魔物を倒すよりお前を押し倒したい

貴林

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第八夜 ラート 

役になり切る

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突然のドラゴンの出現で殺伐とする街道。
慌てふためいていた人々は、ふと我に帰ると何事もなかったかのようにそれぞれの生活に戻り始めた。
見ると、ヤタノが杖を構え、癒しの光を周囲に放っていた。
ミサオがウィンクしながらヤタノに親指を立てる。
「シュンタ?ドラゴン、なんだって?」
「ん?ああ、年寄りだから若いのに任せるからって、あの山に行けってさ」
遠く雲がかかった怪しげな山を指差すシュンタ。
ロカが怯えている。
「シュンタ、あそこはダメだよ」
「なんで?せっかく、ドラゴンが仲間になってくれるって言うのに?」
「あそこのは、ヤバいって」
「そうは言うけどさ」
「絶対にダメ!」
ロカは、キッパリとした口調ながらやたらと怯えている。
「うん、まあ、ロカがそこまで言うなら無理には行かないよ」
ホッと肩の力を抜くロカ。
「わかってくれたなら、いいけど。せめて、無音術、修得してからならね」
「むおん?」
「そお、言葉の通り、音が無い」
ミサオが、割り込む。
「音も無く忍び寄るためのものだよ」
「ふうん、それ使えないものかな」
目を閉じるシュンタ。
皆が見守っている。
「ああ、ダメだ。何も出ないや。わかってると自然に詠唱始めるんだけどな」
「それがないと、たちまち魔物に喰われるよ」
ロカがシュンタに顔を寄せて、ガブリとして見せる。
「ええ?」
驚きながら、一瞬デレっとした顔をするシュンタ。
それを、見逃さないミサオは、シュンタのお尻をつねりあげる。
「あいて!何するんだよ、ミサオ」
「今、シュンタ、ロカさんに食べられたいって、思ったでしょ?」
「え、べ、別に~」
「あら、私はいつでも、食べてあげるわよ」
ソロリとシュンタの珍玉を撫で上げていくロカ。
「あひょっ」
ゾワゾワするシュンタの珍玉を蹴り上げるミサオ。
「シュンタの浮気者!」
珍玉を抑えてゲキチンするシュンタ。
プリプリと、怒って行ってしまうミサオ。
その横を当然の報いね。と見下ろしていくチマウ。
唯一、癒しのヤタノだけは、シュンタに歩み寄っている。
それをチラリと見るミサオは、さらに腹を立てたが、次第に影を落とす。
役柄を演じるとそのキャラになりきってしまう傾向があるらしい。
その影響をモロに受けているヤタノ。
本編では、魔導士に恋焦がれてしまう治癒師の設定になっている。
最後には、姫を想う魔導士を守るために命を落とすのだが。
ミサオは、それが怖かった。
死なないとわかっていても、不安を感じずにいられなかった。
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