夏にバナナから出てきたヤツは『2ヶ月間すませてください』と言うギャルの精霊バナナ·ガールだった。

ヒムネ

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お別れの日

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「――だーれだ?」


 両手で目隠しをされた精霊バナナ·ガールのナナ。



「声でバレバレよ、桜子ようこちゃんね」

「ぶっぶー、答えは千夏あたしでしたー」


「なぬー、テクニック使ったな~、こうしちゃうぞ~コチョコチョ・・・」

「ナハハッくすぐったいよ~、お姉ちゃーん」



 服の上から千夏の両脇をくすぐると、



「ナナさんやりすぎ・・・え、ちょっと!」

「ニシシッ、おりゃあー、桜子ちゃんもくすぐりのケーイ」

「や、やめ、やめて・・・ブッブワッハッハッハ」



 桜子も道連れに。それを一歩引いて見ていた末信すえのぶにナナが目線を合わせると、


「デヘヘッ、くすぐられてる桜子ちゃんたまんねー」

「なーに、スケベな顔してんだー」


 パチンッ☆


 しかし、滑った右足だが左足で即座にバランスをとりなんとっ、ついに転ばなかったのだ。


「なにっ!」

「あまいぜナナ、もう・・・見切ったっ!」

「ならこれならどうよ!」


 右手でパチンッと鳴らす。


 ツルッ、しかし末信がまた左足でバランスをとると、



「いまよっ、千夏ちゃん!」


 コカーンッ、掃除機のパイプで末信の地球にヒット。


「のあー・・・な、なんで・・・ちな、つ、が」


「フッ、隠した左手で千夏ちゃんにサインを送ったのよ」



 8月の31日、精霊ナナ最後の日でもみんなで杭の残らないよういろんなことをして遊んでいた。
それも末信の痛みがひいた頃、時間をチェックしていたナナが、「5時50分か・・・」とつぶやく。


「ナナ?」



「よしっ、んじゃもう行くわ」



「えっ、ナナお姉ちゃんっ、なんでっ!」

「まだ12時まで6時間くらいあるのにっ!」



「なに言ってるのよー、あんたたちはでしょ」


 そう、学生である3人はまた明日から生徒となって学業を学んび心技体を研いて成長していくのだ。


 すると突然千夏が、



「ナナお姉ちゃんが行くなら、あたし学校行かないっ!」



 そう言って階段を駆け下りていき、



「ちょ、ちょっと待ちなさい、千夏ちゃ~ん!」



 ナナも追いかけていくとガクンッ、と膝から崩れ落ちた桜子。



「ぐすっ・・・ナナさん、やっぱり・・・」


「桜子ちゃん・・・」



 こんな彼女を見たこともなく、どうしていいか分からないのは末信も同じで何も思いつかずただただ黙するしかなかった······。



「おかあさぁーんっ」

「どうしたの千夏~・・・もしかして」


 エプロン姿のお母さんに泣きながら抱きつく千夏、ドタドタとナナも降りてきて察する。


「ナナちゃん、もう帰っちゃうのね」

「ママっち・・・うん丁度いい時間と思って、さ」

「ナナさん、千夏ちゃんの気持ち、わかります」


 階段を末信と下りてきた桜子。



「桜子ちゃん・・・」


「急にナナさんが、とつぜん時間だから帰るなんて・・・冷たくないですか? みんな悲しいのに・・・別れるのはつらいのに、わかってて軽く『帰る』って、もう少しみんなの気持ちを考えてください」



 桜子の目は潤んでいた。


「・・・そうね、ゴメンね、千夏ちゃんに桜子ちゃん」


 さすがに・・・いや、失礼だったかもしれない。彼女たちのことを軽視していたわけじゃない、ホントは自分も。


「・・・あたし、帰るね」

「ナナさん・・・」


 抱きついていた千夏も涙目でナナの方に向く。



「みんなと出会ってさ、友ダチになって、沢山笑ってばかりのすんゲー楽しい2ヶ月だったし、そんなかけがえのない日を過ごさしてくれて感謝します。でも、おわかれ」


「ナナお姉ちゃん・・・どうしても、帰らないといけないの? ずっといれないの?」


「千夏ちゃん、うん、帰らなくちゃいけないし、それが決まりだから・・・」


「そんな・・・うっうっ、おかあさん」


「千夏・・・」


 お母さんにすがり付いてもどうにもならないことはわかっている、けど、わかりたくはなかった。せっかくできた初めて大好きなお姉ちゃんなのに。

 すると、

 ナナの両の手が千夏の両の肩乗っかり、クルッと向かせると同じ目線になる。



「だいじょうぶ、きっとまた会えるから」



「ぐすっ・・・ホント?」



「ホントよっ、あたしはまた来年かならずこの地球のどこかにいるんだから。そしてここに来た時と同じようにギャルギャルしちゃうんだから」



「・・・クスッ」



「あ、千夏ちゃん笑ったー、どうして~?」



「ナナお姉ちゃんならそうだろうな~って思っちゃった」



 話しているうちに、瞳を見ているうちに、ナナのいない暗い未来ではなく明るい元気なお姉ちゃんの姿が自然と笑顔にしてくれた。


「フフッ、ナナさんならまた私みたいな内気な人と話すんでしょうね」

「・・・たしかに、ナナならそんな気がする」

「どこにいても、あたしはナナよ」


 それは桜子にも末信にも笑顔と安堵をあたえ、ナナにまた会えるかもという希望で心を照らしだす。
 涙ぐんでいた2人の子の不安な心の曇りが次第になくなり晴れていく。



「――ただいまーっ」

 仕事から帰ってきた末信パパの声にハッとする、よりも早く末信ママが反応。 


「パパー待ってて~今いくから~、ねぇナナちゃん」

「ん、なにママっち」

「いいこと思いついたの」


 なんだろうと思っているうちに末信ママは行動して、いつの間にかみんなは末信パパの車で出掛けていったのだった······。
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