コロシアムでチャンピオンになった勇者は、気ままに魔王討伐にむかいます

ヒムネ

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夢を信じて

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闇商人デマンティーの依頼を達成したシャルル一行だったが、荒れていた。
「ふざけるなっ!」
「ぐあっ!」
「依頼の報酬がないだと!?」
「あ、あんたらが達成出来るとは正直思ってなくて、へへっ」
「貴様っ!」
「もういいっ、レイジッ!」
「もういいだとっ、じゃあどうするというんだシャルル」
「……」
「コイツはオレ達を利用した挙句、依頼の報酬を別の者から受け取るかも知れない」
「え、そうなのか? トレチ」
「まあ裏の世界なんて調べたら切りないけど、デマンティーかれが何かと繋がってるって言われても不思議じゃないし、疑われても仕方がない世界に生きてるんだからね」
「そこの姉さんの言う通りだ、言い返す言葉も見当たらねえ。でも聞いてくれ」
「なんだ、命乞いか?」
「オレも調べたがあんたらの言う通り船はどこも出せず、裏でもそれは同じだったんだ。そんな船乗りたちだが、奇妙な事を言ってたんだ『雨雲に包まれた船』ってな」
「えっ!? それって」
「まさかロート・オーシャン号!?」
「船の名前までは知らねえが、その船に近づくものは通さず、まるで何かを待っているようにそこに停泊してるって話しだ」
「嘘じゃないだろうな」
「ほ、本当だっ、こんな情報を言ってもあんたらには有益じゃねえと思ったんだ!」
「どうする、シャルル」
 船を手に入れられると思ったシャルルだったが、まさかの振り出しに。だがもしその『雨雲に包まれた船』がロート・オーシャン号なら、キャプテン・ヴィルコは生きているかもしれないと考えた。
「だけどもし、ロート・オーシャン号だとしてもそこに行くまでの船はない」
「あの……」
「イコーナ」
「みなさん、ちょっと良いですか?」
 珍しくイコーナから話してきて何か言いたいことがあるのか。とりあえず店を出ようと歩くも最後までレイジはデマンティーを睨んでいたようだった。

「――はぁ~っ、まいったな~、せっかくドラゴン2匹とも倒したってのに」
「やはりデマンティーやつ締め上げる」
「ちょちょっとやめときなさいってっ」
「トレチ……うむ~」
「それでイコーナ、何か話したいことがあるなら聞くよ」
「はい、一週間くらい前のみなさんに助けられて宿に泊まった日のことです。あたし夢を見たんですキャプテンの夢を、それであたしを励ましてくれて、キャプテンも人の姿に戻ってて、カッコよかった」
「イコーナ……よかったね」
「はい、でもキャプテンは励ましてくれただけじゃなかったんです。キャプテンはあたしに、船長命令だ、その魂を背負ってくれって」
「へ~っ、そんなことを」
 イコーナのその夢は夢ではなくキャプテン・ヴィルコの何かのメッセージなのではないかと考えていた。
「イコーナには悪いけど、私はそれはただの夢だと思うけど」
「……オレもそう思う」
「もう~エリイもレイジも夢がないわね~、ロマンチックじゃな~い」
 トレチはイコーナに近づき頭をスリスリと撫でながら信じてみようと提案する。
「でもトレチ、あなたのいうことも分かるけど、船も無しにロート・オーシャン号までどうやって向かうのよ」
「それは~……わかんない」
「はぁ~っ、それじゃ意味ないじゃない」
「てへぺろっ」
「なあイコーナ」
「はい、シャルルさん」
「イコーナはみんなに夢の説明してくれたけど、イコーナ自身はどう思ってる?」
「……」
 少しの沈黙をしてイコーナは考えた。エリイの言う通りただ自分がキャプテン・ヴィルコを強く思ったがゆえの夢にすぎないと、でも意味ある事だと信じたい自分がいる。
「あたしは……意味ある事だと、思いますシャルルさん!」
 一週間前に内気で自分の意見を話すことが苦手そうだったイコーナ、でもそんなことはなく内には勇気と強さを持っていたんだとシャルルは感じて、決断をする。
「コハーカ港に戻ろう」
「コハーカ港はここから北東に向かえば行けるけど、なぜ?」
「そこがキャプテン・ヴィルコと離れて最初に着いた港だから、そこで何が出来るか分からないけど何かやれる事があるとすればコハーカ港だと思うんだ」
「シャルルさん!」
「どうすれば良いかは着いてから考えようイコーナ」
「はい!」
 シャルルは夢が何かのメッセージだと言うイコーナを信じて、このサーキレ大陸の最初に訪れたコハーカ港に戻ることにした……。
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