25日のスローライフ

ヒムネ

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同じに見えたんです。

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「――変わりました、わたし後光一花と言っていまボランティアをしてまして、ぜひ、あの、あなたの力を貸していただきたく宇津木くんのお友だちということで掛けさせていただきました」
 私は宇津木くんが参加してくれると言ってくれたとき、それでも足りない人手を増やすにはと閃いて彼の学校の知り合いに掛けて私が直接お願いする案を思いついたのです。
「はい、はい、場所は朱雀高等学校なので来ていだければ分かると思いますので、ぜひお力を貸していただけないでしょうか……はい、ありがとうございますっ、お待ちしております……ふぅっ」
「後光さん大丈夫ですか?」
「来て、くれるそうです」
「やったーっ!」
「それでは次の知り合いの方に連絡を」
「はいっ!」
 無茶苦茶な気がしないと言えば嘘になります。実際私はこんなことを生まれてこの方したことなかったから。でも、今はどうしてもしなくてはいけない、そんな気持ちでいっぱいでした……。

「――未来は絶望なのかもしれませんが、でもは違うと思うんです。今は過去になって亡くなっていきます。でも今があるからこそカメラに今だった時が写真に刻まれる。だから、一番大切なのは未来の絶望ではなくて、今に希望を持って生きることだと思いますよ」
「未来ではなく今……ありがとうね、カメラマンさん」
「いいえ、ではっ、1枚」
 パシャッ。
「ふぅ~……人を立ち直らせるのって大変ね」
「お疲れ様、加藤さん」
「お疲れ様です羽嵐先生」
「もし疲れたら休憩してね」
「はい」

「羽嵐先生っ!」
「後光さん……その人達は?」
「宇津木くんの学校の人たちです」
 それは30人は居るだろう人の数、生徒の数。それぞれの方に説明してボランティアに興味のある子やその家族、先生までもが集まって患者さんに話しかけ始めました。
「後光さんっ、よく集めたわね~!」
「はい、たくさんの人に連絡して集めました」
「助かるわ」
「この人たち以外にも、明日来れる方や、明後日の方とかもたくさんの人に呼びかけました」
「後光さんっ、えらいっ、ありがとうございます」
「いえっ、じゃあ私も患者さんのお話しに参加します」
「お願いねっ、後光さんっ!」
 羽嵐先生の頬が上がりました。人が多くなるにつれてどうしようと思っていたからでしょうか笑顔が戻りました。今回は自分でよくやったと褒めました。これで何とかなるという風が吹いたような気がします。私も頑張らなくちゃ……。

「バッカじゃないの、抵抗したってムダなのに……」

 ――あなたは誰よりも自分を否定している。でもその気持ちに呑まれないで、そうすればあなたも希望が持てるから――。

「緑先生は、ああ言ったけど……」
「ですから私はうっかり者で、よくお母さんに叱られちゃうんです『それ、塩じゃなくて砂糖だから』って」
(後光一花、またこんな所にいて)
「出来た野菜炒めが甘くて食べきれませんでした」
「ハハハッ、君は面白いね~」
(なんで……笑ってられるのよ、こんな地球が亡くなるっていうのに頭がおかしいのよ……もうっ!)
「ん?」

「良いわよね、楽観的な人は……」
「あの~」
「わっ、後光っ!」
「前原さん、来てたんですね。でも並んでないみたいですけど」
「うるさいわよっ、あたしの勝手でしょっ!」
「前原さん……」
「わかってるわよっ、いたら迷惑だし帰るわよつ!」
「協力して、くれない?」
「はぁあっ? またあんたは何言ってるのっ!?」
「……」
「なにその、人を憂うような目はっ、なめてんのっ?」
「そうじゃ、ないんです……私、さっき前原さんを見たとき……」
 目線に気がついて前原さんがこちらを見る姿と表情が、私には宇津木くんと同じに見えたのです。
「ほんとうは、協力したいのに……」
「なにそれ……」
「前原さんに、一歩踏み出す勇気がないんじゃないかと」
「あんたねっ!」
「ああっ!」
 胸ぐらを掴まれました。怖かった、でも、でも今の私には……。
「これ以上あたしにふざけたことぬかすと」
「前はクラスが一緒で距離を置いたけど、今の私には、前原さんの力が必要なんですっ!」

「はぁっ、はぁっ……このっ……」
「今日で9日目」
「それは……」
「明日で8日、もし本当に地球が亡くなるなら……もう自分を偽っている場合ではない、そう思いませんか?」
「……」
「私を好きになってほしいとは言いません、でも、前原さんに少しでも自分自身の中に開放したい善意があるなら、力を貸してください」
「くっ……」
「あたしは……うあぁぁっ!」

 ゴンッ。前原さんは何を思ってか、体育館の地面を思いっきり拳で殴りました。痛そうと思うったら流石に痛がる前原さん。
「痛……」
「前原さん」
「あんたに、言われるとはね」
「え?」
「ふぅ~っ、頭を冷やせば変な事に拘ってたのね、あたし」
「じゃあ前原さん!」
「別に仲良くなるとかじゃないわ!」
「え~」
「あたしはいつも楽観的なあんたが嫌っ……」
「うう~」
「……苦手だった。弱いのに人の懐にズケズケと、でも」
「前原さん?」
「そんなうっかりさんがこんなボランティアしてるなんて、こっちも負けてられないもん」
「じゃあ一緒に」
「ちーがーうっ、あたしの意思でここに協力するのっ、それだけ、じゃあっ」
 そう言ってテクテクと会場の中に入っていきました。これはこれで良かったのか、でも人手がまた増えて良かったと思いました。
「前原さんの病は大丈夫なんでしょうか、う~ん……」

 でももし、前原さんが病気を再発したらきっと言ってくれますよね。

 残りは8日……不安がないわけでは、ありません……。
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