怒りを隠せないでいた。
「犯人が川を選んだ理由が大体わかってきましたね。川を登らせれば時間がかかり、近所の住民やマスコミなどのギャラリーが集まります。犯人にとって良い目くらましになるでしょう。しかし、わざわざ川にしなくてもいいと思うのですがねぇ。」
その時、無線から猪俣の声が聞こえてきた。
「犯人は一人ずつ狙うということを明らかにしている。もう今のような失態は許されません。全力を挙げて犯人を確保してください。」
母親たちは寒そうな顔をしていた。風も吹いているし川の水も冷たい。
そして2人目の標的が現れた。その母親はバッグを川沿いに建てられている家の空いた窓の中に投げ入れ、犯人はそれを回収し走り去った。今回はナンバープレートを確認することすらできなかった。
捜査員にとってこの誘拐事件は悪戦苦闘を強いられた。

結局17人全員が金を奪われてしまった。捜査員がうなだれながら帰っていく様はマスコミに格好のネタを提供した。
「大変でしたね。」
山田幸助の家に戻るといつも隆と行動を共にしている加納マリアがそう声をかけた。
「全くです。17人全員金を回収することはできませんでしたからねぇ。」
隆はいつものサスペンダー姿になるとそう言った。
「隆さんがいながら金が奪われるとは。」
「僕は何の役にも立っていないと思いますよ。」
「まあ、それはともかく。すごい話題になってますよ。ニュースはこの話題で持ちきりです。」
部屋に入ってきた山田も話の内容を理解して
「身代金が奪われるのをみすみす見逃した警察に対する批判がめっちゃされてるよ。」
と言った。
「でしょうねぇ。」
隆はそっけない返事をした。
「しかし、あんたの事だ。なんか手がかりをつかんでるんじゃないの?」
山田は隆に尋ねたが隆は首を横に振るばかりだった。

今回の誘拐事件について警察が説明する記者会見が開かれたのは午後9時頃だった。
会見には多数の記者が集まっていた。この様子は生中継として全国の茶の間を賑やかにした。
席に座ったのは猪俣だった。少し疲れているようにも見えるその顔は部屋に入ると一気にフラッシュの嵐に遭った。
「今回17人の母親全員の身代金が奪われてしまったことは我々日本警察の根底を揺るがす由々しき事態であると認識しております。」
猪俣は粛々と先程起こった惨事を話していた。
「17人も標的がありながら全員身代金を奪われるなんて警察の体制に問題があるということではありませんか?」
質疑応答の時間になると記者たちは手も挙げずに口々に質問した。その中で発言を許された記者がそう尋ねた。記者は新田優斗という名前だった。
記者会見の会場は一瞬にして修羅場と化した。
「質問のある方は挙手をしてください。」
司会を務めていた男がそう言うと記者の全員が手を挙げる有様だった。
「こりゃ、警察も責任問題だね。猪俣辞任するんじゃないか?」
いつの間に入って来たのか山田幸助がコーヒー片手にそう言って来た。
「彼に限ってこの程度で辞任するということはないと思いますよ。他の誰かの首を取って終わらせるでしょうねぇ。」
「彼ならきっとそうしますよ。」
マリアも頷いた。猪俣は権力者としての模範的存在でもあるのだとマリアは思う。

会見から戻った猪俣が捜査本部に戻ると椅子に座っていた捜査員が起立し、頭を下げた。
「お疲れ様です!」
その捜査員の中には北野と沢村もいた。猪俣は状況を整理した。
「なにか掴めたことはあるか。」
猪俣に尋ねられ北野は捜査員の前に出ると説明し始めた。
「身代金の奪取にはすべてバイクが使われていますがナンバープレートが確認できたバイクは一台のみでした。それも偽造プレートでバイクの持ち主など有力な情報は得られていません。」
「何をしているんだ!君たちは!君たちの失態の責任を負うのは私なんだからね!」
猪俣は声を上げてそう言った。これには北野たちも黙るしかなかった。

