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本章

96話:酒は飲んでも飲まれるな! ①

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「じゃあ~エルをよろしくお願いしまぁ~す」
「おぅ!カオル早く寝ろよ!」
「へへぇ~。は~い!」

俺は顔を赤く染めアハハ~とフィウスさん達に手を振り見送る。


今日はフィウスさん達とエルの4人で久しぶりに食事をした。
その時、セシリオさんが飲んでたお酒を少しいただいたんだけど…今になってお酒が回ってきている。

この世界では16歳以上からお酒が飲めるらしく、好奇心旺盛なカオルくん(17歳)はセシリオさんが飲んでいたお酒に興味を持つ。
セシリオさんが飲んでいたお酒は度数が高くてやめておけと言われたが…余裕余裕っ!と見栄を張ってグイッと飲んでしまう。

飲んだ瞬間に喉も胃も焼けるように熱くなり後悔の嵐…
そして暫くすると酔っ払ってボーっとしだした俺を見て、フィウスさんが気を利かしてくれて俺だけ先に帰る事になった。

エルも一緒に帰ると言っていたが、せっかくなので3人で楽しんでおいでと送り出す。

宿の前まで送ってもらい千鳥足で宿の玄関へと辿り着くと玄関前に人が立っていた。
見たことのない金髪の仮面をつけた青年…誰か待ってるのか?

俺がその人の前を通り過ぎようとすると手をガシっと掴まれる。

「あ、あの…カオルくん…」
「へぁ?だれですかぁ?」

酒が回ってる俺は目の前にいる金髪の青年の事を思い出そうとするが…サッパリ分からなかった。
会ったことないのにぃ~俺に用事があるってことはぁ……

「僕は…そのぉ……」
「んんん~?あ。お客さん?そっかそっか!お客さんかぁ!俺のことまっててくれたんですね~」
「あ?え?…カオルくん酔っ払ってるの?ちょっと待っ……」

青年が何か言っているが気にせずに宿の方へと引っ張っていく。

「カオルくん…その連れてる人は?」
「どるんさん~!この人はお客さんでぇーす!」

受付前を通るとドルンさんは心配そうな顔で声をかけてくれるが俺は気にせず青年を引きずるように連れていく。
部屋に入りふらつきながら歩いていると青年が手を貸してくれてベッドサイドに座らせてくれる。

「カオルくん…あのね…」
「はーい。俺はカオルでーす!ところでおにいさんの名前は?」
「ぼ、僕の名前は…シーナです」
「シーナさんかぁ~。シーナさんは顔も綺麗だけど名前も綺麗なんですねぇ~」

ヘラヘラと笑う俺を見てシーナさんは綺麗な顔を恥ずかしそうに赤く染める。

そう!
シーナさんは綺麗な中性的な顔立ちなのだ!
仮面付けてるせいかなんだか影のある美人さんって感じで…エロい。

「ねぇねぇシーナさん…。仮面外していい?」
「えっ!?カオルくん!?ちょっと待って…僕は話があって……」
「ふふふ~。話は後で聞きますよぉ~」

俺がジリジリとシーナさんの方へと近づいて行くと、シーナさんも後ろへ後ずさる。
しかし、すぐに壁際へと追いやられ俺が仮面へと手をかけるとシーナさんは観念したのか抵抗せずに目をギュッと瞑る。

…なんだか俺が襲ってるみたい。
いや。襲ってるな。

仮面をゆっくり外すとシーナさんはおずおずと目を開けてくれる。

エメラルド色した瞳は長い睫毛にふちどられキラキラと煌き、小さくて可愛いらしい唇はふっくらしてて、肌もきめ細やかで……

思ってたよりも数倍綺麗!可愛い!

「うわぁ…シーナさんやっぱり美人さんだぁ~~!めっちゃ綺麗!」
「へっ?」

シーナさんは俺のリアクションに驚き目をパチクリさせていた。

そかそか。シーナさんもこの世界じゃ不細工だとか言われてるからなぁ~
ほんとこの世界はイケメン率高いのにもったいねぇ~

「カオルくん…凄く酔っ払ってるんだね…。とりあえずお水でも飲む?」

酔っ払った俺を心配してかシーナさんは俺の世話を焼いてくれる。
美人で優しいとか…シーナさん最高!

シーナさんが持ってきてくれた水を受け取り一気に飲み干すとグラグラしていた視界が少しマシになる。

「シーナさんありあと~」

回らない口で感謝を述べ笑顔でシーナさんにお礼を言えばシーナさんはまた顔を赤くして下を向く。

その仕草がまた可愛いんですけど…。
よし!お水を飲んだら気持ち悪いのも良くなったし、酔いもいい感じに回っていて俺のテンションも最高潮!
今日はどんなプレイでもいけそうな気がする!

俺はヨイショヨイショと上の服を脱いでいくとシーナさんに止められる。


「カ、カオルくん!?何で脱いでいるの!?」
「へ?シーナさんエッチしないの?」
「えぇぇぇ!?!?ぼ、僕は……カオルくんに…話が…」

顔を真っ赤に染めて潤んだ瞳でこっちを見てくるシーナさんは凄く可愛くて俺は胸キュン。

「シーナさんのお話聞いたらエッチしてくれますか?」
「えっと……。多分…僕の話を聞いたら…カオルくんは…幻滅するよ…」
「大丈夫大丈夫!カオルお話聞きまーーす!」


俺はそう言うとシーナさんが話しやすいように近くへと寄っていった。
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