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迷宮
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3つのボタン。ナニラは奥に見える竜の壁に赤いボタンを押して火を吹かれたという。
「じゃあ残りは青と緑か……本当に赤を押したのか?」
「ちっ……本当だよ」
ナニラだって出たいはず、じゃなきゃ騙して先に行くわけがないだろう。ならやっぱりこの2つのどちらかか。
「赤で火を吹いたから、青は水とか?」
「じゃあ緑は何だよ」
「緑は……草ぼうぼう?」
「バカか」
「なんだと、騙したバカ盗賊に言われたくないね!」
「言うじゃないか、男大好き尻軽女が!」
いちいち、いちいち口から言葉の毒を吐きやがってこの盗賊バカ女が。このままじゃあラチが開かないし、一緒に居たくないからここは押すしかない。
「フンッ、んじゃ緑押すよ」
「なんでだよ?」
「緑は関連ないから、緑が当たりかも」
「あーそっ」
すると背を向けたナニラ。どうやらあたいが押して何かおきたら先に逃げる構え、どこまでもこの女はあたいの怒りに油を注いでくる。
「ったく……」
カチャッ、と慎重に緑のボタンを押した。
すると地響きがして竜の壁が開く。
「ほらっ、いった通りだろ、やった」
「じゃあ行くぞ」
ナニラは知らんぷり。ここでエメールやモントとかアヴエロたちだったら一緒に喜んだり褒めてくれたりするのに。
――龍の壁の奥を出ると、残念だが外ではなくすぐ突き当りで左右に道がある。
「別れ道か、じゃあ右に行くか」
「そうかい」
「ついてくんな、あんたは反対を行けよ」
「はぁっ? なんでよ」
「二手に別れたほうが効率がいいだろ」
「本当にそれだけか?」
「へーっ、あたしと一緒がいいんだ~、悪いけどあんた嫌いだからごめんね」
「はぁあ? いつそんなこと言ったよっ、いいよあたいは左に行く」
「よかった、じゃっ」
「この……ああじゃあなっ!」
嫌いって、あたいもナニラが大嫌いだっての。また魔物に襲われたって助けてやるもんか。
別れ道の左側は特に怪しいものがなく一本道で、壁画も似たようなものばかり。魔物クモ1匹とたまに遭遇する程度で苦戦することなく進んでいく。
「……はやく外に出れないかな~……あっ!」
「あっ」
「ナニラ」
「ちっ、ネモネアかよ、繋がってるのか」
「……そっちはなんかあった?」
「……何も」
あたいたちは別れ道から別々に回ったが合流してしまった。これは一筋縄ではいかないかも。いったん立ち止まって考えて、あたいはナニラの通った道に、ナニラはあたいの道を通ってお互いに調べ忘れがないか確認しながら進んでみる……。
「なにかあった?」
「いや何も、お前もか」
「ここには何も無いってことか……どうすれば」
何か言ってくると思ったらナニラは考えているようだ。
「……あの竜の壁の部屋に戻るぞ」
「え、どうして」
「ここに何も無いなら、あるのは竜の壁の部屋で青のボタンだけだ」
「そうだけど」
「じっとしていたいなら好きにしろ、あたしだけで戻る」
「わかったよ、いくよ」
ムカつく言い方だけど、今はナニラの言う通りに竜の壁の部屋に戻ってみるしかない。少しづつ不安がつのる。
「――それで、どうするの」
「青のボタンを押すから、構えてろ」
「う、うん」
意外な言葉、逃げようとしたのを反省しているのかな。いや、油断できない。想像を膨らましているうちにカチッ、と音が。
「「うわぁぁぁ!」」
部屋の床が開き落とし穴に落ちた。
ジャボンッ、少しの水溜り。どうやらこれが青いボタンの答えみたい。
「痛~っ、落とし穴か」
「くっそ、外れかい」
痛がってるのもつかの間であたいらの前に魔物ピラニアが襲ってくる。
「こんどはピラニアか!」
倒せない的ではないものの、ピチャピチャと2匹、3匹と同時に仕掛けてくるから、腕や脚を噛まれていく。
「小さくて早いっ!」
「ナニラ手を掴めっ」
「はぁっ? やだよ」
「早くしろっ!」
「ちっ!」
「ウイングッ……それと、ディック・サンダーッ!」
「ピラニアもおしまいだな」
あたいの左手から放つ、雷を太く強化した魔法で部屋全体に伝わり全ての魔物ピラニアはプカプカと浮いてきた。でも、あーんもうっ、結局ナニラを助けちゃったよ。
――上を見上げるとあたい3人分くらいの高さがある。
「しかたない、また魔法で……ナニラなにしてんの」
「……やっぱり、よし……」
魔物ピラニアを避けながら煉瓦での隙間を調べていくナニラ。出口のヒント探しかなにかか、さすが盗賊女。
「何かあった?」
「いいや何も……さっさと上に戻るぞ」
あたいに掴まって再び魔法の“ウイング”で竜の壁まで戻ると、開いた床は元通りに閉じた。結局は青いボタンも罠だったということは、また振り出しに。
「も~っ、どうすればいいんだ!」
グ~ッとお腹が鳴り出す。
「腹減ったか」
「……あたいらこの地下にどれくらいいるんだろう」
「中じゃわからないしな」
グ~ッ、今度はナニラのお腹の音が。
「はぁ~……どうするかね」
考えても行けるところはいったし、やっぱりこのままこの中で、と悪い事が頭の中を巡ってきた。早くなんとかしないと。
――その頃のモント、エメールはキングロビウ城の城下町の宿にいた。
「どうだエメール、外の様子は」
「ダメです、ネモネア・プリンセスが帰ってくる様子がありませんよモント・プリンセス」
