コロシアムでチャンピオンになった勇者は、気ままに魔王討伐にむかいます

ヒムネ

文字の大きさ
9 / 40

港町ホバオ

しおりを挟む
 細雨が降るコハーカ港。シャルル達は小夜嵐のなか船は着き、急いで宿を取った。キャプテン・ヴィルコの犠牲を目の当たりにしそれぞれのベッドに無言で座るシャルル達。
「……エリイ、イコーナの様子は」
「泣きつかれて寝ているわ」
「……船の中でずっとキャプテン・ヴィルコの名前を連呼して泣き続けていたからな」
「キャプテン・ヴィルコ……」
「後悔しても仕方ないんじゃない?」
「トレチ……トレチは強いんだな」
「強いって言うか……思い続ける事が辛いだけだよ」
「……」
「これからどうする、シャルル」
 何時までもウジウジはしてはいられないと話題を変えたレイジ。
「五大精霊な会うための船探し、かな」
「そうね、それが目的でこのサーキレ大陸に来たんだから」
「イコーナはどうする?」
「……連れていくよ」
 まだ年齢的に十代とはいえ顔半分に骸骨なため預かる場所もないだろうし、魔物として殺されかねない。
「その方が、まだ安全な気がするから」
「たしかにな」
「そうね」
「それじゃ、今日はみんな疲れてるし寝よう」
 今はとにかく休息をとシャルルは提案し寝ることにした。自分自身も寝るようなそんな気持ちではないが、それはみんなも同じだろうけど……。

「ぐすっ、キャプテン……」
『イコーナッ』
 え……キャプテン、の声……。
『イコーナ……』
 キャプテンッ! よかった生きてたんだっ。
『おいおい、オレたちはアンデッド、もとから死んでるんだぜ』
 ……キャプテン、あたしキャプテンがいないと嫌、あたしも一緒に連れてって。
『イコーナ、それはできない』
 どうしてよっ、あたしもヴィルコ海賊団の一員だよっ、だから一緒に……。
『だからだよイコーナ』
 どういうこと?
『お前はオレたちヴィルコ海賊団最後の魂なんだ』
 最後って……やっぱり……。
『イコーナッ、船長命令だっ、オレたちは何時でも一緒だっ、だからっ、その魂を背負ってくれっ!』
 その……魂を……キャプテン・ヴィルコ……。

 次の日の早朝、エリイやトレチと一緒に部屋に寝ていたイコーナ。
「ふぁあ……」
「おはようございます……エリイ、さん」
「イコーナッ!」
「ふにゃ?」
 夢は幻だったのか何なのかは分からないが、イコーナは誰よりも早く起きていた……。

 イコーナも起きていて心配していたシャルルだったが昨日と違って歩く気があるようだと分かり、一行は五大精霊に向かうための船の情報を探すことにした。そのためにはコハーカ港を出て東の近い町ホバオへ歩を進める。

「――ここは、港町か!」
 歩いて半日、たどり着いたホバオ町は港町だった。そのため何隻かの船が停泊している。
「よしっ、じゃあ情報を探そう」
 シャルルは二手に分かれることにしてトレチとエリイとイコーナ、自身とレイジ行くことにした。だが決まったと思ったがイコーナはレイジと行きたいと言うので別にいいだろうと承諾して同行することにした。
「すいません……」
 早速と港の船に乗る船乗りに自分達の旅の話しを伝えた。
「――魔王を倒すために」
「いやそれがね、昨日から海の空が荒れててね」
「海の空、魔物か」
「そうなんだよ、仲間の船乗りが何人か殺られてとても出せる状況じゃなくて」
 この話し以降ほとんどの船乗りが同じ回答で辞めることさえ検討に入れてるという者もいるなど、シャルル達だけが襲われたわけではなかったようだと理解するも困り果ててしまう。
「オレたちだけじゃなかったんだ、襲われたのは……」
「みんなも、あんなふうに、殺されて……」
「どうするシャルル」
「トレチとエリイと合流しよう――」

「こっちも同じ」
「みんな空に魔物が現れてダメダメ」
「やっぱりあの魔物の大群、ただ事じゃなかったのよ」
「くっそー……どうすれば……」
 椅子に座っているシャルルは宿屋の天上を見上げながらひたすら考えていた。このままホバオに居座っても船は乗せてもらえそうにない。それならばと、可能性が少しでもあるこのサーキレ大陸にある他の港町に向かおうと思い歩くことにを提案した……。
「そうね、他の港町からでも徹底的に調べましょ」
「うん、今のオレたちにはそれしかないと思う、行こうっ!」
「あっ、そうだイコーナ」
「なんですかエリイさん?」
「ちょっとしてほしいことがあるの――」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

魔王城の清掃係ですが、ラスボスに懐かれて世界を磨くことになりました

由香
恋愛
異世界に転移したら、なぜか魔王城の清掃係に就職していました。 巨大な玉座、血のついた回廊、禍々しい装飾品の数々。 今日も黙々と床を磨いていたら―― 「お前の磨いた床は、よく眠れる」 恐怖の象徴と名高い魔王様に懐かれました。 見た目は完全にラスボス。 中身はちょっと不器用で、独占欲強めの努力型。 勇者は帰還の道を示し、魔王は隣を選べと願う。 光と闇のはざまで、選ぶのは――ただの清掃係。 戦争よりも、まず床。 征服よりも、まず対話。 これは、世界最強の存在に溺愛されながら 世界平和を“足元から”始める物語。 甘くて、少し熱くて、ちゃんと選ぶ恋。

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。  現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!  の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては…… (カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています) (イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...