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本章
39話:しつこい男は嫌われますよ。
しおりを挟む「やぁカオル」
「はは…ギルバートさんこんにちは」
あれから毎日ギルバートさんは食堂へとやってきては俺をパーティーへと勧誘してくる。
毎回断ってるのに「そうかそうか」と言いながら次の日も同じことを言ってくる。
デブ男1号といいなんでこの世界のイケメンはこんなにしつこいんだよ…
俺は心の中でぶつくさと文句を垂れながら食事を手にいつもの席へと向かっていると、ギルバートさんの豊満なボディーにより道を塞がれる。
「カオルはいつもあんな場所で食事を食べているようだが…あんな醜い者達がいる場所ではなく私の隣にくればいい」
そう言うと俺の肩を持ちギルバートさんの席の方へと連れられて行く。
「あの…俺はあそこがいいんですけど…」
「ふふ。カオルは面白い事を言うね。そんな所も可愛いよ」
ギルバートさんはそう言うと慣れた手つきで俺の頬を優しく撫でてくる。
うぅ……マジで勘弁して下さい…
背中にビッシリ鳥肌を立てながら俺はギルバートさんの席へと連れられていく。
連れられた席にはギルバートさんの仲間なのか似たり寄ったりな人達がニヤニヤしながら俺を出迎えてくれる。
その目線がとてもいやらしく気持ち悪くて…さらに全身に立つ鳥肌。
もう今すぐ立ち去りたいんですけど…
そう思っていると聞き慣れた声が背後から聞こえてくる。
「カオルだめじゃないか。食事は私と食べると約束してただろう?」
「ディランさん…」
「ギルバート。すまないがカオルとの食事は諦めてくれ」
ディランさんの声はとても威圧的で背中越しにも凄く怒っているのが伝わってくる。
「これはこれは…アトラースのギルドマスター様じゃないですか。そんな顔をしているとカオルがさらに怖がりますよ」
「お気遣いどうも。さぁカオル行こう」
ディランさんに促され俺は「すみません…」と一言謝りその場を後にする。
ギルバートさんは「気にしなくていいよ」と笑顔を向けてくれるが目は笑ってないし口は引きつってるし…めっちゃ怖かった。
「カオル…無理矢理アイツらと引き剥がしてすまなかった」
「いいんです。俺もあの場から離れたくてたまらなかったんで…ディランさんありがとうございます」
「気にしないでくれ。さぁ食事が冷める前に食べてしまおう」
そうして俺とディランさんはいつものように、たわいのない話をしながら食事を一緒に食べたのだった。
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