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約束
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しかし明らかに秋のテンションが下がったと気が付く高弘だった······。
その後も別のクラスの三年生達に同じ説明をするロボット先生。
一方、昼休み秋の前に座る高弘は、
「大丈夫かよ」
「高弘······」
休みの時間なのに一人下を向き暗い秋、
「別に良いんじゃねえの? 戻るくらい」
「そうだけど、もう会えないかもしんないじゃん」
「大げさな、心配なら聞きに」
「そうするっ!」
秋はすぐ立ち上がり眉を尖らせロボット先生の元に向かった。
「――最後まで言わせろよ、へへっ」
少し秋っぽさが戻りクスッとしたちょうどそこにパールが、
「高弘、アッキーハ?」
「パールさん、あいつはロボット先生んとこだよ」
「心配ダカラ見ニイク、高弘ハ?」
パールもまた元気のない彼女を心配していた。
「オレは別に······」
「ソウ」
扉の方に向き出ようとするとやっぱり気になる彼は右手でかきむしりながら、
「あ~待って、オレも行く行くっ」
二人は秋の様子を見に職員室へ向かった。
パールと高弘がコッソリ秋を追いかけているのを廊下で偶然にも千里が見かけて九美に伝える。
「パール先輩と高弘先輩が二人で······」
「うん、何か追っかけてる感じで~」
「ふ~ん、気になるな」
机を見ながら口元に右手をグーにして顎にあてながら考え、
「よしっ、行ってみよっ、ありがとね千里」
「ほ~い」二人を追いかけて行った。
すると今度は、
「九美さん勉強······あれ?」
唯安が来たので、
「九美っちいないよ~」
「え~また~······千里さん、お願い一緒に九美さんを探して!」
「へっ?」
勉強を教えて貰おうと来たが九美がいないので探そうとしたが千里は説明し旅は道連れ、一緒に向かうことに······。
「失礼します」
秋が口をムスッとして職員室に入ると、
「来ると思ってましたよ」
「先生······」
「座ってください」
彼女が座りロボット先生も座って対面する。
「先生、本当に戻るんですよね」
「はい、本当に戻ります」
「じゃあ、学校にはいつ帰って来るんですか?」
「······分かりません」
「えっ?」
驚きと同時に不安が広がって、そんな秋にロボット先生は口を開く。
「私はロボットなので、元の場所に戻れば沢山の人がいます。そこでメンテナンスをしたり、チェックしてその沢山の人達が私の次を決めるのです。なので、自分の自由では決められないのです」
そんな、とさらに落ち込み目を閉じてしまう。
「秋さん、人権はわかりますよね」
「······人間が持ってる権利」
「そうです、人には人権がありますが――ロボットには、Aiには人権は無いんです」
「でも」
先生を涙を浮かべた目で話す。
「でも先生は自分で戻るって言ったじゃないですか。どうして、戻らなくたっていいのに」
彼女の純粋な瞳にそらさず彼は言う、
「秋さん私はね、この一年近くで、人に、生徒に秋さん達に感動したんです」
無言で聞く秋、話は続く、
「自分で反省し友達になったり、憧れの人達と出会い夢が見つかったり、先輩に助けられ不良から立ち直ったり、様々なことを見て感じ幸せと想えたんです」
「先生」
「秋さんだっていつまでも学校にいるわけにはいかないのです。あなたのその純粋で真っ直ぐな目を見て救われる人達がこの先沢山現れるんですから」
自分にも夢がある、そのために歩く、きっとロボット先生も。
「······分かりました先生――あの1つだけお願いします」
「何ですか?」
「もし、もし私が大学受かったら、先生の言葉がほしいです」
思いもよらないことを言われたロボット先生は少し考えて、
「解りました、良いですよ」
