ロボット先生

ヒムネ

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生きる希望と合否

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 ――午後、とある公園に不良の二人は呼ばれて待っていた。
「一体なんなんだろう」
「さあね、何を······来たか」
 公園に向かって一人歩いてくる女子高生が彼女達の元に、

「久しぶりだな真紀、葵」

「九美」

 二人を呼んだ相手は先週の先輩達の卒業式に足を運んだ九美だった。すると真紀は、
「九美、てめえ何でうちらを呼んだ」
「どういうつもりだ」
「相変わらず、不良は続けてるみたいだな」
「それがどうした、ああん?」
 二人は威嚇するように鋭く睨みだす。だが
臆することなく彼女は、

「真紀、葵、もう不良はやめろ」

「なんだとコラッ、てめえにそんな筋合いあんのかよ」
 胸ぐらを掴む葵。
「てめえ何様のつもりだ、殺すぞ」
 真紀は威嚇するが掴まれた手を払い、
「一人不良の時、あんた達はあたしの前に現れた。互いが不良だから実力を示すため殴りあって、あたしが勝ち三人で組んだ······」
 九美が高一の時だった。
「なに年寄り見てえに言って」
「あんたらには······あんたらにはホント感謝してる」
「はあ?」
「寂しかったあたしを、あんた達は負けたからって常にあたしの側に居てくれた、だからさ」
「······だから、何だよ?」

「今度はあたしがあんた達を更生させてみせるっ!」

 その言葉に真紀は目を閉じニヤリとしたあと突然、

「ふざけんなぁぁーっ!」

 右腕を思いっきり振り上げ九美の左頬を殴る。
「オラ、立てよコラァッ」
 頬を右手で拭いゆっくりと立ち上がり、
「へへっ、懐かしい、なっ!」
 右の拳をくり出す。だが、左手で受け止められた。その手を右手で掴み前進し、
「うあっ!」
 九美は真紀のでこに頭突きをかました。
「この、やっちまえーっ!」
「2対1で勝てると思うなぁぁーっ!」
「かかってきやがれぇぇーっ!」

 ――先輩、あたしやってみるよ。こんなあたしにを与えてくれた先輩達。だから今度はこいつらに、あたしがを与えてみさせるから――。


「やった、やったよ皆!」

 3月11日合否の結果発表、秋は不安だったが寝る間も削り何とか大学に受かったのだ。

 そしてその事をいち早くロボット先生にも伝えに会いに行く。
「先生いるかな~、まだ居るはずよね~」
 ルンルンとスキップしながら学校に着くが、

「先生······」

 どこを見渡すも静かな母校、そこにロボット先生の姿はなく冷たい風だけが吹く。

「ロボット先生、どうして? 会ってくれるって」

「秋さん」
 一人ロボット先生を探す秋に声をかけてきたのは大井先生だった。


「あ、大井先生こんにちは。あの、あたし合格したんです!」
「すご~い、合格おめでとう」
「えへへ、ありがとうございます。それであの、ロボット先生は······」
 すると眉が下がり、
「ごめんなさい。ロボット先生は······もう帰ってしまったの」

 今日会えないと知り寂しい表情の秋は下を向き、

「やっぱり、そうなんですね······」
 せっかく頑張ったのに、一番に伝えてロボット先生に誉めてほしかったのに、約束したのに。

「でもね、ロボット先生はちゃんと秋さんにメッセージを残してくれたわ」

 そう言われるとすぐ頭を上げ、
「ホントですかっ! 良かった~っ」
 彼女は安堵し大井先生は自分のスマホを渡す。その画像にはロボット先生の姿が、

「――良いですか、ロボット先生」
「はい、構いません」
「3、2、1、はいっ」

「こんにちは、ロボット先生です。秋さん、会えなくてすいませんでした。会えないのは残念ですが、大学合格おめでとうございます。勉強が大変だったのは見ていたのでわかりました。それでもめげずに努力して、素晴らしいと思います。ちょっと早いですが、大学卒業して看護師にもしなったら、秋さんの元気な姿にきっと沢山の人が救われると思っています。ですから大学、頑張ってくださいね。そして最初に言いましたが、本当に会えなくてすいませんでした。先生は、いつまでも秋さんの幸せを祈っていますよ」

 笑顔のロボット先生、そこで画像が切れた。
 その画像を見て嬉しくなり、

「······大井先生ありがとう。ぐすっ」

「ロボット先生はね、『秋さんなら必ず合格します』って言ってきてね、勘ですか? って訊いたら『勘です』って、だから不合格の時の画像は要らないってこれしか撮らなかったのよ」

「そう、なんですね、ぐすっ」
 秋の涙目につられて大井先生も目頭が熱くなる。

「それと秋さんごめんなさい会わせられなくて。でもロボット先生は本当に秋さんを応援してるから、もちろん私も。これから大変なこともあると思うけど、頑張って!」

「はいっ、大井先生、色々ありがとうございました。私頑張りますっ!」

 涙目の二人は、笑顔を取り戻し挨拶をして秋は大井先生と別れた。
 ロボット先生の言葉を胸に閉まって······。
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