夏にバナナから出てきたヤツは『2ヶ月間すませてください』と言うギャルの精霊バナナ·ガールだった。

ヒムネ

文字の大きさ
34 / 50

龍の舞

しおりを挟む
「――オラーッ、いっくぞーっ」


 お昼も食べて午後も元気にブンブンと木刀を振り回すのは目隠しをしている精霊バナナ·ガールのナナ。


「うりゃーっ!」


 両手で思いっきり振り下ろすがそこはただの砂。


「ありー、残念。結構むずかしいわね西瓜すいか割り」


 目隠しを外して見てみれば左にだいーぶズレていた。そんなわけで、千夏、向日葵ひまわりもチャレンジするが中々割ることが出来ない西瓜。


「はは、下手くそだな~」


 そう言ってナナたちを観ているふりをしてビーチパラソルの下で横になりサングラスの奥からビーチバレーをしている大人な女性たちに鼻の下を伸ばす末信すえのぶ

 顔を動かし色々見ているフリをして上手く周りに気づかれないようにこっそ~り、こっそ~りと、


「・・・のぶっ!」


「デヘヘ」


「すえのぶっ、あぶないっ!」


「ん・・・ホゲっ!」


 なぜか末信に木刀が飛んできた。


「いって~っ、なんなんだよ、どうして木刀が」

「めんごメンゴ、振り回しすぎてスルッと手から離れちゃって」

「気をつけろよなっ」


 誤りながら模返してもらった木刀、そのやりとりを傍観していた2人、


「お兄ちゃんどうしたんだろ」

「疲れてるのかな」


 ナナも彼女たちの視線が末信に行っていると気づき振り向く。


「デヘヘ、いいな~」

「すえのぶ」


「デヘヘー」

「末信っ!」


 ボコンッ、ナナの左拳が頭に落ちる。


「いってーな~、こんどはなんだよ?」

「あんた、何やってんの?」

「お、俺はー・・・だな、こ、こうして大切な夏休みに『平和とは素晴らしい』って思いながら周りを見て」

「あっそ、んであんたも西瓜割り参加しなさいよ」

「はぁあ~っ?」


 せっかく海まで来て綺麗な水着のお姉さんを観ているのに、妹やナナの相手をするなんて冗談じゃない、


「い、いいよ~、お前が一緒に遊んでるんだから~。たまにはオレだってこう、ひとりで平和を感じていたいんだよ」


「へいわ?」


「そうだよ平和、だからやらない」


 何とか断った。これで安心して綺麗な水着お姉さんライブを楽しめる。


「ふう~・・・デヘヘ」



「――ナナお姉ちゃん、お兄ちゃんは?」

「さぁね、平和を感じたいんだとさ」

 せっかく誘ってやったのにとムカつくナナ、仕方ないと頭を切り替えてサーフィンをやったことの無い二人に教えることにする。


 そんなこととはつゆ知らず眺める末信に幸運が、ビーチバレーをしていた綺麗な水着お姉さんたちのボールが転がってきて、それをきっかけに一緒に遊ぶことにした。



 バチャンッ、


「ぷは~っ、うまくいかないな~」


「ほれほれ向日葵ちゃんがんばって練習れんしゅう~」


 両手をパンパンと叩きながら応援するナナ、


「あわわわっ」


 バチャンッと千夏も落ちた。何度も挑戦するがうまくいかず。


「ねえ、ナナお姉ちゃんアドバイスちょうだい」

「わたしも、聞きたいです」


「フッフッフッフッフッ、それはね」


 待ってましたとナナは天を祈るようなポーズに、



「わたしがっ、海に落ちることなんてっ、微塵みっじ~んもないわ~っ、だって海がわたしに、惚れたのだから・・・ってみたいに強く思って乗るの」



 映画のヒロインのような真似をする。


「あの~、どういうことですか?」

「向日葵ちゃん~つまりね、簡単に言うと自身をもつってこと。はじめから出来ないなんて考えちゃダメなのよ」

「うん、やっとわかった!」


 2人はやっと分かっとようで練習を開始する。



