コロシアムでチャンピオンになった勇者は、気ままに魔王討伐にむかいます

ヒムネ

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船に乗って

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 白波が音を立てる。その音が冒険する者の心を躍らせ次の旅路を告げていくかのよう。
「それじゃ4名で」
「では400ピンになります」
「はい、じゃあみんな乗ろう」
 シャルル達は二ビーチから東を道なりに向かい1日かけてアト港から船に乗ることにした。
「――あ~、まさか船に乗るなんてね~、最高~じゃ~ん」
「海、か」
「海に何かあるのシャルル」
「いや、ばあちゃん家は山の方だからそこから海は見えるんだけど間近で海を見たり、船に乗るのも初めてでなんかワクワクドキドキなんだ」
「へ~、お婆ちゃん家にって両親とは別々?」
「オレ、両親のこと知らないんだ」
「え……」
「婆ちゃんに拾われて育てられたから」
「ま~っ、嫌なこと聞いてごめーん」
「別に、気にしないよ」
「甲板に二人で何の話しよ」
「シャルルの婆ちゃんのお話、エリイはまだレイジの見張り?」
 甲板で話す二人を気にしながらもエリイはあれからずっとレイジを見張っていた。
「……そうよ、だってまだ敵じゃないとも言えないじゃない」
「オレは敵じゃないぜ」
「どうだか」
「フンッ、まあ無理もないがあんまりしつこいと」
「なによ、やる気?」
 レイジが剣を抜く構えをするとエリイも拳を構えだし雰囲気が変わった。
「ちょっと待ってくれよ、せっかく船に乗って良い気分だったのが台無しになるよ」
「……そうね、シャルルの言うとおりだわ、悪かったわレイジ」
「いや、オレも仲間になってすぐ信頼されるとは思っていない。だから行動で示すさ」
 とりあえず争いは避けられたと一安心なシャルルだが、風が少し強く突風となってきたかと思ったとき船が揺れだした。

「なんだ風が吹いてきた、うわっ」
 船の揺れは激しく風は暴風である。
「くっ、船とはこうも揺れるものなのか」
「ちょっと船長、これは」
「知らねぇよ、急に風が強く吹いてきやがった狂風だ。怖えなら中には入ってなっ!」
 荒波が甲板に入って来るほどでシャルルは近くの帆柱に掴まるしかなかった……。

 しかし今度は突然と嵐は止み波も小波となり船が安定しだした。何だろうと周りを見てみるとトレチが船の前で杖を掲げている。

「トレチッ、何をしてるんだ!?」
「……風の魔法を自然風にぶつけてみたんだけど」
「そうかっ、助かったよっ!」
「でもこんなことしてたら魔力があっという間になくなっちゃうかも……」
 トレチのやり方はその場しのぎだが今は助かっている。何とかしなければと上を見上げても空は晴れ、だが雨雲が東の方からこちらに向かってきている様な気がしたシャルル。
「雨雲が、こっちに来てないか?」
「ふぅ~っ、雨雲って、ホントだ」
 シャルルの向いている方向を見たエリイも、確かに雨雲がこちらに接近してきている気がした。すると船長が顔を青ざめて怯えだした。
「あっ、あの雨雲っ、まさかっ!?」
「幽霊船だとっ?」
「ああそうさ、こんな船の仕事をしていると噂が耳に入るんだよ。復讐を語り恨みで船を襲う呪われし幽霊船『ロート・オーシャン号』」
「復讐……」
「ゆっ、幽霊船だってっ!?」
 レイジが驚かなかったが、ビビったのか大声で驚くシャルル。
「どうした、怖くなったのか?」
「いや……おもしろそうっ!」
「はあぁっ!? なに面白がってんのよシャルルッ!」
「だってさ、幽霊船なんて本とか昔話で聞くじゃん? だから楽しみで、ははっ」
「……意味っ、わからないわ」
「いや、シャルルこいつは楽しんでいると……」
「はんっ、いちいち説明しなくていい!」

「あの~、楽しいお喋りしてるところ悪いんですけど~」
「えっ、トレチ、もしかして」
「そのまさかで~す……もう魔法力尽きました」
 バタンとその場で魔力が尽きて倒れた。それをエリイがキャッチする。
「トレチ、だいじょうぶ?」
「あはは~魔力尽きると疲労が一気に来るのよね~」
「おいっ、雨雲に囲まれるぞ!」
 いつの間にか黒雲が船を囲むように別れた。これはまずいかもとシャルルは戦闘準備をする。しかし戦うとしても船の上、中に避難している人達も今回は守らなくてはならない。厳しい戦いになるだろうと覚悟する。
「エリイ、トレチを頼む」
「ええ、わかってるわ」
「レイジ」
「……なんだ」
「もし最悪戦いになったら、一緒に戦ってほしい」
「フンッ」
 レイジは片手剣を構えた。
「勇者の仲間に入った時に、もう覚悟はしている」
「ありがとう」
 二人が話しているうちに船の先頭の黒雲が二つに裂けると、
「あっ、あれは船だっ!」
「幽霊船、ロート・オーシャン号なのかっ!?」
 まるで隠す気のない威風堂々と幽霊船ロート・オーシャン号が現れたのだった……。
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