31 / 35
生きる希望と合否
しおりを挟む
――午後、とある公園に不良の二人は呼ばれて待っていた。
「一体なんなんだろう」
「さあね、何を······来たか」
公園に向かって一人歩いてくる女子高生が彼女達の元に、
「久しぶりだな真紀、葵」
「九美」
二人を呼んだ相手は先週の先輩達の卒業式に足を運んだ九美だった。すると真紀は、
「九美、てめえ何でうちらを呼んだ」
「どういうつもりだ」
「相変わらず、不良は続けてるみたいだな」
「それがどうした、ああん?」
二人は威嚇するように鋭く睨みだす。だが
臆することなく彼女は、
「真紀、葵、もう不良はやめろ」
「なんだとコラッ、てめえにそんな筋合いあんのかよ」
胸ぐらを掴む葵。
「てめえ何様のつもりだ、殺すぞ」
真紀は威嚇するが掴まれた手を払い、
「一人不良の時、あんた達はあたしの前に現れた。互いが不良だから実力を示すため殴りあって、あたしが勝ち三人で組んだ······」
九美が高一の時だった。
「なに年寄り見てえに言って」
「あんたらには······あんたらにはホント感謝してる」
「はあ?」
「寂しかったあたしを、あんた達は負けたからって常にあたしの側に居てくれた、だからさ」
「······だから、何だよ?」
「今度はあたしがあんた達を更生させてみせるっ!」
その言葉に真紀は目を閉じニヤリとしたあと突然、
「ふざけんなぁぁーっ!」
右腕を思いっきり振り上げ九美の左頬を殴る。
「オラ、立てよコラァッ」
頬を右手で拭いゆっくりと立ち上がり、
「へへっ、懐かしい、なっ!」
右の拳をくり出す。だが、左手で受け止められた。その手を右手で掴み前進し、
「うあっ!」
九美は真紀のでこに頭突きをかました。
「この、やっちまえーっ!」
「2対1で勝てると思うなぁぁーっ!」
「かかってきやがれぇぇーっ!」
――先輩、あたしやってみるよ。こんなあたしに生きる希望を与えてくれた先輩達。だから今度はこいつらに、あたしが生きる希望を与えてみさせるから――。
「やった、やったよ皆!」
3月11日合否の結果発表、秋は不安だったが寝る間も削り何とか大学に受かったのだ。
そしてその事をいち早くロボット先生にも伝えに会いに行く。
「先生いるかな~、まだ居るはずよね~」
ルンルンとスキップしながら学校に着くが、
「先生······」
どこを見渡すも静かな母校、そこにロボット先生の姿はなく冷たい風だけが吹く。
「ロボット先生、どうして? 会ってくれるって」
「秋さん」
一人ロボット先生を探す秋に声をかけてきたのは大井先生だった。
「あ、大井先生こんにちは。あの、あたし合格したんです!」
「すご~い、合格おめでとう」
「えへへ、ありがとうございます。それであの、ロボット先生は······」
すると眉が下がり、
「ごめんなさい。ロボット先生は······もう帰ってしまったの」
今日会えないと知り寂しい表情の秋は下を向き、
「やっぱり、そうなんですね······」
せっかく頑張ったのに、一番に伝えてロボット先生に誉めてほしかったのに、約束したのに。
「でもね、ロボット先生はちゃんと秋さんにメッセージを残してくれたわ」
そう言われるとすぐ頭を上げ、
「ホントですかっ! 良かった~っ」
彼女は安堵し大井先生は自分のスマホを渡す。その画像にはロボット先生の姿が、
「――良いですか、ロボット先生」
「はい、構いません」
「3、2、1、はいっ」
「こんにちは、ロボット先生です。秋さん、会えなくてすいませんでした。会えないのは残念ですが、大学合格おめでとうございます。勉強が大変だったのは見ていたのでわかりました。それでもめげずに努力して、素晴らしいと思います。ちょっと早いですが、大学卒業して看護師にもしなったら、秋さんの元気な姿にきっと沢山の人が救われると思っています。ですから大学、頑張ってくださいね。そして最初に言いましたが、本当に会えなくてすいませんでした。先生は、いつまでも秋さんの幸せを祈っていますよ」
笑顔のロボット先生、そこで画像が切れた。
その画像を見て嬉しくなり、
「······大井先生ありがとう。ぐすっ」
「ロボット先生はね、『秋さんなら必ず合格します』って言ってきてね、勘ですか? って訊いたら『勘です』って、だから不合格の時の画像は要らないってこれしか撮らなかったのよ」
「そう、なんですね、ぐすっ」
秋の涙目につられて大井先生も目頭が熱くなる。
「それと秋さんごめんなさい会わせられなくて。でもロボット先生は本当に秋さんを応援してるから、もちろん私も。これから大変なこともあると思うけど、頑張って!」
「はいっ、大井先生、色々ありがとうございました。私頑張りますっ!」
涙目の二人は、笑顔を取り戻し挨拶をして秋は大井先生と別れた。
ロボット先生の言葉を胸に閉まって······。
