〜クイーン·ザ·セレブレイド〜

ヒムネ

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プリンセス ―ロング―

幼き頃

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 ――時は現在、デナによるプレナ殺害の記事はまたたく間にオブスーン大陸全土に広まり、それは大きな衝撃を与える。


 ロベリーは自分の部屋の窓から朧雲を見て不安を感じずにはいられなかった。
 弾かれたデナの剣を見るやいなやロベリーとの戦いを放棄し助けに向かった妹想いのプレナ王女を妹のデナが殺すなんて。


 記事によれば、


『ランク城との戦争による戦果を残せず退き返し、ラバーグ城に戻ると納得のいかない妹デナが姉で王女であるプレナと喧嘩。自身の部屋に戻ったデナは何故か再びプレナ王女の座る謁見の間に現れると、窓の外を見ていたのかそのプレナ王女の背後から自分の剣で心の蔵を突き刺し。それに気が付いた騎士団長と兵士達は駆け付けたが余りの残酷さに一瞬硬直、その瞬間に妹デナは逃げ出し暗い闇夜に姿をくらました』


 何度記事を読み返しても信じられない。


 当然逃げ出したデナから事情を聞く事は叶う訳もなく真実は常闇へ······。


 戦禍が広がっていくオブスーン大陸、このままではいけないと焦ってもどうすれば良いのか。


 自身はクイーン·ザ·セレブレイドをよく知らない、ならばと兵士達にもっと詳しく調べるよう命じる。
 少しでも何か分かれば変わるかも知れないと思っての事だった。


「はぁ~っ」とため息するロベリーに今度は正門が開きまたヤクナ、と思いきや番兵から王女の馬車が来たと報告が入り「通してよろしいですか?」問われ許可をする。


 馬車から馬の足音が止まり急いで扉を開けたその王女は走り正門を開けると、



「ロベリー!」



「チュリン!」



 遥々ローズ城からやって来たのはチュリン王女だった。


 驚きと喜びの両の気持ちになりつつ駆け寄ると、


「よかったロベリーッ、大丈夫なのっ、怪我は」


「チュ、チュリン」


 右手を両手で強く握られとても心配そうな顔を見たロベリーは自分が戦争した事により彼女が来たのだと直感する。


「大丈夫、かすり傷位で深手とかないから」


「そう、良かった······それとプレナ王女は」


「貴女も知ったのね。あの方達には絆の様なものを感じたのに」


 話し声も特に変わりなく安心したチュリン、2人は話しながら散歩をするためランク城の裏口を出た······。


 裏門にはランク城1つ分の広大な大庭園でそこを散歩しながら話す事に、


「――大変だったわね」


「うん、なんか世界の終わりのような感覚だった······」


 ロベリーはしゃがみ地面の緑豊かな草に触れる。


 いつもここに来れば目に入るただの草、それでも静かで砂塵もなく肌に触れれば感じる寒さでも今この時がすごく気持ちが良い。


「その仕掛けて来たプレナ王女も亡くなって······ねぇロベリー、私達はどうすれば良いんだろう」


 チュリンに向きながら立ち上がると、そっと目を閉じ首を横に振り、


「······わからない、私も」


 そもそも戦争が終わるのかさえも······。


 暗い空気になった2人は外回りを逆時計回りで歩くと大庭園の丁度中心部の北側に墓石が、


「お母様······」


 僅かなそよ風がお墓一杯のピンク色のカーネーションを揺らす。


「ロベリーのお母様の」



 2人は目をつぶり両手を合わせ祈る。



 チュリンが祈りを終えてもロベリーはまだ祈り続けていた。風になびくピンクの髪が今は寂しそう。


「ロベリー覚えてるかな」


「なに?」


 ――それは12年前ローズ城2階の謁見の間で初めてランク城とローズ城で娘を披露する事になりメイ王女とタリア王女は互いに連れて来ていたのだ。


「まぁ可愛い子、こんにちは」


 こんにちはと当時4歳だった幼いロベリーは元気で誰にでも懐き、しっかりお辞儀もする女の子だった。


 それとは反対に、


「そちらの子も」と顔を合わすメイ王女、


「ほらチュリン、挨拶は?」


 ところが幼いチュリンは怖がって母の右脚にドレス事しがみつく。


「ご、ごめんなさいメイ王女」


