花火でみえた少年と幽霊の『真実』

ヒムネ

文字の大きさ
2 / 4

気になること

しおりを挟む
「・・・おどろいた・・・よね?」

「ふ、ふーん、そんなこともあるもんなんだね」

「え、怖くないの?」

「驚いたけど、普通ってかんじ」


 オレは強がった。だって高1のオレが幽霊怖いとか言ってたらかっこ悪いって言葉が頭を走ってだからズボンのポケットに手を入れて平気な顔をしてなんとか花火に目を向けた。


「ホラ、花火観ようよ」

「うんそうだね」


 このあと花火はあっさり終わり・・・オレの気持ちの問題かもしれないけど、とにかく幽霊のあおいと別れて家に帰った。
 自分の部屋で今日一日の事を整理する。まさか幽霊と会うなんて、悪そうには感じないからよかったっちゃよかったけど。そんな不安なオレだけど次の日も池で花火が観ることが出来る。観ないわけにはいかない、楽しみだから。そんなわけで午後6時頃に葵のことも気にしながら湖に行くとやっぱり同じ場所に彼女はいた。


「あ、大輔だいすけくん」

「や、やあ、今日も花火みにきたんだ」

 一度話したからか笑顔の葵、オレは~・・・正直自分の気持ちがまだよくわからない。ただせっかく花火を観るんだしそんなに警戒するのは損、だから楽しもうと、さっそく色とりどりの花火が上がる。

「お、花火だ、ちょっと遠いか」

「でも綺麗だね」


 昨日よりは小さく観える花火は準備のためだろう静かに。


「・・・待ってるこの時間がじれったいんだよな~」


 体感からして5分くらいにまた花火が今度は大きな赤い花火、尾を引いていない。

「牡丹、だよね?」

「うん、そう、牡丹」

「やった、私もわかってきたかも」

 楽しそうな横顔。やっぱりオレとしては彼女が悪い幽霊だとは感じないし、いい子だ。なのになぜ幽霊になってしまったのか気にってくる。


「ねぇ、あれはなにっ!」

「んあ? あぁ~あれはキャラクターの花火で」

「ネコだよねっ、カワイイッ!」

 葵はキャラクターの花火でテンションが上がって、このあともカエルとか牛とかの花火に興奮していた。


「あ~終わっちゃった」

「また少し待てば」

「ホント、じれったいね」

「え、うん・・・」

「なに? さっきからジロジロみて」

「いや、別に」


 花火の音とともに彼女が緑色に。


「フフッ、気になるんでしょ、私がどうして死んだか」

「あ、その・・・ちょっとね」


 優しくしてくれたからと葵は右手首の袖をめくると、


・・・」


「うん、わたし15・・・」


痛々しい傷跡。オレは頭が真っ白でまるで時が止まったよう、それでも花火だけは鳴り続けた・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貴方の幸せの為ならば

缶詰め精霊王
恋愛
主人公たちは幸せだった……あんなことが起きるまでは。 いつも通りに待ち合わせ場所にしていた所に行かなければ……彼を迎えに行ってれば。 後悔しても遅い。だって、もう過ぎたこと……

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!

翠月るるな
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。 侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。 そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。 私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。 この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。 それでは次の結婚は望めない。 その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。

攻略対象の王子様は放置されました

蛇娥リコ
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

カラフル

凛子
恋愛
いつも笑顔の同期のあいつ。

侯爵様の懺悔

宇野 肇
恋愛
 女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。  そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。  侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。  その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。  おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。  ――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...