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本章

60話:日常

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朝、目が覚めると隣にはディランさんの寝顔。
この光景も今日で見納めだ。

洗脳されてからの日々の記憶は色々とやらかしていて恥ずかしいモノが多かったけれど『洗脳カオル』は毎日幸せそうに過ごしていた。

それもこれもディランさんやバルドさんのおかげだ。今度ちゃんとお礼しなきゃいけないな。

今日から前と同じ生活を過ごすと思うと少しだけ寂しく感じてしまう。
それだけ長い間俺とディランさんは一緒に過ごしたんだと実感する。

…最後にディランさん堪能しておこう。

そう思い俺はディランさんに抱きついて再び目を閉じた。



それから…次に目が覚めた時にはディランさんは起きていて俺の頭を撫でていた。

「おはようカオル。起こしてしまったな…」
「ディランさんおはようございます」

朝の挨拶が終わり目が合ったので…そのまま朝の挨拶のキスをする。
軽くキスするだけ…と思っていたけど、気が付いたら長いことキスしてしまっていた。

「じゃあ…帰る準備しようか」
「…はい」

ディランさんに促されて俺は家に帰る準備をしていく。
服に下着に…食事と仕事について行く以外部屋にばかり籠もっていたので荷物は思ったよりも少なく準備はすぐに終わってしまう。

外に出ようと玄関まで行くとディランさんに後ろからギュッと抱きしめられる。

「ディランさん?」
「すまない…少しだけこうさせてくれ…」

ディランさんから抱きしめられて嬉しい…けど俺だって抱きしめたい。

「ディランさん…俺もギュッてしたい」

そう言ってディランさんの方を振り向き俺もディランさんの背中へと腕を回す。

「沢山迷惑かけてごめんなさい…。俺凄くディランさんに感謝してます。いつかお礼させてくださいね」
「いいんだよ…私が好きでやったことだから。それよりも私こそカオルを騙すような事をしてすまなかった…。これからも…私と会ってくれるだろうか?」
「もちろんですよ!俺もディランさんに毎日会いたいです!」

そう言ってディランさんの顔を見ると寂しそうな顔をしていたのでチュッと背伸びしてキスをする。

「ディランさんのお家に……また遊びに来ていいですか?」
「あぁ…もちろん。いつでも大歓迎だよ」

そう言ってもらえると嬉しくてへへっと笑えばディランさんも笑顔を見せてくれる。
それから俺達は家を出て宿へと向かった。


宿へと到着し俺は荷物を置きに行きディランさんとは一旦別れて食堂で待ち合わせをする。

宿に入ると受付にいたドルンさんが駆け寄って来てくれた。

「カオルくん!!よかった…。お帰りなさい」
「ドルンさんただいま。心配かけてごめんなさい」

俺がペコと頭を下げると

「そんな!頭なんて下げないで!無事で帰ってきてくれて嬉しいよ」

と、笑顔を向けてくれた。
ドルンさんマジでいい人だ……

「そういえば、アルクさんが何度か来てたよ。今は訳あっていないって説明したら凄く心配してたから…早めに会ってあげてね」
「アルクさん…。わかりました!教えてくれてありがとうございます!」

アルクさんにも心配かけてしまっちゃったな…。
そう思いながら部屋に荷物を置いて俺は食堂へと向かう。

食堂に行くとリオが入り口で待ち構えていた。
リオを見つけるとなんだか嬉しくなって駆け寄っていく。

「リオっ!!」
「カオル!あぁ…やっと元のカオルに戻ったんだな…。よかった…」

リオは心配したぞと俺をぎゅうっと抱きしめてくれる。

「凄く心配かけちゃったね…」
「いいんだよ。カオルが無事なら」

リオはそう言って俺にいつもの笑顔を見せてくれた。


それからディランさんとリオと食事を一緒に食べる。バルドさんは遠くの町の依頼を受けていてしばらく帰ってこれないそうだ…
バルドさんにもお礼を言いたかったが残念だ。

食事が終わり俺はディランさんとリオと別れて久しぶりに宿の部屋で過ごした。
アルクさんにも忘れないうちに宿へと戻ってきた事を連絡するとその晩会いに来てくれた。


「カオルくん!!どこに行ってたんだい!凄く凄くすごーく心配したんだよ!」

アルクさんは俺に会うなり熱い抱擁とキスをしてくれた。

「えぇっと…実はお客さんのところに出張してて…」


事件の事はギルバートさんが正式に逮捕されるまでは言えないので、ディランさんの所に出張していたと嘘をつく事にした。
アルクさんごめんなさい。

「ぼ、僕以外のお客さん……!?カオルくんそのお客さんのとこにずっといたの?何それ……僕もカオルくんと一緒に過ごしたい…ねぇカオルくん…」

アルクさんは目をギラギラさせて出張してくれとおねだりされる。
本当はそんなサービスしてないが……
アルクさんの圧に負けて「じゃあいつか…」と約束してしまう。

それに喜んだアルクさんはそのまま俺をベッドへと運んでいく。

「久しぶりに…カオルくんを味合わせて…」

そう言って俺の服を脱がせるとアルクさんが固まってしまった。

「ねぇ…カオルくん…。これは……?」
「え…?あっ。」

俺の体中に散りばめられたディランさんの印にアルクさんはメラメラと競争心を燃やし…
ディランさんのキスマークはアルクさんにより上書きされ、その夜はアルクさんに抱き潰された。

朝になり離れたくないと言うアルクさんを説得しながら仕事へと送り出し俺は食堂へと向かう。

「カオルおはよ!」
「リオおはよう」

リオが明るく迎えてくれて朝食を持って奥の席へと向かう。

「ディランさんおはようございます」
「カオルおはよう」

いつもの席でディランさんに挨拶をして朝食をとる。

ガヤガヤと前と変わらず賑わいのある食堂。
時折リオが俺のところにやってきてたわいのない会話をする…
ディランさんの方へと目線を向ければ「どうした?」と微笑んでくれて…

あぁ…前と変わらない日常に戻ったんだ…


俺はそんな事を思いながら、またいつもと変わらない日々を過ごしていった。


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