翌日、隆は山田の家で愛知県警鑑識課の沼田と会っていた。
「隆さんに頼まれていたものお持ちしました。まだ捜査一課の方々には見せていません。」
「どうもありがとう。どうでした?」
隆が沼田に何を頼んだのか部屋にいたマリアは気になった。
「何を頼んだんですか?」
「ナンバープレートの照合です。」
マリアは昨日の会見を思い出す。
「ああ!一台しかナンバープレートを確認できなかったってやつですね。」
「ええ、その一台は偽造プレートでした。ですが、隆さんによると17人の身代金を奪って走り去っていったバイクはそれぞれ異なるというんですよ。」
「見たんですか?」
マリアは隆に尋ねた。隆がそれに答える前に
「ええ。隆さんの素晴らしい記憶力によって17台すべてのナンバープレートが分かりました。」
マリアは相変わらずの頭の良さを発揮する隆に感心したが1つ疑問が湧いてきた。
「でも、全部偽造なんじゃありません?」
「それを確かめるために沼田さんに調査を頼んでいるのですよ。」
隆がそう言うと沼田は鑑定の結果を報告し始めた。
「17台のうち、一番最初の身代金奪取に使われたバイクのみが偽造ナンバーでした。」
「そうですか。なぜ一台だけなのでしょうねぇ。そして、なぜ17台ものバイクを犯人は使用したのか。」
「気になりますよね。実は衝撃の事実が明らかになりました。」
沼田は隆の期待を煽った。
「衝撃の事実ですか。」
「気になりますか?」
「もったいぶらないでいただけますか?」
「では申し上げます。17台のバイクの内、偽造プレートのバイク以外盗難車でした。」
十分もったいぶった上で沼田はそう言った。確かに衝撃の事実だった。隆はこの瞬間、大体のからくりを理解した。
「なるほど。そういうことですか。沼田さん、その盗難されたバイクの持ち主の住所を教えてください。僕の推理では16件ともすべて徒歩圏内にあるはずです。」
隆がそう言うと沼田は驚いた顔で
「よくわかりましたね。16件とも徒歩圏内ですし、誘拐された中学生の通っている中学校にも近いです。」
「マリアさん、行きましょう。」
沼田から盗難の被害に遭った家の住所のリストを受け取った隆はそう言って部屋を出て行った。
「おお、沼田じゃねえか。久しいな。」
隆と入れ違えに山田が部屋に入ってきた。
「コーヒー、飲むか?」
気さくに尋ねる山田に沼田は
「変わりませんね。あなたは。」
と言った。
「そういう意味だよ。そりゃ。」
「いえいえ、それじゃあ、いただきましょうかね。」
沼田は山田からコーヒーを受け取ると昔話を始めた。

バイクが盗まれたという被害に遭ったのは団地に住んでいる住民がほとんどだった。
「一体誰がバイクを盗んだんでしょうね。」
その団地に行く途中でマリアはそうつぶやいた。
「おや、君、まだ分からないのですか?バイクを盗んだ人物は大体見当がついています。」
「誰です?」
「まあ、おいおい分かると思いますよ。それよりも、我々だけでは怪しまれてしまうかもしれませんからねぇ。助っ人が必要ですねぇ。」
隆はそう言うと捜査一課の北野に連絡した。
「なんなんですか?極めて重要な情報って。もったいぶらずに早く言ってもらえませんかねぇ?」
北野は5分程で来た。沢村も一緒である。相変わらずの口調で北野はそう言った。
「僕はいささかももったいぶっているつもりはないのですがねぇ。」
「ではさっさと仰ってくださいよ。重要な情報って何なんすか?」
北野も沢村も隆の言う重要な情報が何か知りたがっているようだった。
「身代金奪取に使われたバイクは全て盗難車だと考えられます。そしてバイクを盗まれた被害者の方の家がほとんどこの団地なんですよ。」
「なんだよ、そのことかよ。」
北野ががっかりするように言った。
「そんなことはこちらだって分かっているんですよ。」
「これは失礼。ではバイクの盗難被害に遭った家を訪ねてみませんか?」
隆はそう言った。
「そういったものはこちらですべてやりますので、どうか邪魔しないでもらえますかねぇ。」
「邪魔はしません。端っこの方にいるだけですので。」
北野はため息をつくと団地の中に入っていった。

