25日のスローライフ

ヒムネ

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ニャン

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「――行ってきまーす、ルンルンルン♪」
 今日も外にお出かけ。気分が良いのは、昨日の思わぬ臨時収入が入ったから。今日はデパートに行って服や化粧品を買おうかな。そう考えてる時でした。
「み~つけた」
「うん?」
 黒髪ショートカットの女の子が元気にカメラのシャッターを押して私を撮ってきました。
「あの……どこかで会いましたか?」
「あたしは加藤かとう 茉莉まつり知らなくて当然よね。だってクラスが別だし」
「え、同じ朱雀高の方ですか?」
「そうよ、おまけに同い年よ後光一花さん」
 私が驚きの表情をすると、加藤さんは学校で調べて知ったと自慢そうに言ってました。
「しかし改めて間近で見るとカワイイわね~」
「え、そんなことないですよ~」
 頬が赤くなってしまいお世辞でもやっぱり嬉しさを隠せませんでした。
「加藤さんもカワイイです」
「ノンノンノン、そんな事ないないない」
「え~、カワイイですよ~」
「お世辞ありがとうございました」
 こういう話しが弾むのは女の子だからでしょうか、それとも同級生だからでしょうか、すぐ仲良くなり二人で可愛いの言い合いをしながら歩きました。
「へ~、後光さんは地球消滅までたくさん気になるところを周るってわけね」
「はい、そうしたら昨日、なんとラーメン屋さんで働かせてもらったんですよ」
「むっふっふっふっふっ、知ってるわよそれ」
「え?」
 実は加藤さんは私が働いていたお店に入店していたと言います。だから見たことがあったんですね。
「見てたわよ~、笑顔が素敵でもう慣れっこだったし、経験者?」
「いえっ、ラーメン屋さんは初めてですよ~」
「そうなんだ~、お客さんも後光さん見て目が輝いてたし、天性の才能ね!」
「そ、そんな~」
「照れないてれない……そこでなんだけど~、ちょっとお願いがあるんですが~……」
 たくさん褒めてくれる加藤さんに嬉しくなって、何でも聞きますよの構えになりました。
「実はさ~、うちのお姉ちゃんのケーキ屋さん人手が欲しくて~……後光さんに働いてほしいの……」

 ――私の家から自転車を漕いで20分くらいで着いた場所には、パティシエのキャラクターが描かれた看板のケーキ屋さん『メモワール』がありました。中に入ると奥の部屋からか歩いてくる音。
「お姉ちゃんっ、お姉ちゃん連れてきたよ」
「あんたー、ホントに連れてきたのかい」
「こんにちは」
「こんにちは、すまないね妹に付き合ってくれて」
「この子が昨日ラーメン屋で見かけた人、ほんっとに接客上手いんだから~、それでね……」
「ちょい待ち、その続きは部屋で聞くから」
「え?」
「あ、心配しないで軽い面接と雑談だから」
 そう言われて履歴書とか筆記用具を持ってきてないと伝えると分かっていたのか『問題ないわ』とホッとしてお店の奥の部屋へと歩きました。

「――なるほどね、残りの時間をいろいろ周って体験をしてみたいわけか」
「はいっ」
「笑顔も良いし、コミュケも大丈夫そうだし問題はないわね」
「でも……」
「そうね、いろいろ周って体験したいからお店にはずっとは勤められないと」
「すいません」
「それでもいい、いい、こんな世の中だしね。地球が無くなるのにずっと働いて死ぬなんてやってられないもの。後光ちゃんの生き方は理にかなってると思うな~、あたし」
「わかってくださって、ありがとうございます黄華さん」
「そうと決まれば、着替えて」
「へ?」
 私は茉莉さんの姉である黄華さんに着替えを用意されて言われたとおりに着替えました。
「――あの~、これメイド服、ですよね」
「そっ、あとこの猫耳を付けて、鼻も、手は肉球……ッと」
 着替えて終わりかと思ったら、猫耳、髭付き鼻、そして肉球とこれは完全に猫メイドです。
 その姿のまま中でお仕事だと思ったら外に出て呼び込みをするように言われたので恥ずかしかったけど出ました。
「メッ、メモワールのケーキ、美味しい……にゃん」
「ちょっと後光さん、恥ずかしいって顔に描いてあるわよ。もっと声出して」
「メモワールのケーキ、おいしいニャン♪」
「出来てるできてる~、さぁ~、メモワールのケーキいかがですか~」
 茉莉さんも一緒に猫メイドの姿で呼び込みをしました。しかし茉莉さんはどうして恥ずかしくないんでしょうか、不思議です。
 そんな思いで1時間、2時間と経過していくとあら不思議、メモワールに入る人達が私達を見て笑顔になると何だか私もやる気が出て猫メイドに慣れてきました。
「ありがとニャン♡」
「うわっ、新しいセリフ、やるわね後光さ~ん」
「はい何だか慣れてきて楽しくなってきました」

 ラーメン屋さん『源氏』で1日働くまでは何も接客の経験をしたことがなかった。嫌いとかじゃないけれど、自分には無理かもしれないと思っていて自信が無かったんです。でも、今はこんなに接客が楽しいなんて想像できませんでした。
「ちょっとっ……おいおいおい、人が多すぎっ、ヘルプッ!」
 お客さんも嬉しいことに増えて忙しくなりました。すると、中で仕事をしている黄華さんが助けを呼ぶ声がしました。
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