七代目 双子の桃太郎

ヒムネ

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    戦いは最後まで

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「これが鬼·力·解·雷きりょくかいらい、姉貴」
 只でさえ引き締まった筋肉が更に強く引き締まり、力がみなぎってくる。
「ああ、ちゃんと触れといたぜ」
 弟は自分が雷を受けた時のために姉に触れるよう頼んでいたのだ。

 皆が止まる。

「ぬぬ、おのれ~」

「時雨め」鬼夫婦は動揺していた。

「へへ、待たせたな桃子。行くぜ時雨!」
「ああ!」
 双子の鬼は二手に別れる。

「覚悟しろ、親父ーっ!」
「ガキがーっ!」

 拳と拳がぶつかり、

「桃太っ、遅れてすまない、休んでいてくれ」
「時雨」
「親父は俺が倒すっ」
 その言葉で一人と二匹は離れ、
「良かったな桃太、これで安心だ」
「桃太?」
「ああ」
 安堵する源太と飛竜に対し彼の目は、鋭いまま――。

「どけ、桃子と二羽、あたしがそいつに天罰を下してやらーっ!」
「ちいーっ」
「オラオラオラーっ」
 夕陽は素早く乱打をする。
「あんたは雷で強くなった、だがあたしは今まで雷無しで戦ってたんだ。つまり今のあたしはあんたより強い!」
「いい気になるなーっ!」
 負けじと張り手で全て受け止めていく。
「何か行けそうですね」
「そうね桃子」
「はい、これなら――」

「うおーっ!」
「ぐっ」
 時雨と紅蓮との殴り合いは時雨が僅かに押していた。鬼神が下がれば、
「逃がさん」
 青鬼が追い掛けるため休む暇をあたえない。
「はぁはぁはぁ」
「どうだ親父、痛いだろ。だがそれを俺達姉弟はずっとあんたから受けてきた」
「ぬう、うがーっ」
 それでも殴ろうとした拳を払い、
「ふんっ」
 頬に当てる。
「はぁはぁ、おのれ~」
「いい加減、降参しろ。いつまで続ければ気が済むんだ――」

 その様子を見ながら、
「あ、あにぃ
「そっちはどうだ?」
「こっちは」

「ふんっ」
 空麗が右の頬を張り手をすれば、
「へへ、うらっ」
 夕陽が左の頬を殴り返すと、ついに地面に手をつく、
「はぁ、はぁ、はぁ」
「さっきは散々やってくれたな」
「はぁ、このガキが」

「何時までもいつまでも、見下してんじゃねえよっ!」
 拳を降るが手で止められた。
「くっ」
「黙れ、我以外は皆下僕よ、フオッホッホッ」
 こんな不利な状況でも自分の考えを改めない事に虚しさと悲しさが沸き上がる。
「この分からず屋が――」

「ついに終わるな」
 飛竜がそう言うと皆に笑顔が、しかし桃太が、

「皆、拙者に最後の考えがある」

「え? もう勝ちだろう」
「兄」
「今は優勢であるが、万が一もある」
「そうかしら?」
「桃太殿」

「拙者が最後の隙を作ったら、桃子、皆、全ての力を込めて攻めるのだ」

 妹は、兄が何かを感じていると思い、
「······分かりました、皆さんも最後の力を」
 皆がその真剣な顔に頷き、力をこめていく――。
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