北野と沢村と隆とマリアが最初に訪ねたのは8階建ての団地の5階に住む住民だった。
市営団地は多くは今から40年前ぐらいに建てられた建物である。駐輪場を囲むように団地が建てられており団地の中央にエレベーターがあった。4人はエレベーターに乗ると5階へ上がった。
「ここだな。」
北野がそう言って、神谷と書かれた表札の家のドアを指さした。
ドアの横にインターホンが無かったので沢村がドアを叩く
「すみませーん。愛知県警の者ですけれども。」
しばらくして男が出てきた。部屋着を着た男はどうもと言って軽く頭を下げた。
「警察が何か御用ですか?」
警察が来る理由を男は考えたが答えは導き出せなかったのだろう。男はそう言った。
「まあ、ここではなんですので。どうぞ。」
沢村が答えずにいると男は4人を部屋の中に案内した。
「お茶でも用意しましょうか?」
そう言って男は引き出しの中から茶葉を探し始めた。男の部屋は年季の感じる部屋ではあったが綺麗に片付けられていた。部屋はさほど大きさは無いがこの男が一人暮らしならなんの問題もないだろう。部屋の中央には炬燵が置いてあった。
「ああ、それには及びません。すぐ失礼しますから。」
男の気遣いを北野はそう断った。
「そうですか。」
男は小さい声でそう言うとようやく用件を尋ねた。
「で、何の御用でしょう。」
「神谷卓さんで間違いありませんね?」
まずこの男がバイクの盗難された人物なのか北野が確認した。
「ええ、神谷です。」
「では早速ですが、あなた、バイクの盗難被害に遭っていますね。被害届は出されてはいないようですが。」
沢村が本題に入ると神谷の顔から不安が無くなり
「ああ、なんだ、そのことか。僕何かやらかしたのかと思いましたよ。」
と言った。
「バイクを盗まれたことは認めるんですね?」
「ええ、気づいてますよ。」
「ではなぜ被害届を出されないのでしょう?」
沢村が神谷に迫ると神谷は驚いた顔をして
「なんか怪しまれてるみたいでいやだなぁ。あまり大事にはしたくありませんからね。青年ですしね。」
と言った。
「おや、犯人を目撃したのですか?」
ここまで口を閉じていた隆がはじめて口を開いた。
「ええ、夜寝ていたらバイクのエンジン音がして起きたんですよ。様子を見たら複数の青年がバイクを盗んでいました。」
「もしかして、その青年たちは17人ほどだったのでは。」
「さあ、正確な人数までは分かりませんがそれぐらいいたかもしれませんね。」
「なるほど。」
隆がさも納得したような反応をすると
「隆さん、勝手に首を突っ込まないでもらえますかねぇ。」
北野がそう言うと隆は失礼と言って引き下がった。
「でも、いくら青年とはいえバイクを盗まれたのは事実なんでしょ?被害届は出すべきなのではありませんか?」
沢村がそう言うと
「僕らにもあったじゃないですか。早く自由になりたいと願ってバイクを盗んで走り出すこと。バイクは盗まれましたが、盗んだ青年たちが自由になれたなら満足ですよ。」
「そうですか。」
バイクを盗んだことは犯罪行為ではあるが被害者が被害届を出さない限り警察が捜査をすることはできない。
「ちなみに、バイクを盗んだ青年たちを目撃したのは夜の何時ごろですか?」
北野が尋ねると神谷は午前2時ごろだったかなと言った。

