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過去の思いで
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おかっぱの女子中生に投げ飛ばされて二週間、秋夜の帰りに同級生の男の子達が目の前に止まった。
「……どうしたよぞろぞろと」
「わかってんだろ水月」
「オレ等とつるむのをやめるってどうしてだよ」
「そっちだってわかってるだろうが、図書館で読んでた女子にケンカ売って……結局オレを見捨てて逃げたじゃねえかよ。だからもう義理でつるむのやめるって言ったんだよ」
コソコソと責任を押し付け合う同級生にますます呆れて細目になってしまう。
「だから、あとは勝手にやってろよ、じゃあな」
すると同級生の一人は秋夜の屈辱に思ったのか、肩を掴み殴ってきた。
「痛て……」
「おい、なめんなよ秋夜っ!」
それを良しと思ったのか他の同級生も秋夜を囲んで少しずつ手を出してきた。
「お、おいやめろよ」
秋夜も大きな騒動になるかもしれないからと止めろと説得するも、暴力に夢中になっている同級生の耳にはまるで入らない。
「アンタたち、まだ何かやってんの……」
聞き覚えのある声にビクつき振り向いた同級生は、千暖の姿に恐がって驚きの声をだして逃げていった。
尻餅をついていて蹴られたであろう制服に土をついていた秋夜。
「だい、じょうぶ……?」
「よっ、とっ……あいつら~」
そこら中、傷だらけなのにまるで平気なのかすぐ立ち上がる。
「へっ、平気なのあなた!?」
「あ~、ま~、大丈夫かな」
「打たれ強いのね」
「……普通の人よりは打たれ強いかも」
「ふ~ん……でも、ごめん」
「はっ?」
自分が虐められる原因をつくった気がして誤ったが、彼は思ってもいない言葉にポカンとする。 しかしそれに気が付かない彼女が深く頭を下げすぎたのか眼鏡が落ちてしまった。
「ほら」
「あっ、ごめんなさい」
「保村って眼鏡、取ったほうがいいと思う」
眼鏡をかけ直して、どうしてと軽い気持ちで言葉を返した。
「そっちのほうが、言っていいか分からないけど……カワイイと思うぜ」
「えっ!?」
その頃から千暖はたまに秋夜を見かけては話しかけた。出会って半分は、彼が友達に虐められてる度に彼女がよく追い返していた。
いつも友達に虐められていても全く動じない秋夜、そんな彼の強さに千暖は次第に頼りがいのある心強い人に思えた。
――寒い冬が来て転機があった、それはバレンタインデーの時期で周りの女子は好きな男の子の話ばかりになっていた。
「あたし今度告ろうと思ってるだよね」「あたし〇〇君は良い人だと思うんだ~」「あたし別の学校の男の子なの」
みんなが思いおもいの話しをしていて自分にはとパッと秋夜のことが浮かんでつい頬が熱くなってしまう。でも、彼女は決めた……。
「は、はい、これ」
「えっ、これってチョコ」
「うん……あの……ちゃんと、ほ、ほほ、本命っていうか……」
「え……」
味見もしたしっかりと作った大きな手作りのチョコだった。彼はその場で開いて食べ始めた。
「うっ、うめぇぇ……」
「ホッ、ホントッ!?」
「うんっ、うまいよっ!」
「そっ、それじゃっ!」
彼はスッと右手を彼女の前に出し頬を上げる。
「オレの胃袋は、保村に取られたよ……よろしく」
そうして千暖は本命のチョコで秋夜の胃袋を掴み、付き合うことになった……。
そんな思い出ももはや過去話。だが振られても思い出はすぐには消えないもので、秋夜は自分の部屋でゲームをやったり、勉強してみたり、ボーッとしてみたが気持ちが落ち着かない。
「本でも読むか~……本、か……」
机に置いてある本を読もうとしたらまた千暖の一番喜んだ日を思い出してしまう……。
「……どうしたよぞろぞろと」
「わかってんだろ水月」
「オレ等とつるむのをやめるってどうしてだよ」
「そっちだってわかってるだろうが、図書館で読んでた女子にケンカ売って……結局オレを見捨てて逃げたじゃねえかよ。だからもう義理でつるむのやめるって言ったんだよ」
コソコソと責任を押し付け合う同級生にますます呆れて細目になってしまう。
「だから、あとは勝手にやってろよ、じゃあな」
すると同級生の一人は秋夜の屈辱に思ったのか、肩を掴み殴ってきた。
「痛て……」
「おい、なめんなよ秋夜っ!」
それを良しと思ったのか他の同級生も秋夜を囲んで少しずつ手を出してきた。
「お、おいやめろよ」
秋夜も大きな騒動になるかもしれないからと止めろと説得するも、暴力に夢中になっている同級生の耳にはまるで入らない。
「アンタたち、まだ何かやってんの……」
聞き覚えのある声にビクつき振り向いた同級生は、千暖の姿に恐がって驚きの声をだして逃げていった。
尻餅をついていて蹴られたであろう制服に土をついていた秋夜。
「だい、じょうぶ……?」
「よっ、とっ……あいつら~」
そこら中、傷だらけなのにまるで平気なのかすぐ立ち上がる。
「へっ、平気なのあなた!?」
「あ~、ま~、大丈夫かな」
「打たれ強いのね」
「……普通の人よりは打たれ強いかも」
「ふ~ん……でも、ごめん」
「はっ?」
自分が虐められる原因をつくった気がして誤ったが、彼は思ってもいない言葉にポカンとする。 しかしそれに気が付かない彼女が深く頭を下げすぎたのか眼鏡が落ちてしまった。
「ほら」
「あっ、ごめんなさい」
「保村って眼鏡、取ったほうがいいと思う」
眼鏡をかけ直して、どうしてと軽い気持ちで言葉を返した。
「そっちのほうが、言っていいか分からないけど……カワイイと思うぜ」
「えっ!?」
その頃から千暖はたまに秋夜を見かけては話しかけた。出会って半分は、彼が友達に虐められてる度に彼女がよく追い返していた。
いつも友達に虐められていても全く動じない秋夜、そんな彼の強さに千暖は次第に頼りがいのある心強い人に思えた。
――寒い冬が来て転機があった、それはバレンタインデーの時期で周りの女子は好きな男の子の話ばかりになっていた。
「あたし今度告ろうと思ってるだよね」「あたし〇〇君は良い人だと思うんだ~」「あたし別の学校の男の子なの」
みんなが思いおもいの話しをしていて自分にはとパッと秋夜のことが浮かんでつい頬が熱くなってしまう。でも、彼女は決めた……。
「は、はい、これ」
「えっ、これってチョコ」
「うん……あの……ちゃんと、ほ、ほほ、本命っていうか……」
「え……」
味見もしたしっかりと作った大きな手作りのチョコだった。彼はその場で開いて食べ始めた。
「うっ、うめぇぇ……」
「ホッ、ホントッ!?」
「うんっ、うまいよっ!」
「そっ、それじゃっ!」
彼はスッと右手を彼女の前に出し頬を上げる。
「オレの胃袋は、保村に取られたよ……よろしく」
そうして千暖は本命のチョコで秋夜の胃袋を掴み、付き合うことになった……。
そんな思い出ももはや過去話。だが振られても思い出はすぐには消えないもので、秋夜は自分の部屋でゲームをやったり、勉強してみたり、ボーッとしてみたが気持ちが落ち着かない。
「本でも読むか~……本、か……」
机に置いてある本を読もうとしたらまた千暖の一番喜んだ日を思い出してしまう……。
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