夏にバナナから出てきたヤツは『2ヶ月間すませてください』と言うギャルの精霊バナナ·ガールだった。

ヒムネ

文字の大きさ
12 / 50

異世界へGO!

しおりを挟む
 ガタッ、

 机に膝をぶつけた末信すえのぶが憧れの桜子ようこの前に、彼女はスマホをいじっているようだ。


「よ、桜子ちゃん、きょ、今日も天気は晴れてるね~」


 ピクリともせず黙って何かをやっている。


「きょ、今日の朝、オレ腹痛くなっちゃって家に戻ったんだ、ハハッマヌケだよな~」
 

 するとスッと立ち上がりどこかに行こうとした。


「よ、桜子ちゃ~ん、ちょ、ちょっとくらいなにか」


 その声に目を合わせた桜子は、



「すいませんが、どいていただけないでしょうか」


 ガ~ンッ、



 氷のような、



 いや南極大陸のような冷たさの目線、



 完っ全に心の距離が地球の反対側くらいに感じるほど強く言われたとおり退く。
 ドカッ、その場で膝をつく末信を廊下から隠れて見ていた精霊バナナ·ガールのナナ、


「ありゃかーなーりマジ怒ね」



「――ぐすっ、なっ、見たとおりだろ、オレ嫌われちまった」

「うん、あれは相当よ」

「どうしようナナァ~」


 あんたが悪い、一言でいえばそうだがちょっとカワイイそうに感じているのも本当で本人も反省していることと考え、


「泣いて相手が許してくれるわけもなし、じゃあ今週の土曜はちゃんと空けておいてよ」

「え、土曜? わかったっ!」

「よし、これであとは桜子ちゃんか」


 このあとナナは桜子にも約束をしていろいろと準備を始め土曜日がやってきた······。



 ピンポーンッ、


「は~い」

「チョモロハ~、ナナでーす」


 扉を開きナナを笑顔で向かい入れる桜子、そうここは彼女の家。


「おじゃましま~す」

「ナナさん、おはよう」

「おっは~桜子ちゃん、今日もカワイイわよ」


 玄関でいきなりの褒め言葉に頬を赤らめテンパる桜子、部屋に移るとテンションが上がるナナと前回も来たのに緊張し正座してしながらも紅茶とビスケットを用意し一口食べる。


「さてっ、じゃあ本題にいくわよ」

「は、はい」


 ナナから家に遊びに行っていいと訊かれ、喜んでOKした桜子も内容は知らずバッグの中をあさる彼女を見ていたら何か機械モノを出す。


「じゃーん」


「これ・・・ってVR?」


「そっ、ナナさん特製『異世界VR』よ~」


 コンセントを入れ言われるがままに被る。


「異世界VR、あの~、いったい」


「今日は一緒にゲームしよ」


「はい良いですけど、でもなにを」


「それはね、RPGあーるぴーじーよーっ!」


 右耳近くのVRスイッチを入れると「キャッ」桜子はまるで異世界に飛ばされているような感覚におちいった······。



 謎の草原に一人の戦士が頭を抱えていた。


「う~ん、ここで待ってればいいのかな~」


「わあっ」


 ドテンッ、杖を持ったローブを着た女の子が突然と倒れてきて、


「う~、ここは、ナナさんっ」


 その声に駆け寄る戦士。


「あ、あの~・・・桜子、ちゃん」

「あなたは・・・末信、君」


 顔を合わせると桜子はムスッとしてプイッと右に向いてしまう。


「末信君も、来てたんですね」

「あ、う、うん~」

「ナナさんどこにいるのかな」


 草原を見渡すと遠くに森や道があるにはあるのだがここを動いていいものか。考えて見渡していたら2人に聞こえるナレーションが、



『むか~し昔あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に・・・行く予定でした。ところがおばあさんの道の途中に目に入ったキレイな長いバナナの草を見かけると、ボトンッと大きなバナナが落ちてきました』



 ボトンッ、


 気がつくと大きなバナナが一本、2人の3歩後ろに見つかる。


『おばあさんがその大きなバナナを剥くと中から』



 パッカーンッと皮が剥け、



『ハズレ・・・』



「え、ハズレって・・・」

「ナナさん?」



「後ろよ」


「うわっ」「キャッ」


 2人の背後から現れる。


「はっはーっ、どうよ?」

「どうよじゃねえ、ちゃんとバナナから出てこいよな」

「ビックリした」とナナに話す桜子は末信を全く相手にしていないようだ。


「はぁ~」


 その様子に気づくナナだがまだまだこれからと、


「さあ集まったわね、早速これでチームを組むわ」

「チーム? そうか、これRPGだから」

「お、おう、わかった」


 目を合わす桜子はなんだか嫌そうな目に、末信は泣きたくなってくる。ここまで嫌われてるなんて。


「パーティーは4が基本だから」

4?」

「私たちで3人だけですけど・・・」


 するとボトンッとまた、どこからともなくバナナが落ちてきて、



 パッカーン、



「バ、バナナグラサン2号参上・・・って、やっぱちょっとはずかしい」



「え、どなた?」

「はっ? バナナ、グラサン」


 そのバナナグラサン2号は紺色のマントが付いたマスクとおでこにバナナが2本付いていた。どこか恥ずかしそう。


「この子、バナナグラサン2号も参戦、これで4人よ!」

「おいおいなんだよそのダッセェー奴は、まず正体を」

 ギロッとナナとバナナグラサン2号が向くと、


「シャラップッ、目指すは魔王を倒して世界を救うことっ、さぁ行くわよっ!」


 かくして見知らぬ草原にナナ、バナナグラサン2号、戦士の末信、ヒーラーの桜子の異世界VRによる大冒険が始まった······。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...