「バイク盗まれておいてよくあんな温厚でいられるなあ。」
北野は神谷の家を出るとそう言った。
「でも、俺たちも若いころはバイクまではいかないにしても色々盗んだりしてたじゃないすか?」
「まあな。深夜家を出て朝方返ってくるなんてよくやってたしな。」
「青春っすね。」
沢村はそう振り返った。
「たとえどんな心情を抱いていたとしても違法行為が正当化されるわけではありませんがね。」
隆はあくまで厳しかった。
「まあ、それはともかく。次の家を当たるか。」
北野はそう言うと同じ団地にある被害者の家を訪ねようと歩き始めたが
「その前に、団地の防犯カメラを確かめませんか?」
と隆は提案した。
「恐らくバイクを盗んだのは誘拐された中学3年生の17人でしょう。それを確かめませんか?」
「そういうことは我々でやりますのでどうぞお帰りください。」
北野にそう言われると
「では帰ります。」
隆はそう言って帰ってしまった。マリアも後を追った。

「帰って良かったんですか?」
帰る途中でマリアは隆にそう尋ねた。
「ええ、バイクを盗んだのが誘拐された17人の青年ということが分かれば十分です。それをはっきりさせるために防犯カメラの確認をしたかったのですがそちらは北野さん達がやってくれるでしょう。」
隆はそう語った。
「では我々はどうします?」
マリアが尋ねると隆は少し間を置いて
「17人もの青年がなぜバイクを盗んだりしたのか、それを探りましょうかね。」
具体的な行き先を示さずに歩き始めた。

「失礼します!」
愛知県警の捜査本部に戻った北野と沢村は今日分かった事実を報告した。
「例のバイク盗難の件ですが、団地の防犯カメラから誘拐された17人の青年が犯人だということが分かりました。」
「やっぱり、そうですか。では、急いで居場所を探して17人を確保してください。」
猪俣の命令に捜査員一同は席を立ちあがり
「はい!」
と答えて動き始めた。日本警察の威信をかけた戦いだった。