「もうちょっとで早朝か、ネモネアに頼みたい事があったのに……生きていてくれ……」
「じゃあ残りは青と緑か……本当に赤を押したのか?」
「ちっ……本当だよ」
ナニラだって出たいはず、じゃなきゃ騙して先に行くわけがないだろう。ならやっぱりこの2つのどちらかか。
「赤で火を吹いたから、青は水とか?」
「じゃあ緑は何だよ」
「緑は……草ぼうぼう?」
「バカか」
「なんだと、騙したバカ盗賊に言われたくないね!」
「言うじゃないか、男大好き尻軽女が!」
いちいち、いちいち口から言葉の毒を吐きやがってこの盗賊バカ女が。このままじゃあラチが開かないし、一緒に居たくないからここは押すしかない。
「フンッ、んじゃ緑押すよ」
「なんでだよ?」
「緑は関連ないから、緑が当たりかも」
「あーそっ」
すると背を向けたナニラ。どうやらあたいが押して何かおきたら先に逃げる構え、どこまでもこの女はあたいの怒りに油を注いでくる。
「ったく……」
カチャッ、と慎重に緑のボタンを押した。
すると地響きがして竜の壁が開く。
「ほらっ、いった通りだろ、やった」
「じゃあ行くぞ」
ナニラは知らんぷり。ここでエメールやモントとかアヴエロたちだったら一緒に喜んだり褒めてくれたりするのに。
――龍の壁の奥を出ると、残念だが外ではなくすぐ突き当りで左右に道がある。
「別れ道か、じゃあ右に行くか」
「そうかい」
「ついてくんな、あんたは反対を行けよ」
「はぁっ? なんでよ」
「二手に別れたほうが効率がいいだろ」
「本当にそれだけか?」
「へーっ、あたしと一緒がいいんだ~、悪いけどあんた嫌いだからごめんね」
「はぁあ? いつそんなこと言ったよっ、いいよあたいは左に行く」
「よかった、じゃっ」
「この……ああじゃあなっ!」
嫌いって、あたいもナニラが大嫌いだっての。また魔物に襲われたって助けてやるもんか。
別れ道の左側は特に怪しいものがなく一本道で、壁画も似たようなものばかり。魔物クモ1匹とたまに遭遇する程度で苦戦することなく進んでいく。
「……はやく外に出れないかな~……あっ!」
「あっ」
「ナニラ」
「ちっ、ネモネアかよ、繋がってるのか」
「……そっちはなんかあった?」
「……何も」
あたいたちは別れ道から別々に回ったが合流してしまった。これは一筋縄ではいかないかも。いったん立ち止まって考えて、あたいはナニラの通った道に、ナニラはあたいの道を通ってお互いに調べ忘れがないか確認しながら進んでみる……。
「なにかあった?」
「いや何も、お前もか」
「ここには何も無いってことか……どうすれば」
何か言ってくると思ったらナニラは考えているようだ。
「……あの竜の壁の部屋に戻るぞ」
「え、どうして」
「ここに何も無いなら、あるのは竜の壁の部屋で青のボタンだけだ」
「そうだけど」
「じっとしていたいなら好きにしろ、あたしだけで戻る」
「わかったよ、いくよ」
ムカつく言い方だけど、今はナニラの言う通りに竜の壁の部屋に戻ってみるしかない。少しづつ不安がつのる。
「――それで、どうするの」
「青のボタンを押すから、構えてろ」
「う、うん」
意外な言葉、逃げようとしたのを反省しているのかな。いや、油断できない。想像を膨らましているうちにカチッ、と音が。
「「うわぁぁぁ!」」
部屋の床が開き落とし穴に落ちた。
ジャボンッ、少しの水溜り。どうやらこれが青いボタンの答えみたい。
「痛~っ、落とし穴か」
「くっそ、外れかい」
痛がってるのもつかの間であたいらの前に魔物ピラニアが襲ってくる。
「こんどはピラニアか!」
倒せない的ではないものの、ピチャピチャと2匹、3匹と同時に仕掛けてくるから、腕や脚を噛まれていく。
「小さくて早いっ!」
「ナニラ手を掴めっ」
「はぁっ? やだよ」
「早くしろっ!」
「ちっ!」
「ウイングッ……それと、ディック・サンダーッ!」
「ピラニアもおしまいだな」
あたいの左手から放つ、雷を太く強化した魔法で部屋全体に伝わり全ての魔物ピラニアはプカプカと浮いてきた。でも、あーんもうっ、結局ナニラを助けちゃったよ。
――上を見上げるとあたい3人分くらいの高さがある。
「しかたない、また魔法で……ナニラなにしてんの」
「……やっぱり、よし……」
魔物ピラニアを避けながら煉瓦での隙間を調べていくナニラ。出口のヒント探しかなにかか、さすが盗賊女。
「何かあった?」
「いいや何も……さっさと上に戻るぞ」
あたいに掴まって再び魔法の“ウイング”で竜の壁まで戻ると、開いた床は元通りに閉じた。結局は青いボタンも罠だったということは、また振り出しに。
「も~っ、どうすればいいんだ!」
グ~ッとお腹が鳴り出す。
「腹減ったか」
「……あたいらこの地下にどれくらいいるんだろう」
「中じゃわからないしな」
グ~ッ、今度はナニラのお腹の音が。
「はぁ~……どうするかね」
考えても行けるところはいったし、やっぱりこのままこの中で、と悪い事が頭の中を巡ってきた。早くなんとかしないと。
――その頃のモント、エメールはキングロビウ城の城下町の宿にいた。
「どうだエメール、外の様子は」
「ダメです、ネモネア・プリンセスが帰ってくる様子がありませんよモント・プリンセス」
「もうちょっとで早朝か、ネモネアに頼みたい事があったのに……生きていてくれ……」
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