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笑顔
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並んでいた前原さん、診療するにはまだまだ時間が掛かるので私は横に並びながら話を聞いていました。
「今はどんな気分ですか?」
「良くないから並んでるんでしょっ!」
「そうですね、すいません」
「もうっ!」
怒られてしまいました。気分が悪いからここに来ている、そのとおりです。やっぱり私はうっかりさんです。
「睡眠は取れているでしょうか?」
「……最近は、眠れてない」
「どうしたんですか?」
「……だって、地球最後が近いんだもん……はぁーっ、もうどうだっていいじゃんって……」
やはり前原さんもエイジという病気だと私は思いました。
「どうでもいいなんて、ホラッ、前向きに行きましょう。そうすればきっと良いことがありますよ」
「簡単に言わないでよ、じゃあ良いことって何? 男? お金?」
「そっ、それは~……」
「何よ?」
私の咄嗟に出てしまった言葉に細目で鋭く睨んでくる前原さん。
「笑顔……だと思います」
「はぁあ? なによそれ」
「誰しも地球が亡くなるのは恐いし不安です。でも前を向いていれば人が見えて淋しくないし、あるいは空を眺めていればその綺麗さに癒やされる、そうやってなんていうか、ポジティブに考えるべきかと……そうすればきっと地球がもし亡くなってしまっても、笑顔でいれると、思い、ます」
「……」
「だから前原さんも」
「……バカみたい」
「えっ……」
「話しにならないから、他の人をあたってよ」
「……は、い」
本当に、笑顔だと思いました。だって、私だって地球が亡くなるのは恐いけど、笑顔でさえいれば少しは、ちょっとは良いような気がしたから。でも前原さんには分かってもらえなかったことが、辛かった。
一呼吸するために少し離れて大きな溜息を吐き出しました。人を元気にさせるって大変なんだなと今思っている最中です。
「他の人も、元気にさせなくちゃ……」
「後光先ぱ~いっ!」
「えっ、木下さんに大桃さん!」
声の方に振り向けば、手を振ってこちらに走ってきた二人が笑顔でやって来ました。
「やっぱり後光先輩なら来てると思いました」
「うんうん、そうだよね彩吹」
「よかったです」
「先輩なんか元気ないですね」
「はい~、実は……」
何か誰かに聞いてほしくて私は二人にさっきの前原さんとのやりとりを話しました。
「――ひどいっ、後光先輩の優しさを~っ!」
「落ち着いてっ、めぐりん、その人も素直になれば良いのに、後光先輩も大変でしたね」
「その前原って言う人に、あたしが会って言ってやる!」
「やーめーてっ、めぐりん」
「どうして止めるのよ彩吹、後光先輩が言われて悔しくないの?」
「それはムッとくるけど騒動を起こしたら後光先輩がもっと傷つくと思うけど、ね? 後光先輩」
「はい、木下さんのお気持ちは嬉しいですが、二人に話しを聞いてもらって元気が出ました」
「ほんとっ、先輩?」
「はい、だからトラブルじゃなくて私たちで一人でも多くの人とお話しをして少しでも不安を和らげてあげましょう」
「「はいっ!」」
二人は素直に笑顔で返事をしたあとそれぞれ並んでる患者さんに話しかけに行きました。そんな二人と話して本当に気持ちがスーッと救われた気がします。私も先輩として後輩に負けてられません。
時間も午後を過ぎました。しかしまだ行列は終わりそうにありません。私は羽嵐先生に言われて休憩をすることにしました。
「ふぅ~っ、こんなに話し続けたのは初めてです」
「お疲れ様、後光さんも大丈夫?」
「羽嵐先生、はい、こんなに喋り続けたことないので」
「協力してくれて、ありがとね」
「はい、先生にも豚汁とおはぎです」
ここには協力してくれた人のためにとボランティアによる豚汁とおはぎが二つ配布されていたのでいただきました。豚汁は温かく生命力をもらった感じがしました。塩っ気のあとのおはぎの甘さがちょうど良く交互にいただきました。
「でも、この患者さんはもっと増えると思うの」
「えっ、それだと羽嵐先生や緑先生、ボランティアの方も大変じゃあ」
「だから、元気な人には協力してもらわないと」
「そうですね」
「今日明日で終わりじゃない、続けられる限りこの朱雀高のボランティア活動は続くわ、でも後光さん、あなた無理しないで参加できるときに参加してくれるとありがたいわ」
「はい、明日も来ます」
「ほんとっ、助かるわ……じゃあ午後もやりますか」
「はい」
このあと私は夕方まで手伝って家に帰りました。もちろん喋り疲れてベッドにバタンキュー。でもこのボランティアは、まるで避難所の様に一日中使われるとのことです。何か大変なことだけど頑張りたいと思いました……。