隆とマリアが向かったのは飯島智子が暮らしている一軒家だった。閑静な住宅街にあるごく普通な一軒家だった。
隆がインターホンを押そうとすると家の中から智子の物と思われる怒号が聞こえてきた。
「あんな思いまでして身代金を奪われて息子も帰ってこないってどういう意味ですか?」
智子が言うように身代金が支払われたのにも関わらず春樹は帰ってきていなかった。他の子供も同じである。
このため誘拐された子供の保護者やマスコミから警察は袋叩きにされていた。
「申し訳ありません。」
それに対し、家に来ていた捜査員2人はただただ頭を垂れてるばかりだった。
「こんなことになったならお金は当然警察からもらえるんでしょうね。」
智子がそう言うのも無理はなかった。警察は17回もチャンスがある中、すべて取り逃がしたのだから。
「申し訳ありませんが、我々の方でお金を用意することはできません。」
捜査員が申し訳なさそうに言うと智子は声を荒げた。
「ふざけるんじゃないわよ!息子が誘拐されてるのよ!金は警察の方で用意するのが筋ってもんじゃないの?」
「その通りでございますが、警察にも決まりというものがありますので。」
捜査員の声が小さくなっていった。
「だったら早く春樹を見つけ出しなさいよ!居場所は分かったの?」
「今努力しておりますが春樹君は見つかっておりません。」
この言葉に智子は呆れ返ってなにも言えなかった。
2人のやり取りが終わったことを確認した隆はインターホンを鳴らした。
「どちら様でしょう?」
インターホン越しに智子がそう尋ねてくると隆は平然と嘘をついた。
「春樹君と同じ学校に通う者ですが、衝撃の事実が発覚したかもしれないのでご報告に参りました。」
すると智子はドアを開けた。隆とマリアは家にあげてもらうこととなった。
「では、私はこれで失礼します。」
来訪者が来たことを良いことに帰ろうとする捜査員を隆が止めた。
「帰る必要はないと思いますよ。あなたにとっても耳よりの情報だと思いますから。」
捜査員はその場に踏みとどまった。
「なんでしょう?」
智子はやはり苛立ちを隠せないでいるようにそう尋ねてきた。
「春樹君が窃盗を犯した可能性があります。」
隆がその言葉を口にした瞬間、智子の顔が苛立ちから驚きに変わった。捜査員も唖然としている。
「何を盗んだって言うんですか?」
しばらくして智子がそう尋ねてくると隆は
「バイクです。春樹君を含め誘拐された子供たち17人はそれぞれバイクを盗んでいたんです。」
突然の報告に智子は戸惑いを隠せなかった。
「は?」
「盗まれたバイクの持ち主は全て同じ団地に住んでいました。」
「だから?なんだっていうんですか?」
智子は一度ため口を使ったのを訂正した。
「つまり、17人の子供たちはバイクを盗み、本人の意思で家出をしていたんです。」
「何をおっしゃっているのか訳が分かりません。」
智子はかなりのパニック状態に陥っているようだった。体を小刻みに震わせているようにマリアには見えた。
「団地の防犯カメラにバイクを盗んで走り出していく春樹君たちが映っていました。」
自分の息子が犯罪に手を染めていたことを知り智子は崩れ落ちた。そこにマリアは追い打ちをかける。
「まもなく警察が来ると思いますよ。」
「そんな。」
「というわけですから些細なことでも構いません。息子さんが家出をするような理由、思い当たりませんか?」
「厳しくしすぎたのかもしれません。小さいころからあの子は幸い私の言うことをよく聞いてくれてそして中学生になった春樹を自分の思うように動かしたいと心のどこかで考えていたのかもしれません。春樹のプライベートに介入しすぎたのも悪かったかも。」
智子は口々に春樹への教育に対する反省を述べた。その中から隆は気になったものを聞いた。
「春樹君のプライベートに介入しすぎたというのは?」
「春樹には頭の良い好青年になってほしいと願っていましたから。彼のパソコンやスマホの履歴はこまめにチェックしていましたし、彼が自分の部屋に何か隠しているのではないかと探したりしました。」
智子はそう語るとため息をついた。
「なるほど。で?」
「え?」
隆の問いかけの意味が智子にはわからなかったようだ。
「その結果、なにか春樹君の家出につながるようなものはありましたか?」
「いいえ。特には。」
「そうですか。」
隆はそう言うと礼を述べて家を出て行った。

「どうするんですか?特に重要な手掛かりは得られなかったようですが。」
家を出てマリアは隆にそう尋ねた。
「ええ、家庭でのトラブル、期待していたのですがねぇ。」
隆は次なる手に打って出た。
「学校に行ってみましょう。親の前で見せられない本心を学校で出すというのはよくあることですからね。」
隆とマリアは中学校に向かって歩き始めた。

誘拐事件とされている事件が起こったこともあり、学校は臨時休校となっていた。
教員たちはいつもと変わらず仕事をしていた。
隆は学校の門のインターホンを押した。しばらくして教員が出た。
「あなたたちは。」
「1年A組の久野と加納です。杉山先生に話があるのですが、いらっしゃいますか?」
隆がそう言うと
「ちょっと待ってね。」
インターホン越しに教員がそう言って、しばらくして杉山が出てきた。
「君達は、確か、一年の。」
「A組の久野です。」
「加納です。」
2人が挨拶をすると杉山は
「何の用?」
杉山は40代後半ぐらいの中年の男だった。がっしりとした趣の杉山からは威厳すら感じられる。
「実は、飯島春樹君という生徒の学校生活について知りたいのですが。」
「は?どうして?」
「いえ、個人的興味なのですが。」
隆がそう言うと杉山は呆れたように
「舐められたもんだね。僕も君の個人的興味に付き合っている暇はないんだ。失礼するよ。」
「では、この方の興味には付き合っていただけますか?」
すると物陰から北野と沢村が現れた。
「愛知県警捜査一課の北野です。」
「同じく沢村です。」
2人がそう挨拶をすると杉山は校舎へと招き入れた。
隆とマリアは校舎に入ることが禁じられた。当然と言えば当然だろう。