「ありがとう先生、ぐすっ」
「さあさあ授業に戻りましょう」
「先生、私先生大好きです」
秋は笑顔で納得して、職員室を出た。
涙を拭いながら······。
「辛くないですか、ぐすっ」
大井先生も聞こえていて少し泣いたようだ。
「今回は、辛いですね······」
彼女を慰めながらも自分は真実を隠し嘘をつく、仕方のないことだとしても、あの純粋な眼差しを直視することがこんなにも辛いと感じまた自分を嫌になるのも初めてだった······。
職員室を出た秋の近くに、
「アッキー大丈夫?」
「パール、高弘。うん、もう大丈夫!」
「ヨカッタ!」
高弘は何も言わないけれど心の中で安心する。戻ろうと三人で歩いていると更に、
「先輩」
「ん、九美何でこんなとこに? 唯安ちゃんと千里ちゃん、こんにちは」
「こんにちは」「こんにちは~」
「二人とは途中で······先輩、泣いた?」
「うん、ロボット先生がいなくなることで」
「えっ、そうなんですか!」「マジ~!」
唯安と千里は驚くが九美は、
「そうなんだ······」
「二年生には話してないのかな?」
「多分、二年生の所にロボット先生は授業しないから」
そう言いつつみんなが静まってしまう。
高弘がやれやれと、
「おい、早く教室に戻ろうぜ」
話に夢中で忘れていた皆は急いで教室に戻っていった······。
放課後、大井先生は三年生を見て、三年生とロボット先生をこのままではよくないと思い、お別れ会の準備をすることに決める。
次の日三年生達にお別れ会を提案すると、皆喜んでOKしてくれた。
その事を秋は九美に話す。
「大井先生がね、ロボット先生のお別れ会やろうって提案してさ、することになったの!」
「いいな~、あたしも参加したかったな~」
「そっか~、でも授業中だから」
お別れ会は三年生だけでやるため九美を含めた一、二年生は参加できない。
「しょうがないし先輩、お別れ会楽しんでね」
「うん!」
もっと残念がると思ったが納得したのか以外とあっさり諦める。
そして、お別れ会の日――。
その後も別のクラスの三年生達に同じ説明をするロボット先生。
一方、昼休み秋の前に座る高弘は、
「大丈夫かよ」
「高弘······」
休みの時間なのに一人下を向き暗い秋、
「別に良いんじゃねえの? 戻るくらい」
「そうだけど、もう会えないかもしんないじゃん」
「大げさな、心配なら聞きに」
「そうするっ!」
秋はすぐ立ち上がり眉を尖らせロボット先生の元に向かった。
「――最後まで言わせろよ、へへっ」
少し秋っぽさが戻りクスッとしたちょうどそこにパールが、
「高弘、アッキーハ?」
「パールさん、あいつはロボット先生んとこだよ」
「心配ダカラ見ニイク、高弘ハ?」
パールもまた元気のない彼女を心配していた。
「オレは別に······」
「ソウ」
扉の方に向き出ようとするとやっぱり気になる彼は右手でかきむしりながら、
「あ~待って、オレも行く行くっ」
二人は秋の様子を見に職員室へ向かった。
パールと高弘がコッソリ秋を追いかけているのを廊下で偶然にも千里が見かけて九美に伝える。
「パール先輩と高弘先輩が二人で······」
「うん、何か追っかけてる感じで~」
「ふ~ん、気になるな」
机を見ながら口元に右手をグーにして顎にあてながら考え、
「よしっ、行ってみよっ、ありがとね千里」
「ほ~い」二人を追いかけて行った。
すると今度は、
「九美さん勉強······あれ?」
唯安が来たので、
「九美っちいないよ~」
「え~また~······千里さん、お願い一緒に九美さんを探して!」
「へっ?」
勉強を教えて貰おうと来たが九美がいないので探そうとしたが千里は説明し旅は道連れ、一緒に向かうことに······。
「失礼します」
秋が口をムスッとして職員室に入ると、
「来ると思ってましたよ」
「先生······」
「座ってください」
