15 / 53
中学生の私①
しおりを挟む
中学一年生になったばかりの私は引っ込み思案で人とお喋りをするのも苦手、だから誰とも話しをしていませんでした。
『ねぇ、今日家帰ったら何する?』
『ネットかな』
『あたしゲーム』
楽しそうに夢中になって会話する同級生。私もと思っても何を話していいのか分かりませんでした。
『後光さん、おはよう』
「おはようございます……」
『……』
挨拶だけで終わったり、話しかけられても返すことが出来ません。そんな無口な私に友達は離れていきました。
虐めではない私自信が皆とどう話していいのかわからない。そんな悩みを抱えている時でした。私が、総合デパートの中でパンが食べたくなってパン屋に入りました。
「何にしようかな」
「いらっしゃいませっ!」
後ろから元気そうな声がして振り向くも、レジをしている頭巾を被った金髪で女の人の声。外国の方特有の鼻筋が通っており、目は日本人でそばかすのある当時の私より少し年上のような人。
「そこの方、どうしました?」
「あっ、いえっ……」
私の視線に気が付いて話しかけてくれるも返せるわけもありません。なので目を逸らしました。すると今度はその方から私を気にして来てくれました。
「パンのお悩みですか?」
「いえっ……」
いつもの様に話しが出来ずに黙ってしまう私は情けなさのあまりその場から走って逃げてしまいました。
「お客様っ!」
もう嫌、自分に話しかけてくれた人にも返せず逃げてしまうなんて。私はこの先の学校生活も不安になってしまいました。
グ~ッ。
「お腹、減った~」
時間はお昼、パンを買おうとしてたのに逃げてしまって何も食べてないお腹と背中がくっついてしまいそう。
「はぁ~、もうどうして私は……」
「み~つけた」
「へ?」
「お客様♪」
「あなたはさっきの……」
お腹空いた私に話しかけてきたのは先ほどレジをしていた女の人でした……。
私とその女の人は近くのベンチに座りました。私はまた逃げようにもお腹空いて力も出ません。
「大丈夫? アムッ」
「……はぁ~」
「お腹空いたの?」
「は、はい~」
そう言うと三つ買ったパンのうちの一つをなんと私にくれたのです。当時の私はお腹のサイレンで夢中で食べました。
「どうしてさっき逃げたの?」
「ぶっ……ゴホゴホッ!」
急に言われて頭の中が真っ白になりました。
「落ち着いて~、大丈夫?」
「はっ、はい……ゴホッ……」
「どうして黙ってるの?」
「……」
どう、答えるのが正しいのだろうかと考えても正解がわからず、わかりません。
「あなたもしかして……小学生」
「……いえ、中学一年です」
「あ、やっと答えてくれた」
「あっ!」
私は昔から性格がゆっくりしているというか、気の抜けた感じがどうも年齢よりも下に見られがちでした。それでつい反射で答えてしまったのです。
「そうなんだ、中学生なのね!」
「……」
「わかった、もしかしてお喋り苦手なんだ」
「えっ、わかるんですか?」
「うん、色んなお客さんを見てきたからね」
何だろう、この人の笑顔を見ているとさっきまでの閉鎖的な空気が開放的になる感覚。
「それでなにか~……悩んでる!」
私は頷きました。
「それは……もしかして、お喋り苦手な事とか」
「あっ、当たってる……」
私は喋りが苦手にも関わらず言葉を失った感じでした。どうして分かるのか、不思議でした。
「そっか~……苦手な人は苦手よね~」
「あっ、あの~……」
「あたしの名前は緋菜多」
「緋菜多さんは……」
「あなたの名前は?」
「あっ、あっ、そうでしたすいませんっ!」
「いいって、落ち着いて、はいっ」
「わたしは、一花……」
「一花ちゃんか~、良い名前ね、それで?」
「……どうして、そんなに、話せるんです、か?」
緋菜多さんは青い瞳をしていました。その目で私を見つめられると頬が赤くなってしまいました。
「色んな人に、興味があるから」
「え?」
「あたしね、まだ16で高校行きながらたまにロマーヌで働かせてもらってるの」
「……」
「パン屋で働けばさ、沢山の知らない人に出会えると思って」
「でも……」
興味、この時の私も興味がなかったわけではありません。それがどうしてお喋りが得意なのか知りたかった。
「あっ、そろそろ時間ね、行かなきゃ」
「あっ……緋菜多さん……」
「またロマーヌに寄ってっ、そしたらまた話そっ、一花ちゃん」
そう言い残して緋菜多さんはまたパンを売るためロマーヌに戻ってしまいました。一人残された私もこの時は帰りました……。
『ねぇ、今日家帰ったら何する?』
『ネットかな』
『あたしゲーム』
楽しそうに夢中になって会話する同級生。私もと思っても何を話していいのか分かりませんでした。
『後光さん、おはよう』
「おはようございます……」
『……』
挨拶だけで終わったり、話しかけられても返すことが出来ません。そんな無口な私に友達は離れていきました。
虐めではない私自信が皆とどう話していいのかわからない。そんな悩みを抱えている時でした。私が、総合デパートの中でパンが食べたくなってパン屋に入りました。