大熊中学校は3階建ての校舎で案外建物は新しそうだった。北野と沢村は杉山に案内されて応接室へと通された。
「それで、なんの御用でしょうか?」
杉山は2人にお茶を出すとそう言った。
「現在この学校の生徒が誘拐された事件が発生しているのはご存知ですよね?」
まず北野がそう尋ねた。
「ええ、もちろん。その誘拐事件の影響でうちは臨時休校しているわけですから。警察が犯人を早く逮捕すれば登校再開できますがね。」
杉山が皮肉を言うと北野はむっとしたが
「現在捜査員が全力を挙げて犯人逮捕に向けて頑張っております。」
と言った。
「では、本題に入りますが誘拐された17人の生徒はどんな感じだったのか分かりますかね?」
北野がそう聞くと杉山は
「どういう感じと言われてもただの不良ですよ。みんな煙草や酒もやってましたからね。何度も何度も親を学校に呼び出しましたがどうにも改善されなくて。」
と言いずらそうに言った。
「そうですか。学校でのトラブルは何かありましたか?」
沢村がそう尋ねた。
「まあいじめとかは無かったと思いますよ。どいつもこいつも教師には反抗的だったと思いますが。」
「そうですか。」
沢村がメモ帳に杉山から聞いた話をメモしていると電話がかかってきた。スマホに映った名前にため息をつきながら沢村は電話に出た。
「もしもし、今杉山先生にお話を聞いているので後にしてもらえませんかねぇ。」
電話を掛けてきたのは他ならぬ久野隆だった。
「そんなことは分かっています。ちょうど今ぐらいにあなたがたの得意な形式的な質問が終わったころだと思いますので。」
隆は嫌味を言った。
「形式的って。」
「1つ、杉山先生に聞いてもらいたいことがあります。」
「なんですか?手短にお願いしますよ。」
「親御さんたちはどんな様子だったのですか?と、聞いていただけますか?」
「はいはい。それだけは聞いておいてあげますから。もう電話してこないでくださいね。」
沢村はそう言って電話を切った。
「保護者の方は学校に呼び出されてどんな感じだったんですか?」
隆の命を受けた沢村がそう尋ねた。
「かなり落胆してましたよ。中には子供と縁を切りたいという保護者の方もいらっしゃって、我々にそんなことを言われても困るのですがね。」
杉山はそう言った。
「そうですか。ありがとうございました。」
北野と沢村が学校から出てくると門の前で隆とマリアが待っていた。
「お疲れさまでした。」
マリアが2人に声をかけると
「どうも。」
北野はそう言うと杉山から聞いた話を聞くと
「なるほど。保護者の方は縁を切りたいと言っていたんですね?」
その話を聞いた隆は自分が気になった部分を確認した。
「そう言っていた人がいたらしいですよ。まあ、本気で縁を切るつもりで言ったのではないかもしれませんけど。」
北野はあくまで保護者が子供と縁を切ると言っていたことは重要視していないようだった。
「そうですか。どうもありがとう。」
隆は礼を述べると立ち去ってしまった。マリアもそれに続く。

一旦山田の家に戻った2人は早速事件の話をしていた。それには山田も混じっていた。
「もしかしたら、保護者が子供の誘拐を依頼したのかもしれませんねぇ。」
隆は鉱物のサイダーを手にしてそう言った。山田はそれに異議を唱えた。
「そんな事ってあるか?勢い余ってそう言っちゃっただけなんじゃ。」
「もちろん、その可能性も否定はできませんが、つい本音が漏れてしまう、そんなこともあるのではないでしょうかね?」
隆はそう言った。
「だとしたら、ろくな親じゃないね。」
山田はそう吐き捨てるとテレビをつけて見始めた。

