心傷ついた受験生と妖精マキ、そんな二人がお互いを想い合い立ち直る妖精物語

ヒムネ

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黒い妖精

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 妖精······、

 それは困っていたり悩んだりしいてる人達にちょっと手を差し伸べる、そんな生き物である······。


 ――ここは幻想と心の妖精界、あるとき1人の妖精に紫の妖精は焦っていた。

「や、やめてっ」

「ぐえっ、ぐるじい~」

「何とかなるなんとかなるって、あんたウザいっ」

 赤い妖精の人懐っこさとしつこさに頭にきて黒い妖精は壁に押しつけ首を絞めていたのだ。これはやり過ぎと青い妖精が、

「やめなさい」

「あかん」

 緑の妖精とで2人を引き離す。

「ゲホッゲホッ、なにすんのよっ、妖精お婆ちゃんが呼んでるって言っただけでしょっ!」

「ふんっ、あんたのその脳天気な態度が目障りなのよ。世の中だってあんのよ」

「のうてんきぃい~っ」

 ヒュルル~ッと遠くへと行ってしまった黒い妖精。

「どうしてしまったのあの子」

「あんなん事しはるなんて」

 青い妖精と緑の妖精はに心配しながらも見守るしかなかった。

 飛び去った妖精は全身が漆黒の黒、何者も近づけさせないような赤い髪とまるでなにかを失ったような哀しい瞳······。


「――そんな······不合、格······」

 大学の合格発表、そこに自分の番号はなかった。何度も確認したがなく喜びの歓喜の中1人絶望を感じながら振り向いて帰る背中。そこに、

「ん······な、んだ?」

 目の前を浮いている黒いものが、

「······あんた、あたしが見えるんだ、ちぇっ」

 意味もわからず舌打ちされると、思いつく。

「ああわかった、死神か」

「死神······あたしは黒い妖精のマキ······あんたは」

「僕は······まあいいや、僕は永井ながい 洸介こうすけ

 重い雰囲気をだしてマキを避けてトボトボと帰っていった。マキも別にと思ったが妖精の仕事だから仕方ないと1度ため息をして彼の後ろを浮きながらも付いていく······。


「僕はなに話してんだろう」

 帰りに妖精と名のった幻覚を思い出すと頭がイカれているそれだけショックだったんだと理解し母に電話をかけていた。

「あ、もしもし」

「ああ洸介、結果はどうだった?」

 テンションが高い、これは落ちたことを考えていない声。

「······落ちた」

「ええっ?」

 言い返すこともなくしばらくは沈黙が続いた。

「もうっ、だからあれほど勉強しろって」

「ちゃんとしてたよ」

「してたら落ちないわよバカッ······どうするの? 来年も受けるのそれともやめるの」

 バカ? 

 ちゃんと睡眠も削って勉強してたのにバカ?


 落ちたやつはみんなちゃんとしてないってことなのかと腹が立ち、

 ピッ、電話を切る。

 なん度も連絡がきたが出ることはせず。その様子をマキは隠れてジッと見ていたのだった······。


「何なんだよいったいっ、くそっ!」

 慰める気持ち一つない母にやりきれなくなりベッドにスマホを投げた。

「苦しそう、ね」

「え、たしか、マキ? 幻覚じゃなかった、のか······聞いてたんだ」

「ええ、聞いた······酷いお母さんね」

「······なんのよう」

 マキは顔を斜め下を向き目を合わせようとはしない。

「べつに、これがあたしの仕事だから、悩みがあったら解決するまでいるのが妖精の役目」

「役目······ふ~ん、じゃあ頼むよ」

「なに?」

「合格にして」

「そんなこと、無理よ」

「じゃあ時間もどして」

「それも、無理」

「あ~そー、じゃあいいや、僕は寝るから静かにして、それならできるでしょ」

 そう言ってベッドで寝てしまった洸介、マキも着地し体操座りをして彼が起きるまで黙っているだけだった。


 ――2時間後に起床。


「まだいたんだ」

「······うん」

「いつまでいる気だよ」

「わからない、私にも」

「わからないって、じゃあ外に出てくれるかなー」

 反抗せず黙ってゆっくりと歩いて外に出た妖精。


 すると玄関の扉を閉めると突然「うあぁぁぁーっ!」怒るような叫び声と物を投げ壁に当たる音が激しく響く。


「洸介······」


 あまりに激しかったので落ち着いたところを戻ってみた。


 ベッド上にタンス、テレビも台からずれ落ち、部屋には物が散乱してグチャグチャ。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 1人落ち込んでいるように真ん中でしゃがんでいた洸介。

「ハデに汚したね」

「······うすればいい」

「なに?」

「ぼくは一体どうすればいいっ、どうすればいいんだよっ、わからないよっ!」

 マキに聞いたのかそれとも自分自身なのか、

「いまは、落ち着いたほうがいい気がする」

 なんとなく、いまの彼は休息が必要と答えてあげた······。
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