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夏の風物詩

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「さぁ、今日こそあの2人を魔界チャンネルにいれてやるわよ羅井らい、坊野」

「やるわ」

「やるだわさ」


 昨日と同じ道で待ち伏せしていた3人の小学生。魔界チャンネルでメンバーを増やし登録者数アップを狙い、将来たくさんの洋服とか、海外とか、カッコいい男性アイドルにあったり、東京の建っかいマンションに住んだり、だからこそ勧誘して規模を大きくしたい。


 そして千夏と向日葵ひまわりがやってきたのを確認。


「さあーっ、逃さないわよっ」

「もう、しつこいなー」


 逃げる2人だが3人は前回の噴水公園に誘導するように追い詰めていくと、


「はぁ、はぁ」

「はぁ、はぁ、さぁ魔界チャンネルにお入りなさい」


 すると千夏は突然、


「・・・実はさ、無理な理由があるんだ」

「なにそれ、逃げるための言い訳?」


「これ以上あたし達に関わると・・・っ!」


「はぁ? 何よその下手な脅しは」


 このご時世に呪いとはあまりのふざけた理由にバカじゃないと詰め寄ろうとするとヒマワリも、


「ホ、ホントウ、なんです」


 向日葵も一緒に頑張って脅す姿に笑い出す3人、そしてリーダーの風切は、


「はははっ、あんたらホント馬鹿なんだから、そんな奴らを拾うあたしらに感謝しなさいホーッホッホッホッホッ!」


 勝ち誇ったように笑いながら近づいていくリーダーの風切。しょせんこんなもんと思ったら、ポッチャリ系の坊野がなにかに気づき目を軽く擦する。


「気のせい、かな?」


 千夏たちに何かが見えたような気がした。


「どうしたのポッチャリ系、ん?」


 今度はショートカットの羅井が何かを見た、


 次の瞬間、



「バァアァアアアァァァーッ!」



「「イヤァァァーッ、バケモノォォォーッ!」」



「う~ら~め~し~や~」



 今度はハッキリと千夏たちを囲むように揺らめく幽霊が見えた3人、



 漆黒の衣から覗き歯や刃で舌を出してこちらを見ている、ギャルのヤマンバである。



「これ以上2人にし~つ~こ~い~と・・・取り憑くぞぉぉぉっ!」



「「イヤァァァー、ごめんなさーいっ!」」



 ハッキリ見える幽霊の怖さと恐怖に3人はあっという間に去っていった。



「――お姉ちゃん、お姉ちゃん」

「ん、バケバケ?」

「もういいよ」


 意外とハマっていたがもう終わりかと少し残念な気もしながら、


「へへ、これでもう大丈夫っしょ、あら?」

「ぐすっぐすっ」

「あちゃ~、向日葵ちゃんにはちょっと怖すぎたか~」


 うなずき、向日葵は腰を付いている、精霊バナナ·ガールのナナの怖い演技に驚いてしまったよう。


「ごめんごめん」


 千夏はヒマワリを起こしホコリを払うと、


「いえ、怖かったけどありがとうございましたナナお姉さん」

「ありがとうナナお姉ちゃん」

「ナナお姉ちゃんめっさ照れる~」


 素直に言われると照れるナナ。



「自分たちで解決しようとするのは立派よ、でも相手がしつこいときは二人とも6年生で女の子なんだからちゃんと周りの人に相談するのよ」


「はいっ」「うんっ」



 2人にアドバイスして向日葵を自宅まで送ると彼女はドアが閉まるまで笑顔いっぱいだった。良いこととはするもんだ。


「今日はほんとうにありがとうナナお姉ちゃん」

「なによ、改まっちゃって」

「ナナお姉ちゃん、大好き、へへっ」


 笑顔で頬を赤らめながら感謝を言われ嬉しくてナナは少ししゃがんで後ろから抱きしめる。


「アハハッ、お姉ちゃん」

「今日はー、千夏ちゃんがかわいいから~、こうしちゃう~!」

「おねえちゃ~ん!」


 2人はそのまま楽しそうに家へと帰っていった······。


「「ただいま~っ」」

「おかえり、千夏にナナちゃん」


 末信ママはナナに後ろから抱きしめられた手をギュッと握る千夏の姿を見て解決したのかなと顔を上げると、ナナはウインクしながら右手で人差し指と親指の丸サインを送った。


「ありがとね、ナナちゃん」

「いえいえ、千夏ちゃんとも仲良くなれたしあたしの方が感謝よ」

「フフッ」


 末信ママとナナは気持ちよくお茶をすする、とても和やかな雰囲気。だが、ふと末信ママはおもいだし、


「あ、あの、ナナちゃん、次のお願い聞いてくれない?」

「え?」


 突然のお願い。良いよとナナがついていくとそこは、


「あれなの」


「あ~ははっ、


 その相手とは、自分の部屋で机に死んだようにダレている前回ギャル姿の桜子ようこと気づかずバカにして嫌われてしまった末信すえのぶだったのだ。


「ムリ? ナナちゃん」

「う~ん、ムリかも~」


「あぁ~ようこちゃん~、ガクッ」
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