翌日、愛知県警に激震が走った。捜査情報を新聞社に抜かれてしまったのだ。新聞社は日本国新聞という名前だった。
「どこから情報が漏れたんだ!」
この事にはさすがの猪俣も追い詰められていた。記事は「誘拐された生徒は不良生徒だった!?」という見出しで飾られていた。猪俣は捜査本部に捜査員全員を朝から呼び出すと情報がどこから漏れたか犯人探しをしていた。
「捜査情報を抜かれるようなことがあってはいけません!君たちは何年刑事という仕事をやっているんですか!」
猪俣は声を上げて捜査員たちを叱りつけた。捜査員の中には北野と沢村の姿もあった。
「ふざけんなよ。」
ついに堪忍袋の緒が切れたのか北野がそうつぶやいた。それは紛れもない北野の本心だった。
「なんだと!」
猪俣は北野の近くに寄ると机を叩いてそう言った。
「お前、俺たちはなあ。犯人逮捕に向かって頑張ってんだよ。捜査情報が抜かれようと知ったこっちゃねぇ。今は警察のメンツより犯人の逮捕を優先するべきなんだよ!」
北野は猪俣に向かってそう言うと捜査員たちにに向き直って
「捜査をしよう。」
と言って沢村を引き連れて出て行った。

「さっきの先輩。かっこよかったっすよ。」
廊下を歩いている途中に北野に沢村がそう言った。
「つい本音が出ちまったな。」
北野は反省しているわけではなさそうだったがそう言った。
「いーや、あれでいいと思いますよ。」
沢村は共犯者めいた顔をしてそう言った。

いくら北野が怒鳴ったところで猪俣の考え方が変わるはずなどなかった。猪俣にとって捜査情報を抜かれるなどということはとても看過することのできない由々しき事態であった。
猪俣は捜査本部にいる捜査員に声をかけた。
「大日本新聞に行ってきてくれたまえ。」
捜査員はこの部屋に残ってしまったことを心の底から後悔した。だが刑事部長の願いを断るわけにもいかないので捜査員は仕方なしと大日本新聞本社に向かった。

その日の夕方、隆は猪俣と回転寿司を食べていた。猪俣から呼び出されたのだ。
「調子はどう?」
猪俣はマグロを口にすると隆にそう問いかけた。
「あなたに、人の心配をしている余裕があるようには見えませんがねぇ。」
疲れたように見える猪俣の顔を見ながら隆は言った。
「ん?ああ、誘拐事件の事か。」
猪俣のその言葉にはまだ余裕があるようだったがその余裕は自分で必死に作り出しているものだということは容易に読み取ることができた。
「また勝手に捜査してるみたいだね。」
猪俣は隆にそう言った。
「お言葉ですが、僕は一般市民の一人にすぎません。なので無論捜査権はないというわけです。なのに僕のしていることを捜査と呼ぶということは矛盾していると思うのですがねぇ。」
隆は得意の理屈っぽい理論を展開した。
「まあ、君の言うことにも一理あるね。じゃあ良いこと教えてあげる。」
猪俣は薄気味悪い笑みを浮かべてそう言った。
「なんでしょう?」
隆のその言葉に猪俣の薄気味悪い笑みはますます増した。
「今日、捜査員が大日本新聞社に行ってきてね。」
隆は大日本新聞という言葉を耳にした時にどういう事情かは瞬時に理解した。
「なるほど。捜査情報が抜かれてしまった記事の情報元について聞きに行かせたのですね?情報元を教えてくれと頼んだところでマスコミが教えてくれるわけがないと思いますが。相変わらず無謀なことをしますねぇ。」
隆のその言葉に猪俣の顔が初めて曇った。
「そんな目的ではないよ。」
隆の推論は大方事実だが猪俣はそう言って見せた。
「強がってます?」
隆のその言葉に猪俣は腹は立ったがこの男の前で取り乱すわけにもいかないので何も言わなかった。
「しかし、あなたが大日本新聞社に捜査員を送りこんだのにはもう1つの理由がありますよね?」
隆はそう言った。

