夏にバナナから出てきたヤツは『2ヶ月間すませてください』と言うギャルの精霊バナナ·ガールだった。

ヒムネ

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精霊も家族

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「――ナナさん、ネイルのコツ教えて」

「あたしもアタシも~」

「出来るだけ良い爪切り使って、ネイルファイル爪やすりをしっかりとー・・・あと種類もあるから自分にあった・・・」


 車に乗って30分、1時間は立ちそのあいだ精霊バナナ·ガールのナナと隣でお喋りに夢中の3女。そのさらに後ろにはポツンと末信が1人。


「着いたわよー!」


「ここって、山の上じゃん?」


「そーっ、パパがむか~しママどデートしたときに来たのん」


「んにゃ、どうしてここに」


 ごもっともであるナナの質問。


「ナナちゃんはー、精霊だけど~ほうきに乗る魔法使いみたいにで飛んでいくから、山がいいかな~っと思って、えへっ」


 最後のさいごまで相変わらずだなとナナは思いながら桜子ようこが先に降りその後続くように外に出る。


 外は夜とは言えずオレンジ色に染まる空と涼しい風が肌に触れ少しづつ夏の終りを感じた。


 ここが末信パパママのデート場所かと柵に近づくと家々など風景が観えてカップルがいそうな雰囲気。



「・・・・さてと」



 パチンッ☆



 指鳴りで魔法使いみたいなバナナの帽子にバナナのデザインの服、右手にバナナ草。みんなが横一列に並ぶ真ん中のナナは前に出る。



「んじゃ、これでほんとうにお別れね・・・ママっちにパパっちホントッ、お世話になりました」



 しっかりと今まで2ヶ月分の感謝のお辞儀。



「ほんとうに残念、短い間だったけどずっと家にいてもいいのに」



 寂しい顔をする末信ママの肩に末信パパは手を置き慰める。



「ナナちゃんがいる2ヶ月間、本当に楽しかったよ」



 いい夫婦、いや、いいパパとママだったな。



「ナナさんっ!」

「ナナお姉ちゃん」


「桜子ちゃん、千夏ちゃん・・・」



 ガバっと両手で2人を抱きしめる。



「やだ、もう平気だと思ったのに涙が、ぐすっ・・・ナナさん、友だちになってくれてありがとう」



「あたしこそ、内気で純粋のちょっと負けず嫌いな桜子ちゃんに出会えてうれしかった、学校もオシャレがんばって」



「うん」



「ナナお姉ちゃん、あたし・・・」



「しっかりモノでガンバリ屋の千夏ちゃん、あんたはきっとい~い女の子になるよ、いや、なってよねぜったいに、今度会うときまでの約束だかんな」



「お姉ちゃ~ん、うっうっ・・・あたし・・・お姉ちゃんに負けないくらいがんばる」



「へへっ、望むところよ。でも無理はき・ん・も・つだからね」



 いまは切なくても2人にはみえている未来。



 話しを終えるとそっと優しい両の手は離れ千夏と桜子はゆっくりと後ろへと下がった。



 そして最後には、



「末信・・・」



 明らかにずっとテンションは低く、それは今ごろになってナナがいなくなるという寂しさがやってきた末信。



「ナナ」


「おう」



 モジモジしていて何も口に出さない彼にやれやれとナナから話す。



「ったくしまらないわねえ~あんたは、あたしに色々言いたいことあるんじゃないの?」


「それはっ・・・その・・・はぁ~」



 自分に呆れてため息、


 すると腹を割ったのかナナの目をそらさずに見つめて口を動かす。



「ナナが現れてからこっちは沢山振りまわされたぜ。なんでも周りに関わるし、変なゲームとか、祭りとかよ・・・でもよ楽しかった」



「うん、あたしもあんたを見てて楽しかったぜ、青春しててさ」



「な、なんだよそれっ、こっちは真面目なんだぜ」



「ははっ、知ってるよ、末信は素直になれない君なのも、やるときはやるヤツってことも・・・」



精霊界あっちいっても、元気でな」



「もち、あんたも学校はもちろん・・・恋、ガンバれよ。いつまでも相手は待ってくれねえぞ」



「ナッ、ナナに言われなくてもわかってるつーのっ」



「わかってるなら、よしっ」



「ナナ・・・」



「じゃ、あたしはいくわね」



 ナナは迷わずオレンジの方面へと向く。



 足を一歩、



「ナナッ!」



 と、末信がポケットから何かを出してナナの手に、それは御守り。



「おまもり?」



「千夏や桜子ちゃんに怒られて・・・さよならするナナに何も渡さないのはよくねえとおもって、よ」



 やれやれという顔をしながら服に御守りを入れるナナ。



「だ、だめだった、かな?」



「まだまだね、次回はもっといい物をもらうわ」



 ダメじゃない、嬉しいに決まってる。



「ったくよ、ナナ」



「まだなんかあんの?」



「・・・会いたくなったらさ、いつでも帰ってこいよ・・・その、お前は、ナナはもうオレたちの家族だから、さ」



 くっせぇ~セリフ、でもいまは良い。


 自分を見ていてくれる人たち、


 それは家族であり友だち。


 笑顔を忘れず黙ってバナナ草にまたがるナナは少しづつ浮いていく。



「・・・みんなありがとう、良いこといっぱいあったけどあたしの精霊人生で最高の想い出になって・・・最後に、チョモロハってギャル語でって意味なんだけど、ほんとうにチョモロハだったぜ、じゃ~なっ!」



 オレンジ色からいつの間にか赤紫色へと変わっていた空へとあっという間に見えなくなった精霊バナナ·ガールのナナ、けっして雫を落とすことなく森田家と桜子を残し去っていった。


 地上に残された者たちは見守るもの、泣くものとに別れても明日からまた朝日がやってきて日常という日がやってくるのだ······。



「あー、いーいヤツらだったなー・・・ぐすっ・・・まったく、あ、そうだ、へへっこれが最後の魔法よ~!」


 パチンッ☆



 この日、いままでナナに関わったものの元にバナナが、


 これが最後の精霊バナナ·ガールの贈り物······。
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