ロボット先生

ヒムネ

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卒業と先生からのメッセージ

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 桜はまだつぼみの3月1日、卒業式。

「今日卒業か~」

「何カ寂シソウ、アッキー」
「パール······まあね~、あっちも」
 秋が向いた方向に高弘が、
「高弘モ静カダネ」
 教室に集まった生徒達は時間が経つと続々と体育館に向かう。廊下に出ると友達と話ながら歩く人、緊張してる人、呑気な人など十人十色。
 広い体育館に着くとそこには沢山の先生、大勢の後輩、保護者の人達が集まっている。
 さすがの秋も緊張して手汗が出るが、パールはいつも通りの笑顔で、高弘は変わらず静かに真っ直ぐ前を見ている。中にはもう泣いている女子も、皆思いはそれぞれ。

 卒業生入場から始まって、国歌斉唱、卒業証書授与は高弘、秋、パールと順に受けとっていく。
 貰った時に秋とパールは少しの寂しさが湧いてくる。

 式辞、祝電と進んで、その頃には泣いている生徒も増えてきた。無理もない、体育館の中全体がそういう空気になっていたから。
 パールが涙目になっていることに気づいた秋は仕方ないわねと大人ぶっていたが、

「ううっ······」

 送辞での後輩女子一人目が緊張しながらも読んでいる最中、感動で不意にも先に涙をこぼしてしまう。
 読み終わった子も緊張感からの解放と想いで泣いていた。

 最後に式歌 旅立ちの日 を何とか涙をこらえて歌いきった生徒達······。

 そして司会者の閉会式宣言によって卒業生は退場、あっという間に三年生の卒業式は終わる――。

 様々な想いを募らせ教室に戻った卒業生達、そこには大井先生が桜色で柄のなく紺色の袴の着物で待っていたのだ。

「みんな、卒業おめでとう、席に座って」

 皆席に座ると机には卒業アルバムがあったので早速皆それぞれに思いやメッセージを書いていく。もちろん秋達も、
「パール書こう!」
「アッキーモ、書イテ」
「はい、高弘」
「あいよ」
 まるで流れ作業のように次々と皆に言葉を書いていく。

 ありがとうやおめでとう等など沢山のメッセージが目に入るとやっぱり嬉しく、さっきまでの悲しい空気から教室は賑やかな雰囲気になっていった。

「はいみんな、また席について。ここで、先生から皆に最後の言葉を贈ります」

 ざわざわしながら再び席に座り、大井先生の最後の言葉に皆静まって先生に注目する。

「改めて卒業おめでとう。男の子も女の子も色々なことがあったと思います。嬉しいことや楽しいこともあったでしょう。もちろん、辛いことや悲しいことがあった人もいると思います。それでも、こうしてみんなが誰一人欠けることなく、席に着いてくれていることが私は嬉しいです。この先、未来には、また様々なことが待っていると思います。くじけそうな時があるかもしれません。そんな時に、この卒業した時を思い出してください。そして、一人で悩まないで、色んな人に話してください、相談してください、先生も相談にのります。そうすれば、きっとみんなには、より良き人生が歩めると思います。話が長くなりましたが最後にありがとうございました」

 一人一人の目を順番に右側から見て話す大井先生、話してる時に泣くことはなかったが終わると卒業生達の中にまた、涙を流す人も。今日でどれだけの感動と寂しさの涙が流れたことか、おそらく年に一度だけの催花雨だろう。

 最後に、皆で大井先生に頭を下げ挨拶をして、お世話になった教室を後にする······。
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