 慌てるタリア王女、チュリンに顔を近づけるメイ王女は、


「こんにちは」


 すると恐る恐るこんにちは、とやっと返した娘にタリア王女もほっと胸をなでおろす。


 仕方ないですわねと2人の王女は他の話しをしだすとロベリーはチュリンにも、


「こんにちは」と笑顔で挨拶すると、


「こ、こんにち、は」


 まだビクビクする彼女。


 なぜだろうと気になって、


「どうしたの? 遊ぼうよ」


 ロベリーは誘うも首を横に振る。


 それでも、「どうして?」と何度も訊かれてとうとう観念したのか小声でチュリンは伝えた。
 それを「チュリンのおかあさん」と何度も声を掛けるが話に夢中な為ドレスの裾を引っ張る。


「やめなさいロベリーどうしたの?」


 慌てるメイ王女。


「どうしましたロベリーちゃん?」


 優しく問うとタリア王女に、


「えっと、チュリンがトイレもうガマンできないって」



「「ええーっ!」」



 焦る王女達は急いでチュリンをトイレに連れて行きロベリーのおかげで何とか間にあったのだった。


 そのあと伝えてくれたロベリーにモジモジしながら、


「あ、あの······あり、がとう、ロベリー」


 チュリンからの思いもよらぬ言葉に笑顔で、うんっと返事する。


「えへへ、いっしょにあそぼう」


「うん、ははっ」


 2人は2階の謁見の間を右手に進みチュリンの部屋へ、すると『王女が右手人差し指で右胸を指している扉』を開いて遊ぶのだった。



「······その後短い時間だったけど、ドレスやネックレスなんかも一緒に選んで付けたり、楽しかった」


 思い出したと声を出すと自然と笑顔に、


「懐かしいわ、でもどうしてあの時チュリンはトイレを我慢してたの?」


「あ、あれは······」


 両手で頬に触れ突然カーっと顔が赤くなり、


「よ、よく覚えてないんだけど、せっかく着せてもらってトイレ行くとお母様が大変だから、だったような」


「ちゃんと覚えてるじゃない······ハハハッ」


 自分から話をふって質問で返されるとトマトのように顔を赤くするチュリンを見て思わず笑ってしまった。


 そんな楽しい時間も、同時に同行していた女性騎士ホワイトが「お時間です」と伝えられる。


「ありがとうチュリン、私を元気づけてくれて、貴女の方も大変なのに」


 ほのかな風、


「うん、お母様も」


 母の話をすると涙が浮かべ、


「亡くなったお母様も『ロベリーちゃんを、友達を大切に』って言ってた。だからランク城とラバーグ城が争ったって聞いたとき涙が出たの、もう、会えないかもって」


 チュリンの右手を両の手で握り、


「ありがとう、元気が出たわ、私頑張るから」


 ニコッと彼女も両手で握り返した。


「私も、なにか出来ること、考えてみる」


「うん!」


 戦乱のオブスーン大陸の中で不安ばかりに苛まれていたロベリー、ラバーグ城と争い失った兵も出し、いっぱいいっぱいだったがチュリンのお陰で元気を取り戻す。
 ロベリーとチュリン、ランク城とローズ城に確かな友情という固い絆がそこにはあったのだった。


 そして若い2人の王女達は再び会うことを誓いまたそれぞれの立場に戻っていく······。


 ロベリー王女とチュリン王女が出会った次の日には、『妹デナ、プレナ王女殺害』事件の影響かニゲラニ城とゴルドバ城による『復讐戦争』と呼ばれる戦争が近国ともあり両者約3000人という兵を携えて起こり、またビスカ城とターキシム城も約2500人の騎士、兵士が戦った。


 結果は一時冷戦状態でいつまた戦争が起きても不思議ではない程緊迫した状態であった。
 やはりクイーン·ザ·セレブレイドに1枚噛んでいるニゲラニ城のバイオレットとビスカ城のガーネットが仕掛けたとロベリーは推測。


 翌日それを危惧し声明を出す事を決めた王女がいた。


 朝ロココ建築で薄い青緑色の壁、金の柱に金の彫像等の建物の正面が美しいデル·サージ城に国民は集まりまた注目していたのだ。
 すると2階の窓からベランダに姿を表した女性は集まった国民に、



「皆さんおはようございます。様々な方々の時間を割いてお集まりに頂いた事をありがたく思います」



 姿を表したのはジル·ピ·オメラ王女。
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