彼女が座りロボット先生も座って対面する。
「先生、本当に戻るんですよね」
「はい、本当に戻ります」
「じゃあ、学校にはいつ帰って来るんですか?」
「······分かりません」
「えっ?」
驚きと同時に不安が広がって、そんな秋にロボット先生は口を開く。
「私はロボットなので、元の場所に戻れば沢山の人がいます。そこでメンテナンスをしたり、チェックしてその沢山の人達が私の次を決めるのです。なので、自分の自由では決められないのです」
そんな、とさらに落ち込み目を閉じてしまう。
「秋さん、人権はわかりますよね」
「······人間が持ってる権利」
「そうです、人には人権がありますが――ロボットには、Aiには人権は無いんです」
「でも」
先生を涙を浮かべた目で話す。
「でも先生は自分で戻るって言ったじゃないですか。どうして、戻らなくたっていいのに」
彼女の純粋な瞳にそらさず彼は言う、
「秋さん私はね、この一年近くで、人に、生徒に秋さん達に感動したんです」
無言で聞く秋、話は続く、
「自分で反省し友達になったり、憧れの人達と出会い夢が見つかったり、先輩に助けられ不良から立ち直ったり、様々なことを見て感じ幸せと想えたんです」
「先生」
「秋さんだっていつまでも学校にいるわけにはいかないのです。あなたのその純粋で真っ直ぐな目を見て救われる人達がこの先沢山現れるんですから」
自分にも夢がある、そのために歩く、きっとロボット先生も。
「······分かりました先生――あの1つだけお願いします」
「何ですか?」
「もし、もし私が大学受かったら、先生の言葉がほしいです」
思いもよらないことを言われたロボット先生は少し考えて、
「解りました、良いですよ」
「ありがとう先生、ぐすっ」
「さあさあ授業に戻りましょう」
「先生、私先生大好きです」
秋は笑顔で納得して、職員室を出た。
涙を拭いながら······。
「辛くないですか、ぐすっ」
大井先生も聞こえていて少し泣いたようだ。
「今回は、辛いですね······」
彼女を慰めながらも自分は真実を隠し嘘をつく、仕方のないことだとしても、あの純粋な眼差しを直視することがこんなにも辛いと感じまた自分を嫌になるのも初めてだった······。
職員室を出た秋の近くに、
「アッキー大丈夫?」
「パール、高弘。うん、もう大丈夫!」
「ヨカッタ!」
高弘は何も言わないけれど心の中で安心する。戻ろうと三人で歩いていると更に、
「先輩」
「ん、九美何でこんなとこに? 唯安ちゃんと千里ちゃん、こんにちは」
「こんにちは」「こんにちは~」
「二人とは途中で······先輩、泣いた?」
「うん、ロボット先生がいなくなることで」
「えっ、そうなんですか!」「マジ~!」
唯安と千里は驚くが九美は、
「そうなんだ······」
「二年生には話してないのかな?」
「多分、二年生の所にロボット先生は授業しないから」
そう言いつつみんなが静まってしまう。
高弘がやれやれと、
「おい、早く教室に戻ろうぜ」
話に夢中で忘れていた皆は急いで教室に戻っていった······。
放課後、大井先生は三年生を見て、三年生とロボット先生をこのままではよくないと思い、お別れ会の準備をすることに決める。
次の日三年生達にお別れ会を提案すると、皆喜んでOKしてくれた。
その事を秋は九美に話す。
「大井先生がね、ロボット先生のお別れ会やろうって提案してさ、することになったの!」
「いいな~、あたしも参加したかったな~」
「そっか~、でも授業中だから」
お別れ会は三年生だけでやるため九美を含めた一、二年生は参加できない。
「しょうがないし先輩、お別れ会楽しんでね」
「うん!」
もっと残念がると思ったが納得したのか以外とあっさり諦める。
そして、お別れ会の日――。
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