〜クイーン·ザ·セレブレイド〜

ヒムネ

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プリンセス ―ショート―

毒薬

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 あのラドルフがまさか孤児院出身だったとは、話を聞いていたロベリーは内心驚いていた。



「美しかった、神の降臨とはこの事なのだろうと私は感動した」


 孤児たちはその時のシリカ王女の姿は見たこともない様な綺麗できらびやかなドレス、冠。太陽光で更にその姿は神その者のようだと思わずにはいられないほど。


「王女が孤児院に来るなど異例中の異例なのにシリカ様はさらに」



 



 子ども達は思考回路が止まるもお金の無い孤児院の人達にはありがたかった。
 しっかりと一人ひとりの子に承諾を得ると沢山の兵が現れて乗ったこともない馬車に乗りギトス城へと向う。


 信じられない夢の様な事があっと言う間に起きて、


「そこから私たち孤児は、それぞれ自分で食べていく為にと騎士、兵士としての訓練が始まった」


 朝早くから夜遅くまでの辛い仕事をこなしていた孤児達からしてみたら兵の訓練等は辛いことはなく実力を発揮するのにそう年月は掛からず1年後、


「シリカ王女に呼ばれた、ボルド、ライト、セレブはそれぞれビスカ城、ゴルドバ城、ニゲラニ城とスパイとして兵士募集に参加した」


 1年毎にまた年齢が16歳になった孤児だった子達は命令され参加し、4年目の最後ラドルフとホワイトが兵士募集に参加する。



 として······。



 ――衝撃が胸を突く王女達、26年前といえばあのバイオレットさえ当時は2歳でそれ以外の王女は生まれてすらいない。


「それで各国の情報をコントロールしていたというわけか」


 ガーネットが最初に口を開くと、


「そうです。それと」


 ホワイトか取り出したのは小さな小瓶にロベリーが聞き出す。


「それは?」



「チュリン王女に盛った毒薬です」



「ど、どく······ぐう、ぐぐっ······」


 チュリンを毒で殺した。


 ロベリーは必死に歯を食いしばり身体を止める。


 許せない衝動を。


「······やめろ、ホワイト」


 すると玉座に座るシリカは小さな声で、


「あと、捕まえたクラサ達に訊けば私とほぼ同じ事を言うだろう。これで」



 次の瞬間、



「やめろ、ホワイトォォォーッ!」



 怒号が響く。



 さらに鋭く睨むと、



「バカ娘が、お前たちの面倒を見てやったのは誰だと思ってる、それを恩を仇で返しおって······」



「すい······ません、シリカ、様」


 ホワイトは弱々しくシワを下げ目を閉じただただ謝る。そこにバイオレットが笑みを浮かべて、


「やっと化けの皮を剥がしたかシリカ王女」


 その言葉でさっきまでの王女の様な目でない目線をバイオレットに向けて互いに睨み合った。


「私が幼児の頃からとは恐れ入るが、だが雪崩のように一度起これば止まらん。貴様も終わりだ」


 すると玉座から立ち上がり、


「ふんっ!」


 ドレスを投げ捨てた。シリカは既に鎧に身を包み剣を抜き出す。


「こうなってしまったからには、手段を選ばん。全ての王女を斬り捨てる!」


 ニヤつくバイオレットが戦闘体制に入った。



「待ってください、バイオレット王女」



 ロベリーは止めバイオレットの前に出て、


「······なんだロベリー王女、邪魔をする気か?」


「いえバイオレット王女、あのような方にわざわざあなたが出る必要がありません。あの人とは私が戦います」


「ここはロベリー王女が相応しい、良いだろう? バイオレット王女」


 後ろから話しかけたガーネット、更に周りのロベリーと戦った王女達も頷いていて、仕方ないと思いちっ、と舌打ちをして剣を鞘に収め退く。



「まってロベリー!」



 だがオメラは止める。激戦続きで身体にガタがきて立っているのさえ辛いはずとロベリーに告げると、


「大丈夫ですよオメラ王女、確かに身体に痛みはありますがそれでも負けませんから」


 段を登り、窓から差す光に2人の王女が距離を取り目を合わす。


