都市伝説ガ ウマレマシタ

鞠目

文字の大きさ
1 / 25

ある高校の休み時間

しおりを挟む
 桜の花は散り、青々とした葉が茂り始めた春の天気の良い日。
 ある高校の一時間目と二時間目の間の休み時間。皆が皆思い思いに過ごす騒がしい教室の中で、前後の席に並んだ二人の女子高生がスマホ片手に画面を見ながら喋っている。

「ねえ、パトロール男って知ってる?」
「なにそれ? 芸人?」
「違う違う、都市伝説なんだけど昨日バイトの先輩が教えてくれたの」
「都市伝説? へー初めて聞くかも。てか、名前ダサくない?」
「だよね。でさ、なんかね、夜の八時以降に外でスマホを見ながら歩いていたら突然後ろから声をかけられるんだって。『歩きスマホは危ないよ』って」
「なにそれ、優しいけどなんかキモくない?」
「キモい。でも不思議なのが振り向いても誰もいないんだって」
「え、怖っ」
「でしょう。でねでね、無視してスマホを見ていると赤信号の横断歩道とかで後ろから押されるんだって。それでかなりたくさんの人が転んだり車に轢かれたりしてるんだって」
「え、なにそれ事件じゃん」
「そう! なのに犯人はまだ捕まってないみたいなんだよね。同じ塾の子にこの話をしたらその子の高校でも五件ぐらい似た事件が起こってるんだって。でもまだ犯人は分からないみたい」
「それ本当ならかなり怖いね」
「ねー本当」
「あ、次移動教室だった」
「そうだった、行こ行こ」
 生徒たちがばらばらと教室を出て行く。さっきまで話していた二人も後を追うように出ていった。彼女たちが教室を出る最後の生徒だった。最後に教室を出る生徒が電気を消すことになっているのだが二人は忘れていたのか消さずに出ていった。
 誰もいない教室。空気中に小さな埃が舞っているのを蛍光灯がただただ照らしている。

「やはり広がる様子を直で見るのは楽しいものですね」
 突然、誰もいないはずの教室で男の楽しそうな声が響いた。姿は見えないがコツ、コツ、コツ、と無機質な足音が何回かした後でパチンと教室の電気が消えた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしてそこにトリックアートを設置したんですか?

鞠目
ホラー
N県の某ショッピングモールには、エントランスホールやエレベーター付近など、色んなところにトリックアートが設置されている。 先日、そのトリックアートについて設置場所がおかしいものがあると聞いた私は、わかる範囲で調べてみることにした。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2025/12/15:『ちいさなむし』の章を追加。2025/12/22の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/14:『さむいしゃわー』の章を追加。2025/12/21の朝8時頃より公開開始予定。 2025/12/13:『ものおと』の章を追加。2025/12/20の朝8時頃より公開開始予定。 2025/12/12:『つえ』の章を追加。2025/12/19の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/11:『にく』の章を追加。2025/12/18の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/10:『うでどけい』の章を追加。2025/12/17の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/9:『ひかるかお』の章を追加。2025/12/16の朝4時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

視える僕らのシェアハウス

橘しづき
ホラー
 安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。    電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。    ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。 『月乃庭 管理人 竜崎奏多』      不思議なルームシェアが、始まる。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...