夏にバナナから出てきたヤツは『2ヶ月間すませてください』と言うギャルの精霊バナナ·ガールだった。

ヒムネ

文字の大きさ
36 / 50

助けたい家族

しおりを挟む
 ヒューンッ、


 はるか上空の雲の中で精霊バナナ·ガールのナナは何処かへとバナナ草を進んでいく。
 珍しくマジ顔なのは森田家族のためで毎日お世話になっているし笑顔をなんとしても取り戻したい。


 雲を抜けた先にはどうやって行くのか分からない精霊の世界が顔を出す。黄色なのかオレンジなのか見方によって変わる町に目的の場所目掛けてバナナ草を飛ばす。


 キキキーンッ、


「とうちゃく~」


「おや、ナナちゃんやないか」


 そこはシンプルな人1人分くらいの小さな木造のお店で窓からお婆ちゃんがヒョロッと顔を出している。


「ひさしぶり~、相変わらずのサンタ帽子ね」

「ひさしぶり、もう変えるのも面倒くさいんよ~、年はとりたくないもんだね~・・・あれ、まだ8月やぞ? こんな時期に帰ってくるなんて」


「帰ってきたわけじゃなくて」

「ほにゃ~・・・あーっ、ま~た変なところに住み着くことになったのね~」



 あるときはアマゾンで部族と狩猟、


 またあるときは猿たちと野生暮らし、


 またまたあるときは人魚たちと・・・思い出す苦労の日々。



「なっはっはっんなことあったね~、でも今回は違うのよ」

「んん、なんか嬉しそうだね~」


「いい家族のところに住ませてもらってさ、その家族が今ちょっとぷちピンチって感じで」


「ほっほっほっ」



「とっても明るくて優しい家族なの、お父さんもお母さんも、男の子も女の子もさ、すんごい良い子・・・だからさ助けたくて、



「そないナナちゃんが嬉しいなんて初めてじゃな~・・・ああ、ええ~よ、持っていきんさい。それで、どんなバナナがほしいんだい?」



「それはね······」



 ――泣きつかれた末信すえのぶママがトイレに行こうと歩くとそこに丁度お腹すいたので冷蔵庫に向かおうとした末信パパも階段から降りてきた。



「あ、お父さん・・・ふんっ」

「お母、さん・・・へんっ」



 二人はプイッとお互い無視してすれ違うと、



「覚悟は出来てるかしら?」

「そっちこ、こっちはいつでも・・・」



「ちょっとお父さんっ」

「母さんもやめろよ」



 ホントは別れたくないくせに2人とも意地になって呆れる末信だが心の奥では少しの不安をいだき始めていた、もちろん千夏も。


 暗い嫌な雰囲気の中に救いのインターホンが、


「はいはーい」

「開けてあけて~」


 ナナの声に2人の子どもたちは安堵した。


 ガチャン、


「チョモロハ~、帰ってきたわよ」

「ナナっ、はぁ~」


 末信のテンションでボソッと、


「調子はどう?」

「全然ダメ、むしろこのままだとなに言い出すか」

「やっぱりね・・・千夏ちゃん、ちょっと」


 千夏も呼び3人は円を組んでヒソヒソ話のヒソヒソ会議をした。



「――そんなわけだから、二人はパパっちのほう頼んだわよ」

「うんわかったよお姉ちゃん!」

「わかったけどよ~、ほんとうにこんなバナナで・・・いでででっ」

「ナマ言うなっ、大丈夫だって言ってるでしょうがっ」


 こんなときにも愚痴グチとと耳を引っ張る。まったくもうと思っていると千夏はナナに、


「ナナお姉ちゃん、あたし・・・」

「フフッ、負けんな」


 不安を吐くと意外な言葉に顔を上げた。


「たしかにこれはあたしの作戦だけど、千夏ちゃんや末信がパパママの雰囲気にのまれたら何にもならない」


 ナナはマジ顔で千夏の頭を擦り、末信の眼を見つめ、


「だから笑顔で2人のパパママ大好きパワーをだして、説得してあげて。そうすればつうじるから」


「ナナお姉ちゃん」


「ナナ・・・そうだな、千夏、ナナの言うとおりだオレたちも父さんの目を覚ましてやろうぜ!」


「うん、あたしがんばるっ、だって別れてほしくないもん!」


「んじゃっ、パパママ仲直りラブリー作戦っ、行動開始だ・ぞっ!」


「いでっ」


 背中を思いっきり叩いた。


「なんで叩くかな~······」



「お~い、ママっちママっち~」

「あ、ナナちゃん」


 顔はゲッソリ骸骨がいこつの末信ママは明らかに精神的に苦しんでいる。でも、


「ねねっ、今日さっ、あたしとデートしようよ」

「え、ナナちゃんとデート? でも今はそんな気分じゃ・・・」

「気分悪いならさっ、なおさら行こっ、今日おもしろいバナナ仕入れたからさ、おねがいっ」


 頭を下げ祈るようにお願いがするナナ、まあどうせ家に居ても気分が良くなるわけでもないしと、


「・・・うん、わかったデートしましょ」

「やった~、ありがとうママっちーっ!」


 着替えを済ました末信ママと2人でデートにと外へ出ていった。



「よしっ、ナナはうまくいったみたいだな。千夏、今度はオレたちの番だ」

「うん、2階にいるお父さんだね」



 そう言ってナナから貰ったバナナを手にする末信と千夏は素早く階段を上りお父さんと出掛けるように説得し外へ出る。


 暑い8月上旬の夏休みにまさかまさかの予想だにしなかった森田家による命運をかけたミッションが開始する······。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...