 オメラは心配そうな顔をしているとエマリンがそっと近づき信じましょうと手を握る。



「シリカ王女、貴女のことは分かりましたが、このオブスーン大陸全土を揺るがしたことは許せません」



「あんなにお嬢様お嬢様していた子が言うようになったものね。悪魔の王女!」



 剣を前に構え、



「それでも、人に害を与える貴女よりはマシです。シリカ王女!」



「お黙り、小娘がっ!」



 2人は飛びかかりギトス城の謁見の間による戦いが始まった。


 キンッ、


 外とは違い静まりかえった城内の謁見の間は剣と剣が当たるとよく響く。
 いつの間にか他の王女達は横に並び腕を組む者や手を腰にかける者など戦いを見守っていた。
 その王女達の後ろでシリカを裏切ったホワイトも悲しそうな目で見守る彼女にオメラは近づいて、



「ホワイトさん」



「オメラ、王女」



「いま友が最後の戦いをしています」



 オメラは必死に戦うロベリーを見つめながらホワイトに気になることを問う。



「貴女はなにゆえ人生の恩人であるシリカ王女を裏切ったのですか」



「······そ、それは」



「話してください。貴女にはその責務がある」



 鼻をすする音、気になってホワイトの方を向くと彼女は泣いていた。まるで後悔しているように、それでもオメラに伝えていく。


「私が、ローズ城に潜入して6年立ったときの事でした」


 その年、ローズ城でタリア王女の出産ということで騎士だったホワイトは部屋の外で護衛をしていた。
 しばらくすると赤ちゃんのうぶ声が、後の王女チュリンの誕生である。


 母子ともに無事でタリアの部屋に移り喜びあう王に王女そんなある日、タリア王女がホワイトの側に赤ちゃんを抱いて近づいて、


「ホワイト、女性なのに男ばかりの騎士に混じって大変なのにすごいわね」


「いえ、そんな」


 ホワイトの目を横から見つめるタリア、しかし目を逸らさず前を見続けていると······。



「御自分の赤ちゃんを、抱いてみてとチュリン様を抱かせてくださいました」



「まぁ」



 今思えば幸せな感触、当時は素直になれなかったホワイトにも泣き止む赤ちゃんのチュリン。
 その後もチュリンは天使の様な笑顔でホワイトになついていた。


 だが、


「そんな彼女を······貴女は、殺した」


 オメラは自分から話を訊くもホワイトを内心許せなくなった。


 そこまで愛されていたのに、殺すなんて。


「はい、私にとっては命の恩人であり神であり母でもあったシリカ王女の命令は裏切れない、はずでした」


 時が立ち今年、チュリン王女から絶対の信頼あるホワイトを怪しむものなど居ない事を逆手にとって、食事に毒を盛り殺害する······。


 途中までの話が美しかったからこそ殺すに至った話を聞き涙が自然と流れるオメラはホワイトをより許せなくなった。


「それで間違いに気づいて自白を」


「······はい」


「貴女の気持ちは分かりました。自白してくれた事も感謝します。ですが、それでも私は貴女を許せない。ずっと」


 シワを寄せ涙を流しながら、もうホワイトを見れない。悲しくて、悔しくて、憎くて、チュリンの顔を思い出しては涙はまた溢れ初めて聞かなければ良かったと少しの後悔もする。


 そんな事があったとは知らずにロベリーは剣を持ちシリカと戦っているが、


「はっ!」と剣が中を舞いシリカの後ろの地面へと刺さる。


「くう、おのれ~」


 もはやシリカはロベリーの敵ではなかった。


「もう、完全に貴女の負けですシリカ王女。おとなしくお縄についてください」


「······ふっふっふっ、母に似ているなロベリー王女」


「なんですか」


「もう1つお前達に教えてやろう」


 追い詰められたシリカの言い訳と思い足を一歩踏込もうとした時、



「母親が戦争で死んだのは何故だと思う?」



「えっ······」



 それはランク城とニゲラニ城が海域をめぐり話がこじれて争い、その時ロベリーの母は前線に出て亡くなった。


「私は送ったスパイ達に、少しづつ少しづつ戦争になるように年月を重ね仕向けるように命令してたのさ」


 この期に及んでのシリカの発言に、ロベリーの戦いを見守っていた
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