「一体なんなんだろう」
「さあね、何を······来たか」
公園に向かって一人歩いてくる女子高生が彼女達の元に、
「久しぶりだな真紀、葵」
「九美」
二人を呼んだ相手は先週の先輩達の卒業式に足を運んだ九美だった。すると真紀は、
「九美、てめえ何でうちらを呼んだ」
「どういうつもりだ」
「相変わらず、不良は続けてるみたいだな」
「それがどうした、ああん?」
二人は威嚇するように鋭く睨みだす。だが
臆することなく彼女は、
「真紀、葵、もう不良はやめろ」
「なんだとコラッ、てめえにそんな筋合いあんのかよ」
胸ぐらを掴む葵。
「てめえ何様のつもりだ、殺すぞ」
真紀は威嚇するが掴まれた手を払い、
「一人不良の時、あんた達はあたしの前に現れた。互いが不良だから実力を示すため殴りあって、あたしが勝ち三人で組んだ······」
九美が高一の時だった。
「なに年寄り見てえに言って」
「あんたらには······あんたらにはホント感謝してる」
「はあ?」
「寂しかったあたしを、あんた達は負けたからって常にあたしの側に居てくれた、だからさ」
「······だから、何だよ?」
「今度はあたしがあんた達を更生させてみせるっ!」
その言葉に真紀は目を閉じニヤリとしたあと突然、
「ふざけんなぁぁーっ!」
右腕を思いっきり振り上げ九美の左頬を殴る。
「オラ、立てよコラァッ」
頬を右手で拭いゆっくりと立ち上がり、
「へへっ、懐かしい、なっ!」
右の拳をくり出す。だが、左手で受け止められた。その手を右手で掴み前進し、
「うあっ!」
九美は真紀のでこに頭突きをかました。
「この、やっちまえーっ!」
「2対1で勝てると思うなぁぁーっ!」
「かかってきやがれぇぇーっ!」
――先輩、あたしやってみるよ。こんなあたしに生きる希望を与えてくれた先輩達。だから今度はこいつらに、あたしが生きる希望を与えてみさせるから――。
「やった、やったよ皆!」
3月11日合否の結果発表、秋は不安だったが寝る間も削り何とか大学に受かったのだ。
そしてその事をいち早くロボット先生にも伝えに会いに行く。
「先生いるかな~、まだ居るはずよね~」
ルンルンとスキップしながら学校に着くが、
「先生······」
どこを見渡すも静かな母校、そこにロボット先生の姿はなく冷たい風だけが吹く。
「ロボット先生、どうして? 会ってくれるって」
「秋さん」
一人ロボット先生を探す秋に声をかけてきたのは大井先生だった。
「あ、大井先生こんにちは。あの、あたし合格したんです!」
「すご~い、合格おめでとう」
「えへへ、ありがとうございます。それであの、ロボット先生は······」
すると眉が下がり、
「ごめんなさい。ロボット先生は······もう帰ってしまったの」
今日会えないと知り寂しい表情の秋は下を向き、
「やっぱり、そうなんですね······」
せっかく頑張ったのに、一番に伝えてロボット先生に誉めてほしかったのに、約束したのに。
「でもね、ロボット先生はちゃんと秋さんにメッセージを残してくれたわ」
そう言われるとすぐ頭を上げ、
「ホントですかっ! 良かった~っ」
彼女は安堵し大井先生は自分のスマホを渡す。その画像にはロボット先生の姿が、
「――良いですか、ロボット先生」
「はい、構いません」
「3、2、1、はいっ」
「こんにちは、ロボット先生です。秋さん、会えなくてすいませんでした。会えないのは残念ですが、大学合格おめでとうございます。勉強が大変だったのは見ていたのでわかりました。それでもめげずに努力して、素晴らしいと思います。ちょっと早いですが、大学卒業して看護師にもしなったら、秋さんの元気な姿にきっと沢山の人が救われると思っています。ですから大学、頑張ってくださいね。そして最初に言いましたが、本当に会えなくてすいませんでした。先生は、いつまでも秋さんの幸せを祈っていますよ」
笑顔のロボット先生、そこで画像が切れた。
その画像を見て嬉しくなり、
「······大井先生ありがとう。ぐすっ」
「ロボット先生はね、『秋さんなら必ず合格します』って言ってきてね、勘ですか? って訊いたら『勘です』って、だから不合格の時の画像は要らないってこれしか撮らなかったのよ」
「そう、なんですね、ぐすっ」
秋の涙目につられて大井先生も目頭が熱くなる。
「それと秋さんごめんなさい会わせられなくて。でもロボット先生は本当に秋さんを応援してるから、もちろん私も。これから大変なこともあると思うけど、頑張って!」
「はいっ、大井先生、色々ありがとうございました。私頑張りますっ!」
涙目の二人は、笑顔を取り戻し挨拶をして秋は大井先生と別れた。
ロボット先生の言葉を胸に閉まって······。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる