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桃太郎と猿【前編】
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「ーーはっ」
木葉が鼻に落ち、僅かな感触。
「目を覚ましたわね」
和装がスレや土で汚れている中、キジの凉と交代で仮眠していた桃太郎こと桃子。
「猿は?」
「相変わらず木の上にぶら下がってるわよ」
刀を持ち、
「今度こそ捕まえて見せます······」
昨晩、一人と一羽が猿の居るという森に着いた時の事。
「猿殿~っ」
「飛んで探すわ」
しかし日も暮れているため真っ暗で進みずらいため、
「今日はもう夜だし止めたら?」
「それも、そうですね」
互いに納得して火を起こす準備をしようとする。
そのとき微かな草が踏まれる音、
「何奴」気を引き締め、
「誰、出てきなさい!」
凉が声を大にして言うと出てきたのは、
「人間とキジ、桃太郎だな」
右目に傷のある猿だ。
「オイラを誘いに来たのか?」
「左様、だがその前に周りの警戒を解いてください」
「······みんな!」
すると隠れていた猿が、九匹、十匹と出てきて、
「さあ、解いたぜ」
「では仲間に」
袋から本吉備団子を出すその瞬間、
彼は木の枝に乗り、
「そいつは受け取れない」
「なぜっ?」
驚く彼女に、
「犬も言ったーーって連れてないな、柴犬はどうした?」
「訳あってキジの涼殿から仲間にしました」
「そう、か」
思いもよらない事に猿は考えた。
「分かった、知らないなら教えてやるよ。オイラは木の枝から降りない、そのオイラを捕まえることが出来たら団子は受け取る、いいな?」
「分かりました」
「木登り得意なの桃子?」
「いえ、兄は良く登ってましたが、私は余り」
「手を貸すわよ」
凉と力を合わせれば可能性は上がる。けども、
「まずは一人でやらせてください」
「そう、分かったわ」
「刀はここに置いときますので、見張っててください」
そして猿を捕まえる木登りが始まったのだ。
あれから闇夜でも、慣れず必死に枝から枝へ乗り移り、時には失敗しボロボロになりながら休憩を挟み、
「猿よ、私も休息いたす、そちも休まれよ」
「ボロボロね」
「いたた、おばあ様には悪いことをしてしまった」
身体中アザだらけだが、和装を気にする桃太郎に、
「ホラよ」
彼はリンゴやバナナ等の果物をくれた。
「ありがたい。しかし何故?」
「飯無さそうだからな。お前良く見りゃ女だな、桃太郎なのに」
「確かに女ですが、桃太郎です。もぐっ」
正座してバナナを口にする。
「まだ続けんのか?」
その問いに桃子は笑顔で、
「もちろん、お主を認めさせて見せます!」
「へっ、根性あるじゃねえかーー」
木葉が鼻に落ち、僅かな感触。
「目を覚ましたわね」
和装がスレや土で汚れている中、キジの凉と交代で仮眠していた桃太郎こと桃子。
「猿は?」
「相変わらず木の上にぶら下がってるわよ」
刀を持ち、
「今度こそ捕まえて見せます······」
昨晩、一人と一羽が猿の居るという森に着いた時の事。
「猿殿~っ」
「飛んで探すわ」
しかし日も暮れているため真っ暗で進みずらいため、
「今日はもう夜だし止めたら?」
「それも、そうですね」
互いに納得して火を起こす準備をしようとする。
そのとき微かな草が踏まれる音、
「何奴」気を引き締め、
「誰、出てきなさい!」
凉が声を大にして言うと出てきたのは、
「人間とキジ、桃太郎だな」
右目に傷のある猿だ。
「オイラを誘いに来たのか?」
「左様、だがその前に周りの警戒を解いてください」
「······みんな!」
すると隠れていた猿が、九匹、十匹と出てきて、
「さあ、解いたぜ」
「では仲間に」
袋から本吉備団子を出すその瞬間、
彼は木の枝に乗り、
「そいつは受け取れない」
「なぜっ?」
驚く彼女に、
「犬も言ったーーって連れてないな、柴犬はどうした?」
「訳あってキジの涼殿から仲間にしました」
「そう、か」
思いもよらない事に猿は考えた。
「分かった、知らないなら教えてやるよ。オイラは木の枝から降りない、そのオイラを捕まえることが出来たら団子は受け取る、いいな?」
「分かりました」
「木登り得意なの桃子?」
「いえ、兄は良く登ってましたが、私は余り」
「手を貸すわよ」
凉と力を合わせれば可能性は上がる。けども、
「まずは一人でやらせてください」
「そう、分かったわ」
「刀はここに置いときますので、見張っててください」
そして猿を捕まえる木登りが始まったのだ。
あれから闇夜でも、慣れず必死に枝から枝へ乗り移り、時には失敗しボロボロになりながら休憩を挟み、
「猿よ、私も休息いたす、そちも休まれよ」
「ボロボロね」
「いたた、おばあ様には悪いことをしてしまった」
身体中アザだらけだが、和装を気にする桃太郎に、
「ホラよ」
彼はリンゴやバナナ等の果物をくれた。
「ありがたい。しかし何故?」
「飯無さそうだからな。お前良く見りゃ女だな、桃太郎なのに」
「確かに女ですが、桃太郎です。もぐっ」
正座してバナナを口にする。
「まだ続けんのか?」
その問いに桃子は笑顔で、
「もちろん、お主を認めさせて見せます!」
「へっ、根性あるじゃねえかーー」
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