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連載
【本編番外編】 二度目の人生 ②ー29歳ー
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それから、写真集を出すにあたって何度も何度も打ち合わせが行われた。
こんな衣装はどうだろうか?
撮影場所は?
時期はいつ頃がいいか?
どんな場面設定でいくのか?
撮影枚数や写真集のページ数は?
などなど、決めるべき事は多いのだが写真集を出すことになった本人よりも周囲のヤル気が凄まじく……圧倒されっぱなしの俺は皆の意見にただただ頷くばかりだった。
場面設定や衣装は商会メンバー以外にもアンケートを取りいくつかの案が提案される。
・正装姿が見たい。
・仕事の様子を撮影して欲しい。
・ジェイド様とリエン様との3ショットを拝みたい。
・女性と絡む甘い表情のシャルル様が見たい。
・寝起きの無防備な姿が見たい。
・脱いで欲しい。
後半の不穏な意見はもちろんジェイドとリエンが即却下していく。様々な意見を聞きながら、あーでもないこうでもないと話し合いを重ねに重ね……ようやく撮影の日を迎えた。
俺の部屋へと運び込まれた大量の衣装は以前試着した時よりも明らかに多く、俺が怪訝な表情を浮かべればジェイドとリエンがすかさずフォローに入ってくる。
「なぜこんなにも衣装が増えているんだ……?」
「あ~シャルル兄様、これはね状況によっては試着した服じゃ雰囲気が合わない場面も想定してだよ」
「シャルル兄さんには最高の状態で撮影をしてもらいたので」
二人の言葉に「そっか……」と、納得しているとダイスさんと一緒に数名が俺の部屋へとやってきて撮影の準備が始まった。
今回の写真集のテーマは『日常』。
アンケートの中でも領主の日常について知りたいという意見がとても多かった。
俺にしてみれば皆と変わりない日常を送っているつもりなのだが……。
「さぁ! シャルル様今日はよろしくお願いしますね! 素敵なシャルル様の日常をバンバン記録していきましょう!」
やけに気合の入ったダイスさんに苦笑いを浮かべていれば、周りにいるダイスさんのスタッフに笑っている暇などないと椅子に座らせられ俺の準備も始められる。
初めてする化粧や高そうな整髪料の香り。
最初は戸惑っていた俺も少しずつ普段の自分とは違う『俺』になっていくのが分かり、ほんの少しテンションが上がった。
だが、今回のテーマは『日常』のはずだが……普段と違ってもいいのだろうか?
鏡に映った俺の姿は普段は下ろしている前髪がハーフアップバングされ、なんだかオデコがスースーして落ち着かない。
「あの……俺、普段はこんな感じの髪型とかはしないんですけど、これじゃあ写真集のテーマに沿わないんじゃあ……」
「シャルル様! それは違うわ!」
スタッフの女性に疑問を投げかけた瞬間、すかさず背後からマリアンヌの声が聞こる。
驚いて後ろを振り向けば興奮したマリアンヌとロザリーの姿が見える。
「あ……えっと…違うってどういう事?」
「いいですかシャルル様。今回の撮影テーマは確かに『日常』です。しかし、それは普段のシャルル様を見たいという思いだけではないのですよ!」
「そうですよシャルル様! 写真集では私達が想像している理想のシャルル様の日常も盛り込まれるのです! その髪型もシャルル様はきっとこんな姿で仕事をしているんだろうな……という乙女の妄想が作りだしたものなのですよ!」
「そ、そうか……」
息継ぎなしで熱弁し始める二人に圧倒され俺は何も言えずにコクコクと頷く。
それから二人は俺を取り囲み、人形遊びでもしているかのようにキャッキャキャッキャと楽しそうに黄色い声をあげていた。
こんな衣装はどうだろうか?
撮影場所は?
時期はいつ頃がいいか?
どんな場面設定でいくのか?
撮影枚数や写真集のページ数は?
などなど、決めるべき事は多いのだが写真集を出すことになった本人よりも周囲のヤル気が凄まじく……圧倒されっぱなしの俺は皆の意見にただただ頷くばかりだった。
場面設定や衣装は商会メンバー以外にもアンケートを取りいくつかの案が提案される。
・正装姿が見たい。
・仕事の様子を撮影して欲しい。
・ジェイド様とリエン様との3ショットを拝みたい。
・女性と絡む甘い表情のシャルル様が見たい。
・寝起きの無防備な姿が見たい。
・脱いで欲しい。
後半の不穏な意見はもちろんジェイドとリエンが即却下していく。様々な意見を聞きながら、あーでもないこうでもないと話し合いを重ねに重ね……ようやく撮影の日を迎えた。
俺の部屋へと運び込まれた大量の衣装は以前試着した時よりも明らかに多く、俺が怪訝な表情を浮かべればジェイドとリエンがすかさずフォローに入ってくる。
「なぜこんなにも衣装が増えているんだ……?」
「あ~シャルル兄様、これはね状況によっては試着した服じゃ雰囲気が合わない場面も想定してだよ」
「シャルル兄さんには最高の状態で撮影をしてもらいたので」
二人の言葉に「そっか……」と、納得しているとダイスさんと一緒に数名が俺の部屋へとやってきて撮影の準備が始まった。
今回の写真集のテーマは『日常』。
アンケートの中でも領主の日常について知りたいという意見がとても多かった。
俺にしてみれば皆と変わりない日常を送っているつもりなのだが……。
「さぁ! シャルル様今日はよろしくお願いしますね! 素敵なシャルル様の日常をバンバン記録していきましょう!」
やけに気合の入ったダイスさんに苦笑いを浮かべていれば、周りにいるダイスさんのスタッフに笑っている暇などないと椅子に座らせられ俺の準備も始められる。
初めてする化粧や高そうな整髪料の香り。
最初は戸惑っていた俺も少しずつ普段の自分とは違う『俺』になっていくのが分かり、ほんの少しテンションが上がった。
だが、今回のテーマは『日常』のはずだが……普段と違ってもいいのだろうか?
鏡に映った俺の姿は普段は下ろしている前髪がハーフアップバングされ、なんだかオデコがスースーして落ち着かない。
「あの……俺、普段はこんな感じの髪型とかはしないんですけど、これじゃあ写真集のテーマに沿わないんじゃあ……」
「シャルル様! それは違うわ!」
スタッフの女性に疑問を投げかけた瞬間、すかさず背後からマリアンヌの声が聞こる。
驚いて後ろを振り向けば興奮したマリアンヌとロザリーの姿が見える。
「あ……えっと…違うってどういう事?」
「いいですかシャルル様。今回の撮影テーマは確かに『日常』です。しかし、それは普段のシャルル様を見たいという思いだけではないのですよ!」
「そうですよシャルル様! 写真集では私達が想像している理想のシャルル様の日常も盛り込まれるのです! その髪型もシャルル様はきっとこんな姿で仕事をしているんだろうな……という乙女の妄想が作りだしたものなのですよ!」
「そ、そうか……」
息継ぎなしで熱弁し始める二人に圧倒され俺は何も言えずにコクコクと頷く。
それから二人は俺を取り囲み、人形遊びでもしているかのようにキャッキャキャッキャと楽しそうに黄色い声をあげていた。
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