「もう1つの理由?」
「ええ、捜査情報を抜いた記者、つまり記事を書いた記者を探し出して始末するという目的なのではありませんか?始末の方法は分かりませんがね。」
猪俣は愉快に笑った。
「さすがだね。君も。確かに、言われてみるとそういう目的もあったのかもしれないね。」
「今の僕の言葉のなにが面白いのかよくわかりませんが。」
「おもしろいじゃない。君の妄想は。」
猪俣はそう言った。
「それで、あの記事を書いた人物は誰だったのですか?」
隆は本題に戻った。
「新田優斗という記者だよ。」
猪俣のその言葉に隆の脳がフル回転した。確か、新田は誘拐事件が起きて身代金がすべて奪われてしまった後の猪俣が行った記者会見で真っ先に質問をした記者だった。
「そうですか。」
「中々しぶといやつでね。情報元までは明かさなかったらしい。むしろ、捜査員を笑いながらあしらったらしい。いわゆる警察嫌いって奴だろう。」
「警察嫌い、ですか。」
その言葉は隆の脳を刺激するのに十分だった。

山田の家に戻った隆は山田と話していた。
「警察嫌い?あーいるよな。そういうやつ。」
山田は分かったような口でそう言った。
「新田の過去について調べて見る価値がありそうですねえ。」
隆はパソコンを起動し始めた。バソコンは古いものなので起動しきるまでに5分はかかる。
「白バイに捕まって恨んだり、逮捕されて恨んだり、まあ逆恨みってやつだな。」
そんな話をしているもやがてパソコンが起動した。
調べると新田には前科があった。新田は過去に逮捕歴があったのだ。
「窃盗ですか。」
そう、新田の前科は窃盗だったのだ。バイクを盗んだらしい。未成年で初犯だったこともあり不起訴処分である。
「じゃあそれで警察を恨んでたってことが!」
隆は
「ええ、つまり、このような記事を書いたのは警察に対する報復ということかもしれません。」
「でも、捜査情報をどうやって抜いたんだ?警察内に元ネタがいるってことか。考えにくいがそれしかないもんな。」
隆は一つの推論を出した。
「いや、だとすると、警察官にとって猪俣刑事部長に楯突くことになりますからねえ。あまり考えにくいと思います。」
「だったらどうやって抜いたんだ。捜査情報。」
「抜いたも何も、はじめから知っていたということはありませんかねえ。」
「初めから知っていた?」
「ええ、新田は窃盗事件が原因で逮捕されました。バイクを盗んだといいます。」
山田は何かに気がついたようだ。
「そうか!若い頃にバイクを盗んだというのは今回の誘拐事件と似てるな。」
「ええ、つまり、今回の誘拐事件は新田にとって警察に対する報復ということになりますねえ。」
「一種のテロってことか。」
「テロとはまた違うかもしれませんが警察、いや国を相手にした挑戦かもしれませんねえ。」
隆はサイダーを飲み干した。

隆とマリアが大日本新聞社を訪れたのはその翌日だった。新田の出勤を待っていたのだ。新田は2人の姿を確認すると近づいてきた。
「そんな顔だとなにか言いたそうですねえ。」
思ったより優男だった。
そんな男に今までの捜査で明るみに出てきたことを話した。隆が話し終わると新田は急に怒り始めた。
「証拠あんの?ていうかあんたら誰?」
「お望みの証拠が出てきてしまったんですよ。」
そう言って乱入したのは北野だった。どうやら誘拐された生徒の親が全て話したようだ。親は子供を追い出すために新田が計画した誘拐事件に手を貸した。しかし、回収した身代金は全て新田の手に入って不満に思いすべてを話したらしい。その瞬間、新田は崩れ落ちた。そして、全てを話した。 

新田の自供によって生徒たちがいる場所が分かった。生徒たちは楽しく遊んでいた。そこに隆たちがやってきて誘拐事件の真相を話した。生徒たちは自分たちが誘拐されていたことにすら気がついていないようだ。生徒たちは崩れ落ちた。
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