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ネコパンチ
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「へっへっへっ、逃さないぜ」
走って逃げましたがあっという間追いつかれてしまいました。ピンチです。
「ん、さっきの店に居た女の子じゃあねぇか」
「へっへっへっへっへっ……」
何が楽しいのか二人は笑っています。私が女だからでしょうか。
「どうして……どうしてこんな酷いことを佐藤さんにするんですかっ」
私は囲まれている中ツーブロックさんに問いました。
「オレたちは仲間だ、その仲間が裏切ったんだからそのバツよ」
「佐藤さんは、今は真面目に過去と向き合って『源氏』で働いているんです。そしてっ、お客さんを喜ばせているんです。だからっ、邪魔をしないでください」
震えながらも私は思いを伝えました。せっかく立ち直った佐藤さんを自由にしてほしかったから。
「……関係ねえよ」
「えっ?」
「関係ねえってっ、言ってんだよっ!!」
恐くて後退りをしてしまいました。それほどツーブロックさんは威圧的でした。すると後ろからモヒカンさんに腕を掴まれました。
「あいつがオレたちを裏切ったから、で十分だとは思わないか?」
「それでも暴力はいけませんっ、離してくださいっ!」
「その可愛い顔が、腫れたことはあるかな?」
腫れたことは、ないと思いますがこれは暴力の予感がして逃げようにも腕を摑まれて凄い力でほどけない。どうしようと冷や汗と恐怖が頭の中を支配していきました。
「それとも、パーよりもグーがお好みかな」
「やめて……やめてくださいっ!」
「動くな」
「……一発くらいいいよな」
「別にいいだろ、やっちまえ」
「やめてぇぇぇーっ!」
「ぐあっ!」
「嵐太っ、佐藤っ!? うわっ!」
「はぁっ、はぁっ、佐藤さん」
「後光ちゃんこっちにっ!」
何とか距離を取って壁に寄り添いましたが、恐くて涙もちょちょぎれました。佐藤さんが守ってくれなければ頬にリンゴが出来ていたかもしれません。
「佐藤さん、どうしましょう、ぐすっ」
「……後光ちゃん、君にお願いがあるんだ」
「え……」
「痛って~、許さねぇぞ佐藤の野郎~、もう仲間に入れてやらねえぞ」
「行ってぶちのめすか嵐太」
「黒一、ああ」
「よう……」
「あんっ、てめぇから来るなんていい度胸じゃねぇかよ佐藤っ!」
「蹴ってきた借りは高くつくぞ」
「……」
「はぁ、はぁ、ぐすっ、恐かった、こわかった……さとう、さん、ありがとう……」
私は壁に寄り添って座りました。そして流れる涙を何とか止めようにも、恐かったという感情が溢れて抑えきれません。それでも何とか落ち着いてくると佐藤さんが言っていた『この先は見ないほうがいい』と言われましたが、心配でそっと覗いてしまいました。
「佐藤さん……」
「ぐはっ……まっ、待てよ、佐藤、ぐはっ!」
「ゆっ、許してくれっ!」
「お前ら、オレがどうして逮捕されたか知ってるよな……オレは務所入った罪人だぜ」
「あ……うっ……うわっ」
「うわぁぁぁーっ、犯罪者だぁーっ!」
「二度と、くるなっ!」
いつの間にか尻もちを着いていたのは佐藤さんではなくツーブロックさんとモヒカンさんでした。その二人は先ほどとは違って子供のように逃げていきました。
「あっ、佐藤さんっ!」
二人組が消えたからなのか、その場で膝から崩れ落ちる佐藤さん。私は咄嗟に佐藤さんの背中を支えて頭部を膝の上に置きました。
「えっ、後光ちゃん!」
「助けていただいてありがとうございました」
「……」
「佐藤さん?」
「もう……暴力とは離れるって決めたのにな……うっうっ」
佐藤さんは腕で両目を覆うと震えて泣いていました。それほどの思いでラーメン屋『源氏』で働いていたのです。
「やっぱ、オレはダメな……」
「ダメじゃありませんよ、佐藤さんは」
「……でも」
「たしかに手は振りましたが、そのおかげで私は助かりました。暴力はいけないと私は思います、でも……何も考えずに自分のためだけに人を殴るのが暴力です。でも今日、助けてくれた佐藤さんの両手は……え~っと~」
「……」
「正当防衛のネコパンチですよ、きっと」
「ネコパンチ……ぷぷっ」
「佐藤さん?」
「ぷはっはっはっ……ネコパンチか、いいな、それ」
「でもネコパンチ、人を助けるときだけですよ」
「わかってるよ、暴力はもう、振るわない、振るいたく、ない」
「フフッ……」
肘枕が気持ちいいのでしょうか、不安な顔から満足そうな顔の佐藤さんでした。ところが、事が終わったから戻ろうとしたら問題が起きました。
「佐藤さんそろそろ……」
「あ、そうだね、ゴメンね」
「いえ……佐藤、さん」
「ん、後光ちゃん?」
「あっ、足が痺れて動かせません、手を貸してくれませんか?」
膝枕などしたこともないからこんなに痺れるとは思いませんでした。結局、ケガをしている佐藤さんにおぶってもらってしまいました……。
「――醤油と餃子2」
「はいよっ!」
佐藤さんは『源氏』に戻って怪我を絆創膏を貼ってなんと厨房に立ちました。私も恐い思いをしたけれど頑張ると決めて接客を続けました。
「いらっしゃいませ!」
過去って絶対に変わらないけど、それでも真面目に生きると決意した佐藤さんの強い意志を今回は見た気がします。
