25日のスローライフ

ヒムネ

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偉人の言葉

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「――へいらっしゃい、後光ちゃん!」
「店長さんに佐藤さん、お邪魔します」
 荷物を取りに帰ったあとお昼がまだだったのでラーメン屋『源氏』で昼食をいただいて準備をしていきました。
「二人は羽嵐先生とどれくらい話したことありむすか?」
「私たち……恵リン、パス」
「あたしたちは授業で見かけるくらいで、たまに廊下ですれ違って話したことあるくらいです」
「うん、でもすれ違っても元気な先生だったよね」
「彩吹のいうとおり、なんか頼りがいのある先生だった」
「後光先輩は、どうだったんですか?」
「私は……あなたたちと同じように、そんな話したことなかったけどあの元気がもらえる授業が好きでした」
 今までの羽嵐先生と出会ってからの事を思い出しながら用意したノートに、先生を元気にするを書いていきました。

 話しも弾んで、盛り上がって、いつの間にか午後3時を過ぎていました。なので私たちは急いで羽嵐先生の学校まで自転車を漕で行きました……。

「――着きましたね、後光先輩」
「彩吹~、大丈夫かな~」
「えっ……大丈夫だと思う、たぶん」
「大丈夫よ二人とも」
「後光先輩」
「うん、先輩がいるから大丈夫だよ恵リン!」
 ホントは私も不安だったけれど、年上の私がそれを口にするときっと二人はもっと不安になる。だから私は緊張を隠して笑顔を絶やさずいようと思いました。
「お、羽嵐先生~っ」
「……あなたたち……何をしているの、自分の家に帰りなさい!」
「彩吹、ホラッ」
「うん……あのーっ、私たち羽嵐先生に元気になってほしくて」
「後光先輩と彩吹……大桃さんと三人で羽嵐先生が授業で教えてくれた好きな言葉を書いてきました」
「……」

「まず私、後光一花からです。ドイツの詩人ゲーテの言葉です『自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる。』」

「次は大桃彩吹です『愛はお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである。』サン=テグジュペリの言葉です」

「次、木下恵、サルトルの言葉です『人間は自由であり、つねに自分自身の選択によって行動すべきものである。』」

「ではまた、後光一花からです。英国の哲学者ジョン・ロックの言葉です。『あなたを悩ませるものが、あなたを支配する。』」

「大桃彩吹、『幸福とは幸福を問題にしない時をいう。』芥川龍之介の言葉です」

「木下恵、ソクラテスの言葉『生きるために食べよ、食べるために生きるな。』……先生何も食べてないでしょ、だから生きるために食べようよ」

「では、後光一花です……」

 私たちはあらゆる羽嵐先生の好きそうな偉人の言葉を書いて、扉の先にいる先生に聞こえるように読み続けました。そうしているうちに、日が山に隠れて暗くなっていく朱雀高校。

「次は夏目漱石の言葉です『人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ。』……私は壁の向こうにいる羽嵐先生を、助けたいです」

「はぁ、はぁ、先生聞いてくれてるかな~」
「恵リン弱音吐かないでよ~、はぁ~……次、大桃彩……」

 大桃さんが読み上げようとしたその時、扉が開きました。
「もう、わかったから」
「「羽嵐先生ーっ!」」
 ついに、羽嵐先生が自ら扉を開いてくれたんです。

「やった……先生、が……扉あけてくれた……うっうっ」
「泣かないの、彩吹……ぐすっ」
「ごめんね、大桃さん、木下さん……後光さんも……」
 私ももらい泣きしてしまいましたが、それよりも羽嵐先生の目の下の隈とげっそりとしている顔にいつもは綺麗なショートカットの髪も何処か乱れてたのが気になりました。
「羽嵐先生、いつからご飯食べてないんですか」
「……学校が終校した時からかな」
「あっ、先生!」
 終校してから食べ物や飲み物、さらに睡眠もあまりとっていない羽嵐先生はぐったりで私が見ている間に、大桃さんと木下さんに近くのお店でお弁当とコーヒーやジュースでも良いからと買ってきてもらうことにしました。
「先生、二人が買ってきてくれるので待っててください」
「……どうして、地球無くなっちゃうんだろうね」
「羽嵐先生……」
「仕事しながら大学に通って、やっと教員免許とって……生徒を通じてこれが私の生きがいって思ってたのに……」
「でも、地球が無くなるのは前から分かってたんじゃないですか」
「うん、分かってた……けど」
「けど?」
「その、を分かってなかったのよ」
「本質……」
 羽嵐先生は話をしていたら安心したのか眠ってしまいました。それでも暗くなる中、二人の買い物を待ちました。
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