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やってきました夏の海!
しおりを挟む「うぅ~・・・うみだぁぁぁー~っ!」
8月・・・誰もが1年で唯一みんなで遊ぶ月。広大な海と青空に興奮して叫ぶのは、そうっ、精霊バナナ·ガールのナナだった。
「「はぁーあっ!
うーみー、海うみうーみ~、
うーみー、海うみうーみ~、
うーみー、海うみうーみっ、うっ!」」
あまりにも嬉しくてたくさんの人がいる海で踊りだすナナと千夏。
「「はぁ~あっ!
うーみー、海うみうーみ~・・・」」
「恥ずかしいから踊んなっ、千夏もだっ!」
「「え~、いけず~」」
堂々と踊りだした二人を怒った末信。
「千夏も真似すんなっ、向日葵ちゃんも引いてるだろ」
今日は千夏の同級生で友だちの向日葵も一緒。
「たのし、そう」
「え・・・」
「ほーら、大好評じゃな~い」
「そ、それでもダメっ、だいたい羞恥心ねぇのかよお前はっ!」
すると目が鋭くなり末信の前に立つナナに、
「あんたね、さっきから聞いてれば、恥ずかしい恥ずかしいお腹すいたって・・・今の世のなか自己主張が大切なのよ、自己主張が」
「うっ」
「そんなんだから目的の女の子に見向きもされないのよ、わかる?」
いつの間にか末信が説教され千夏もお手上げと友に首を振っていた。
「だいたいね~、あんたのその脳みそ・・・」
話の最中にナナの耳がクイックイッと反応して末信たちにかまわず海に向かって突然と走り出す。
「おいっ、ナナッ」
――小さな子どもから大きな大人までパチャパチャ水の音、ギンギラ太陽の下で椅子に寝そべり肌を焼くお兄ちゃんお姉ちゃんと夏の海はみんなが大好きだ。
しかし、砂浜から走っていく子どもはときに、
「海だー・・・うわっ!」
好奇心で身体ぎりぎりまで海を進むと突然足が着かないところまで行ってしまい身体を持っていかれた。さらにザブーンッと大きな波が小さな少女に襲いかかる。
「カナちゃぁぁ~んっ!」
「ガボッ、ガボッ、きゃぁぁぁー!」
お母さんは慌てて走るも転んでしまう、
このままでは娘が、
娘が流され死んでしまう。
「はぁ~ああー~いっ!」
するとその波に乗る一人の女性が、
いやギャルが、
サングラスをかけサーフボードととも華麗なるサーフィンで溺れかけた少女を救い出す。
「よっ、と」
「うわぁーんっ!」
「泣かないなかない、バナナ食べる?」
「ぐすっ、たべる」
ところがそこに、
ザブーンッと運悪く鮫が襲ってきたのだ。
「うあぁぁぁ~んっ」
「ちっ、サメコーがっ!」
恐怖に再び涙するカナちゃんを胸に抱きしめ頭をポンポン。
「泣かないでうずくまってなさいっ」
しかし容赦なく2人を噛み殺そうとする鮫。その口に自分たちの代わりにサーフボードを挟み、その上からホイッホイッとジャンプ。
「それじゃ~ママさんのところまで行くわよっ、とあ~っ」
しかしそれでは地面に叩きつけられてしまうので、
パチンッ☆
煙と現れたのはバナナの柄が目立つビーチパラソルを開いてゆっくりと着地。
大喝采、
お母さんも駆け寄ってきて「ありがとうございます!」と何度も頭を下げ命を助けて頂いたお礼にとお金を渡そうとしたが、
「フッ、お金は未来のあるこの娘のために使ってよね、お母さん」
断った。
「でも・・・」
「この娘は命の有り難みをいま噛み締めている、それだけで十分だわ」
「おねえさん、ありがとうございました」
「そうだ、ほれ、バナナ」
渡し忘れていたバナナをカナちゃんは夢中で剥いて食べると、
「お、おいしい~っ」
「深く甘いエクアドルのバナナよ」
頭を下げたカナちゃん、ナナはしゃがんで同じ目線に立ち、
「大きな海は楽しいわね、でも大きいぶん危険もいっぱいなの、だからもう奥には行っちゃだめよ」
「はい、ごめんなさい、ハム」
「フフッ、いい娘ね。あなたはきっと美人になるわ、あたしにも一口ちょうだい、ハムッ」
そう言って母娘の元を華麗に美しくその場を去っていった。そこにナナの活躍をたまたま見ていた一人の女性は、
「あっ、あの人はっ!」
なにかに気がつく······。
「ナナ~ッ、突然どこ行ってたんだよ」
ナナを探して駆けつけてきた末信。
「人命救助よ人命救助」
「人命救助って誰をだよ?」
「フッ、未来の美人ちゃん」
またコイツは何かと関わったのかと疑い始め呆れていたら、バチンッと背中を叩かれ、
「いでーっ!」
「ほーら、パパさんママさんのところに戻るわよ」
「強く叩くなよ、背中赤くなってるだろ」
「赤く? 花火は付いてるけど」
「ほらーっ、おまえが強く叩くから~」
るんるんと走り去るナナを追いかける背中に赤い手形の付いた末信。
その頃、
「――はぁ~、日焼けしちゃうわ~ん」
ビーチパラソルの影から出ないようにしていた末信ママ、末信パパは隣で海で泳ぐ娘の千夏とその友だちの向日葵を見張っている。
「はぁあ~、千夏も大きくなったな~」
もう小学6年生で来年は中学生、二十歳まで半分もないとサングラスから娘を見て思っていると、なぜか、胸の奥から、ジンしてしまう。
『お父さん、お世話になりました』
「ぐすっ、ぢなづ~、いかないで~!」
「はい、とうちゃ~く」
戻ってきたナナと末信。
「あ、ナナちゃんおかえり、ぐすっ」
「父さん、な、なに泣いてんだよ」
「いや、千夏が、ぢなづが~っ」
2人が千夏と向日葵を見るも特に変わったことはない。そこでナナは、
「よしよし、泣いていいわよ」
「うえ~ん、ナナちゃ~ん」
とりあえず頭を撫でなで、そんな年下に慰められている自分の父親の姿は情けなく見ていられない。
「ナナお姉ちゃーん」
「お、千夏ちゃんに向日葵ちゃ~ん」
「ん? なにかあったんですか?」
向日葵の言葉で大人たちは立ち直り何事もなかったように苦笑いしたあと何かナナは千夏に話した瞬間、
グ~ウ~ウッとお腹の音がなる。
「むむ、お腹が鳴ったわね、みんなお昼にするわよ」
良いこともすりゃ腹も減る、といわけでナナたちは近くのお店で昼食にすることにした。
「ん、どうしたの? 向日葵ちゃん」
「千夏ちゃん・・・私も、踊りたかったなぁ······」
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