「何にしようかな」
「いらっしゃいませっ!」
後ろから元気そうな声がして振り向くも、レジをしている頭巾を被った金髪で女の人の声。外国の方特有の鼻筋が通っており、目は日本人でそばかすのある当時の私より少し年上のような人。
「そこの方、どうしました?」
「あっ、いえっ……」
私の視線に気が付いて話しかけてくれるも返せるわけもありません。なので目を逸らしました。すると今度はその方から私を気にして来てくれました。
「パンのお悩みですか?」
「いえっ……」
いつもの様に話しが出来ずに黙ってしまう私は情けなさのあまりその場から走って逃げてしまいました。
「お客様っ!」
もう嫌、自分に話しかけてくれた人にも返せず逃げてしまうなんて。私はこの先の学校生活も不安になってしまいました。
グ~ッ。
「お腹、減った~」
時間はお昼、パンを買おうとしてたのに逃げてしまって何も食べてないお腹と背中がくっついてしまいそう。
「はぁ~、もうどうして私は……」
「み~つけた」
「へ?」
「お客様♪」
「あなたはさっきの……」
お腹空いた私に話しかけてきたのは先ほどレジをしていた女の人でした……。
私とその女の人は近くのベンチに座りました。私はまた逃げようにもお腹空いて力も出ません。
「大丈夫? アムッ」
「……はぁ~」
「お腹空いたの?」
「は、はい~」
そう言うと三つ買ったパンのうちの一つをなんと私にくれたのです。当時の私はお腹のサイレンで夢中で食べました。
「どうしてさっき逃げたの?」
「ぶっ……ゴホゴホッ!」
急に言われて頭の中が真っ白になりました。
「落ち着いて~、大丈夫?」
「はっ、はい……ゴホッ……」
「どうして黙ってるの?」
「……」
どう、答えるのが正しいのだろうかと考えても正解がわからず、わかりません。
「あなたもしかして……小学生」
「……いえ、中学一年です」
「あ、やっと答えてくれた」
「あっ!」
私は昔から性格がゆっくりしているというか、気の抜けた感じがどうも年齢よりも下に見られがちでした。それでつい反射で答えてしまったのです。
「そうなんだ、中学生なのね!」
「……」
「わかった、もしかしてお喋り苦手なんだ」
「えっ、わかるんですか?」
「うん、色んなお客さんを見てきたからね」
何だろう、この人の笑顔を見ているとさっきまでの閉鎖的な空気が開放的になる感覚。
「それでなにか~……悩んでる!」
私は頷きました。
「それは……もしかして、お喋り苦手な事とか」
「あっ、当たってる……」
私は喋りが苦手にも関わらず言葉を失った感じでした。どうして分かるのか、不思議でした。
「そっか~……苦手な人は苦手よね~」
「あっ、あの~……」
「あたしの名前は緋菜多」
「緋菜多さんは……」
「あなたの名前は?」
「あっ、あっ、そうでしたすいませんっ!」
「いいって、落ち着いて、はいっ」
「わたしは、一花……」
「一花ちゃんか~、良い名前ね、それで?」
「……どうして、そんなに、話せるんです、か?」
緋菜多さんは青い瞳をしていました。その目で私を見つめられると頬が赤くなってしまいました。
「色んな人に、興味があるから」
「え?」
「あたしね、まだ16で高校行きながらたまにロマーヌで働かせてもらってるの」
「……」
「パン屋で働けばさ、沢山の知らない人に出会えると思って」
「でも……」
興味、この時の私も興味がなかったわけではありません。それがどうしてお喋りが得意なのか知りたかった。
「あっ、そろそろ時間ね、行かなきゃ」
「あっ……緋菜多さん……」
「またロマーヌに寄ってっ、そしたらまた話そっ、一花ちゃん」
そう言い残して緋菜多さんはまたパンを売るためロマーヌに戻ってしまいました。一人残された私もこの時は帰りました……。
0
あなたにおすすめの小説
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~
秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。
五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。
都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。
見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――!
久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――?
謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。
※カクヨムにも先行で投稿しています
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる