～マザー·ガーディアン～

トレーニング

　ーー十一日にマザー·クリエイトから明日会社に来るようにとの連絡があり十二日、徹と一緒に会社へ向かう。
「薬は飲んだ？」
「飲んだよ」
「······未来、気を付けてな」
「うん」
　徹はマザー·クリエイトで働いてるんだけど、私とは別々。なので会社に着き、私は一人で社長室に足を運ぶ。
「失礼します」
　そこには、相変わらず睨み顔の霞さん。
「よろしくお願い」
「あんたはまず、今日から四日間シミュレーションと訓練をしてもらう」
　挨拶も聞いてもらえない中、もう始まるんだと緊張していると、

「そしてその二日後の十七日、実戦になる予定だ」

「えっ！」
　思いもしなかった実戦と言う言葉に驚いてしまう。
「八月なんだ、台風もくる。なら気候獣もやって来るのは当たり前だろ」
「······はい」
「台風や地震、そんな時ほぼ確実に気候獣は現れるんだよ。それで南太平洋から台風が北上してくる。丁度六日後の十七日、子と成仏したくなけりゃせいぜい頑張ることだな」
　六日後に子と成仏ーー冗談じゃない、やりたい事もいっぱいあって、子供の顔だって見たいんだから、絶対成功させてやると私は決意を固めた。

　そのあとトレーニング室を教えられ、エレベーターで十五階に向かい入った部屋の中は、シンプルでモダンな感じで右奥にシミュレーション·マシンがあり基本はこれで練習。その手前にランニングマシンなどの用具。左奥にロッカー、その手前にテーブルと椅子、テーブルにはウェットスーツみたいな物も置いてある。
「やっぱり凄い会社なのね～······着替えるのかな？」

「未来さん」
「ん？　この声·····」
「チャイルドです」
「ああ、チャイルドさん！」
「とりあえず着替えて下さい」
　チャイルドと分かると安心してすぐ着替えた。
「ではまず、シミュレーション·マシンにお入り下さい」
　言われた通りマシンに入ると、
「改めて、こんにちは未来さん」
「こんにちは。もしかしてチャイルドさんが教えてくれるの？」

「はい、私がこれから未来さんを訓練など色々とサポートさせて頂きます」

「そうなのね、じゃあ早速っ」
「はい、かしこまりました。ではまずーー」

　イメージしてシミュレーションのマザー·ガーディアンを動かす。脚を動かすイメージで脚が動き、腕を動かすイメージで腕が、イメージが離れると機体が止まる。なので基本はイメージを頭から離さないようにする事。
　最初はやっぱり難しく気を抜くとすぐ止まってしまう······。

　お昼休憩の時間、
「未来さん、お昼ご飯にしましょう」
「ふ～っ、うん」
「お疲れ様です」
「やっぱり、すぐに上手くとはいかないね」
「最初は何でもーー未来さんお客さんのようです」
「え、誰だろ」
　シミュレーション·マシンから出ると、
「失礼します」

「生月先生」

「調子はどう？」
「特に問題ないです」
「そう、ちょっといいかしら」
　心配で様子見に来た生月さんはそう言って椅子に座ると、
「話は聞いたわ」
「そう、ですか」
「······ごめんなさいね」
「え、生月先生がどうして」
　先生は何か思っている感じの顔をしていた。

「あの人はーー霞は、ホントはそんな酷い人じゃないのよ」

「霞、徹のお母さんの事ですか？」
「そう。今まであんな霞は見たことがなくて」
「ーー私のせいで」
「そういうことじゃないの、あの人も辛い事があって今があるの」

「辛い事ですか？」