残りは9日……。
「今はどんな気分ですか?」
「良くないから並んでるんでしょっ!」
「そうですね、すいません」
「もうっ!」
怒られてしまいました。気分が悪いからここに来ている、そのとおりです。やっぱり私はうっかりさんです。
「睡眠は取れているでしょうか?」
「……最近は、眠れてない」
「どうしたんですか?」
「……だって、地球最後が近いんだもん……はぁーっ、もうどうだっていいじゃんって……」
やはり前原さんもエイジという病気だと私は思いました。
「どうでもいいなんて、ホラッ、前向きに行きましょう。そうすればきっと良いことがありますよ」
「簡単に言わないでよ、じゃあ良いことって何? 男? お金?」
「そっ、それは~……」
「何よ?」
私の咄嗟に出てしまった言葉に細目で鋭く睨んでくる前原さん。
「笑顔……だと思います」
「はぁあ? なによそれ」
「誰しも地球が亡くなるのは恐いし不安です。でも前を向いていれば人が見えて淋しくないし、あるいは空を眺めていればその綺麗さに癒やされる、そうやってなんていうか、ポジティブに考えるべきかと……そうすればきっと地球がもし亡くなってしまっても、笑顔でいれると、思い、ます」
「……」
「だから前原さんも」
「……バカみたい」
「えっ……」
「話しにならないから、他の人をあたってよ」
「……は、い」
本当に、笑顔だと思いました。だって、私だって地球が亡くなるのは恐いけど、笑顔でさえいれば少しは、ちょっとは良いような気がしたから。でも前原さんには分かってもらえなかったことが、辛かった。
一呼吸するために少し離れて大きな溜息を吐き出しました。人を元気にさせるって大変なんだなと今思っている最中です。
「他の人も、元気にさせなくちゃ……」
「後光先ぱ~いっ!」
「えっ、木下さんに大桃さん!」
声の方に振り向けば、手を振ってこちらに走ってきた二人が笑顔でやって来ました。
「やっぱり後光先輩なら来てると思いました」
「うんうん、そうだよね彩吹」
「よかったです」
「先輩なんか元気ないですね」
「はい~、実は……」
何か誰かに聞いてほしくて私は二人にさっきの前原さんとのやりとりを話しました。
「――ひどいっ、後光先輩の優しさを~っ!」
「落ち着いてっ、めぐりん、その人も素直になれば良いのに、後光先輩も大変でしたね」
「その前原って言う人に、あたしが会って言ってやる!」
「やーめーてっ、めぐりん」
「どうして止めるのよ彩吹、後光先輩が言われて悔しくないの?」
「それはムッとくるけど騒動を起こしたら後光先輩がもっと傷つくと思うけど、ね? 後光先輩」
「はい、木下さんのお気持ちは嬉しいですが、二人に話しを聞いてもらって元気が出ました」
「ほんとっ、先輩?」
「はい、だからトラブルじゃなくて私たちで一人でも多くの人とお話しをして少しでも不安を和らげてあげましょう」
「「はいっ!」」
二人は素直に笑顔で返事をしたあとそれぞれ並んでる患者さんに話しかけに行きました。そんな二人と話して本当に気持ちがスーッと救われた気がします。私も先輩として後輩に負けてられません。
時間も午後を過ぎました。しかしまだ行列は終わりそうにありません。私は羽嵐先生に言われて休憩をすることにしました。
「ふぅ~っ、こんなに話し続けたのは初めてです」
「お疲れ様、後光さんも大丈夫?」
「羽嵐先生、はい、こんなに喋り続けたことないので」
「協力してくれて、ありがとね」
「はい、先生にも豚汁とおはぎです」
ここには協力してくれた人のためにとボランティアによる豚汁とおはぎが二つ配布されていたのでいただきました。豚汁は温かく生命力をもらった感じがしました。塩っ気のあとのおはぎの甘さがちょうど良く交互にいただきました。
「でも、この患者さんはもっと増えると思うの」
「えっ、それだと羽嵐先生や緑先生、ボランティアの方も大変じゃあ」
「だから、元気な人には協力してもらわないと」
「そうですね」
「今日明日で終わりじゃない、続けられる限りこの朱雀高のボランティア活動は続くわ、でも後光さん、あなた無理しないで参加できるときに参加してくれるとありがたいわ」
「はい、明日も来ます」
「ほんとっ、助かるわ……じゃあ午後もやりますか」
「はい」
このあと私は夕方まで手伝って家に帰りました。もちろん喋り疲れてベッドにバタンキュー。でもこのボランティアは、まるで避難所の様に一日中使われるとのことです。何か大変なことだけど頑張りたいと思いました……。
残りは9日……。
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