 ところがサーフボードを降りて「あっ」と声を出す。



「お兄ちゃんっ、溺れてる!」


「はぁあ?」


 ナナは振り向くとなぜか末信がバチャバチャと溺れている、クラゲにでも刺されたのかと思いつつも、


「ったく、あのスカポンタンッ」


 波が来たのでサーフボードで助けに向かおうとした。
 だがすぐにその必要がなくなるそれは、



 鋭く波に乗るのはギャルも肌負けの全身茶色の・・・マッチョなおっさん。



 なにあの日焼けたおっさんは、だけど、この海をしっている!



 サーフボードと一心同体のような身体の動きにその凄さを一瞬で悟る。



「ガボッガボッ、だれか、たすけ・・・」

「ふんっ」


 軽く溺れる末信を持ち上げ華麗なサーフボードは自然と陸上がると、


「だいじょうぶかな少年」

「あ、はい、ありがとうございます」


 お姫様抱っこで救われた。



「あっ、校長!」


「ん、私を知っているとは、キミはハ大高の生徒かね?」


「はい、2年ホノ組の森田 末信です」


「ハッハッハッハッ、そうか我が学園の」


 パチパチパチッと拍手の中ナナが駆け付ける。


「すえのぶ~」

「おうナナ」


「ハッハッ、キミは子どもを助けたデンジャラスお嬢さんだね」

「はい、ってデンジャラス?」


「ハワイは大好きかな?」


「ハワイ? ふつうに好きだけど・・・」


「ハッハッハッハッそうかっ、ハワイはいいよハワイはハッハッハッハッ」


 末信を降ろし笑いながらハ大高の校長先生は去っていく。


「何者?」

「ああ、オレの高校の校長だよ」

「校長がこんなところでサーフィンしてるなんて」

「学校じゃほぼほぼ見ない人だけど、まさか海であうなんて・・・しかもマッチョ」


 変わったハ大高のマッチョ校長に不思議な眼で後ろ姿をみていた末信とナナだった。


「ところでなんで溺れてたのよ」

「え、あ、それは~・・・」


 まさか女の子と遊ぶのに夢中だったとは死んでも言えない末信はたくさん言い訳をすることに······。



「はぁ~っ」

 ドンドンッと力強い太鼓の音、さらには波の音が加わるとお店から龍が姿を現す。


 ギャ龍·ドラゴンのパレード龍の舞であり紙で創ったであろう龍を4人のギャルで持って太鼓を叩くギャル1人のリズムにのって舞っていく。


「はぁ~」


 ドンドンドンッ、


「はぁ~」


 ドンドンドンッ、


「いがいと本格的だな」


「あたりまえ、やると決めたら全力でやるのがギャルってもんなのよ」

「なんで偉そうに・・・っておいっ」


 腕を組んで自慢げに言うが別にナナがやってるわけじゃないのにと思ったら彼女は突然前に出て観客に、


「え~こちらの龍、なんと火を吹きます~」


『えーそんなバカな』と言う様な声が散々し、龍を動かしてるギャルたちも『無理無理~』と慌てだす。


「それではっ!」


 ナナが龍の方へと顔をやると、どうすんの顔のギャルたちに笑顔で指を上々とサインを送られてもうやけのやんパチだと龍の顔を上に向けると、


 パチンッ☆


 ボフーンッ、なんと天に向かって火を吹いた。


 驚きの歓喜に湧くお客さんや末信たちもちろんギャルたちも同様しているが、なんとかお客さんにバレないように平常心をやり過ごす。


「ナナさん・・・よっしゃーっ!」


 ドンドンドンッ、ボフーッ、


「はぁ~」


 ドンドンドンと豪快な太鼓と火を吹く龍が不思議とお客さんに神秘的な気持ちに満たしていき、それは夕焼けにも負けないほどの橙色の魂の火のように。
 こうして今年のギャ龍·ドラゴンの龍の舞は『火を吹いた』とネットで話題になり多くの人が訪れたのだった······。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...