蜃気楼の向こう側

貴林

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9 提灯洞

豹変

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真希乃の息遣いが、一層激しくなる。
真希乃は、彩花から離れると着ている物を乱暴に脱ぎ捨てる。
「え?真希乃?」
「はあ、はあ、あやか!」
一瞬、真希乃の瞳の奥に赤い血潮が光るのを見た彩花。
(この瞳って・・あの時の?)
彩花は以前、真希乃が豹変した時のことを思い出していた。不意に激しくキスをされた、あの時。
ペロペロと唇を舐める真希乃に異変を感じる彩花は、肌けた衣服を押さえ立ち上がる。
「ま、真希乃?大丈夫?」
「なにがだよ」
やや下目遣い見下ろす真希乃は、まるで獣。
獲物を狙う蛇が、今にも飛び付かんとしていた。
「俺としたいんだろ?」
「真希乃、落ち着いて」
「落ち着く?俺は落ち着いてるよ。彩花」
「いや、来ないで」
「なんでだよ?あんなに求めてたのに、今はいらないって言うのか?」
「違う、今のあなたは真希乃じゃない」
「おいおい、だったら今の俺は一体誰だって言うだよ。いいから抱かせろ」
言うと、尋常な速さでない動きで彩花の腕を掴む真希乃。
「え?」
衣服を抑えていた手を取られ、胸元が大きく露出する彩花。
「あんなに感じてたじゃねえか、今更拒否すんなよ」
真希乃は、唇を押し付けてくる。
それを避けようと顔を背ける彩花は必死だ。
抵抗しようにも真希乃の力は、これまでに感じたことがないほど強かった。
「こ、こんなのイヤだよ」
「イヤなもんか、俺は楽しくて仕方がないよ」
言うと彩花を押さえ込んだまま、床に倒れ込んだ。
激しく背中を打つ彩花は、咳き込み始める。
それでも、容赦なく唇を押し付けてくる真希乃に、彩花への優しさの微塵もなかった。
彩花の目から涙が溢れ出る。
離れようと暴れる彩花だが、今の真希乃から逃れられない。
真希乃は、彩花の胸元のシャツを掴むと力任せに引き裂いた。
「きゃあ」
彩花は恐怖から声をあげる。
「へへ、いいねえ、それ。もっと、聞かせてくれよ」
「い、イヤだよ。こんなの・・」
剥き出しになったブラを力任せにめくり上げる真希乃は、露出した彩花の乳房にむさぼり付いた。
必死に抵抗する彩花の腕を両手で押さえつける真希乃は、まるで捕食でもするかのように彩花の胸に顔を埋める。
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