残りは13日です……。
走って逃げましたがあっという間追いつかれてしまいました。ピンチです。
「ん、さっきの店に居た女の子じゃあねぇか」
「へっへっへっへっへっ……」
何が楽しいのか二人は笑っています。私が女だからでしょうか。
「どうして……どうしてこんな酷いことを佐藤さんにするんですかっ」
私は囲まれている中ツーブロックさんに問いました。
「オレたちは仲間だ、その仲間が裏切ったんだからそのバツよ」
「佐藤さんは、今は真面目に過去と向き合って『源氏』で働いているんです。そしてっ、お客さんを喜ばせているんです。だからっ、邪魔をしないでください」
震えながらも私は思いを伝えました。せっかく立ち直った佐藤さんを自由にしてほしかったから。
「……関係ねえよ」
「えっ?」
「関係ねえってっ、言ってんだよっ!!」
恐くて後退りをしてしまいました。それほどツーブロックさんは威圧的でした。すると後ろからモヒカンさんに腕を掴まれました。
「あいつがオレたちを裏切ったから、で十分だとは思わないか?」
「それでも暴力はいけませんっ、離してくださいっ!」
「その可愛い顔が、腫れたことはあるかな?」
腫れたことは、ないと思いますがこれは暴力の予感がして逃げようにも腕を摑まれて凄い力でほどけない。どうしようと冷や汗と恐怖が頭の中を支配していきました。
「それとも、パーよりもグーがお好みかな」
「やめて……やめてくださいっ!」
「動くな」
「……一発くらいいいよな」
「別にいいだろ、やっちまえ」
「やめてぇぇぇーっ!」
「ぐあっ!」
「嵐太っ、佐藤っ!? うわっ!」
「はぁっ、はぁっ、佐藤さん」
「後光ちゃんこっちにっ!」
何とか距離を取って壁に寄り添いましたが、恐くて涙もちょちょぎれました。佐藤さんが守ってくれなければ頬にリンゴが出来ていたかもしれません。
「佐藤さん、どうしましょう、ぐすっ」
「……後光ちゃん、君にお願いがあるんだ」
「え……」
「痛って~、許さねぇぞ佐藤の野郎~、もう仲間に入れてやらねえぞ」
「行ってぶちのめすか嵐太」
「黒一、ああ」
「よう……」
「あんっ、てめぇから来るなんていい度胸じゃねぇかよ佐藤っ!」
「蹴ってきた借りは高くつくぞ」
「……」
「はぁ、はぁ、ぐすっ、恐かった、こわかった……さとう、さん、ありがとう……」
私は壁に寄り添って座りました。そして流れる涙を何とか止めようにも、恐かったという感情が溢れて抑えきれません。それでも何とか落ち着いてくると佐藤さんが言っていた『この先は見ないほうがいい』と言われましたが、心配でそっと覗いてしまいました。
「佐藤さん……」
「ぐはっ……まっ、待てよ、佐藤、ぐはっ!」
「ゆっ、許してくれっ!」
「お前ら、オレがどうして逮捕されたか知ってるよな……オレは務所入った罪人だぜ」
「あ……うっ……うわっ」
「うわぁぁぁーっ、犯罪者だぁーっ!」
「二度と、くるなっ!」
いつの間にか尻もちを着いていたのは佐藤さんではなくツーブロックさんとモヒカンさんでした。その二人は先ほどとは違って子供のように逃げていきました。
「あっ、佐藤さんっ!」
二人組が消えたからなのか、その場で膝から崩れ落ちる佐藤さん。私は咄嗟に佐藤さんの背中を支えて頭部を膝の上に置きました。
「えっ、後光ちゃん!」
「助けていただいてありがとうございました」
「……」
「佐藤さん?」
「もう……暴力とは離れるって決めたのにな……うっうっ」
佐藤さんは腕で両目を覆うと震えて泣いていました。それほどの思いでラーメン屋『源氏』で働いていたのです。
「やっぱ、オレはダメな……」
「ダメじゃありませんよ、佐藤さんは」
「……でも」
「たしかに手は振りましたが、そのおかげで私は助かりました。暴力はいけないと私は思います、でも……何も考えずに自分のためだけに人を殴るのが暴力です。でも今日、助けてくれた佐藤さんの両手は……え~っと~」
「……」
「正当防衛のネコパンチですよ、きっと」
「ネコパンチ……ぷぷっ」
「佐藤さん?」
「ぷはっはっはっ……ネコパンチか、いいな、それ」
「でもネコパンチ、人を助けるときだけですよ」
「わかってるよ、暴力はもう、振るわない、振るいたく、ない」
「フフッ……」
肘枕が気持ちいいのでしょうか、不安な顔から満足そうな顔の佐藤さんでした。ところが、事が終わったから戻ろうとしたら問題が起きました。
「佐藤さんそろそろ……」
「あ、そうだね、ゴメンね」
「いえ……佐藤、さん」
「ん、後光ちゃん?」
「あっ、足が痺れて動かせません、手を貸してくれませんか?」
膝枕などしたこともないからこんなに痺れるとは思いませんでした。結局、ケガをしている佐藤さんにおぶってもらってしまいました……。
「――醤油と餃子2」
「はいよっ!」
佐藤さんは『源氏』に戻って怪我を絆創膏を貼ってなんと厨房に立ちました。私も恐い思いをしたけれど頑張ると決めて接客を続けました。
「いらっしゃいませ!」
過去って絶対に変わらないけど、それでも真面目に生きると決意した佐藤さんの強い意志を今回は見た気がします。
残りは13日です……。
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