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24話:つぼみ
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『好き』『大好き』
アランの口から降り注ぐ愛の言葉たちが、全て自分に向けられていると分かると心臓がバクバクと鼓動を早くした。
そして、なんで僕なんかにそんな大切な言葉をくれるのか分からず困惑してしまう。
「な、な、……なんで?」
思わずそう問いかけると、アランは目を細めて優しく微笑む。
「そうだなぁ……初めてケイを見た時から、可愛いなって思ってたんだ。可愛くて、花が咲いたような笑顔が好き。いつも、オレのことを思ってくれる優しいところが好き。辛い時に、すぐに助けてくれるところも好き。あとは、ケイの小さな手も好きだし、元気をくれる明るい声も好き。つまり、全部大好き」
アランはそう言って、嬉しそうに僕を抱き寄せる。
褒めちぎられて大好きだって言われた僕は、頬がカァァと熱くなるのを感じた。
ーー本当に、僕を好きなんだ……
きゅっと胸が締め付けられて『嬉しい』って感情が込み上げる。
ずっと心の奥に隠していた、アランを想う気持ちが顔をのぞかせて『僕もアランが好きだよ』と囁いてきた。
そんなこと僕が言っていいんだろうかと戸惑い、アランを見上げる。
優しげな灰色の瞳からも僕のことが好きだと伝わってきて、気持ちが溢れてポソリと言葉がこぼれ落ちる。
「僕も……好き……」
「え?」
アランが目を丸くして僕を見つめる。
恥ずかしくて俯くと、両頬をアランの大きな手が包み込んでまたアランと目が合った。
『もう一度ケイの気持ちを教えて?』と、アランの瞳が問いかけてくる。
「僕も……アランが好き」
僕の言葉をハッキリと聞いた瞬間、アランの唇が僕の言葉を飲み込むようにキスをしてくる。
唇を開かされて、ぬるりとアランの熱い舌が入ってくる。
キスからも僕を想う気持ちが伝わってきて、嬉しくて微笑むと灰色の瞳が弧を描く。
『好き、好き、アランが好き』
表に出さないように隠していた感情が込み上げてきて心の中で何度も呟き、ぎゅっとアランのシャツを握りしめる。
すると、アランからとてもいい香りがした。
時折感じる、爽やかでちょっぴり甘い香り。
唇が離れると、ぎゅっと抱き寄せられて香りを強く感じる。
胸いっぱいにアランの香りが僕を満たすと、なんだかポワポワと頭が揺れる。
「———っ! ケイ?」
「ん?」
ポーっとなった頭のままアランを見上げると、アランが目を丸くして僕を見つめていた。
「ケイの匂い……変わった!」
「へっ? ひゃっ! ア、アラン!?」
アランは突然変なことを言い出して、僕の首筋にぐっと顔を埋めてくる。
くすぐったい感触に、思わず体がピクンとはねる。
アランは確かめるようにうなじを撫でて、問いかけてくる。
「ケイ、何か変わったことある?」
「か、変わったって、何が?」
「そうだな……体に何か変化が起きてないって聞いた方がいいかな」
「体の変化……」
首を傾げ変化したことを考えてみるがいまいち思いつかない。
なので、今自分が感じていることをぶつぶつと呟いていく。
「えっとねぇ、アランが好きだって言ってくれて嬉しくて胸がいっぱいで、アランがキスしてくれて心臓がドキドキしてて、頭の中はアランのことばかりで、それから……」
指を折りながら一つ一つ確認していくと、アランの顔がみるみる照れた表情に変わる。
僕はうーんと考えながら、思いつく限り答えていく。
そして、最後にアランに抱きしめられた時に感じた匂いについて伝える。
「あとは、アランの香りを嗅ぐと頭がポーッとしちゃった」
「匂い? オレの匂いはどんな香りなの?」
「アランの香りは爽やかなすっごくいい香りだよ。アランに近づくと甘い香りも混じって、さらに素敵な香りになるんだ。ずっと、嗅いでいたいくらいにね」
ずっと嗅いでいたいなんて変なことを言っちゃった僕に向けられたアランの視線はとても優しかった。
匂いのことを褒められるとアランは喜ぶのかな?と、思っているとアランがまた抱きしめ胸元に顔がうずまる。
「ケイ、今もオレの香りを感じる?」
「え、うん。すっごくいい香りだよ」
「じゃあ……これは?」
アランがそう言うと、ぶわりと甘い香りが強くなった。
思いっきり甘い香りを吸い込むと、くらっと目の前が揺れた。
意識がぼーっとして、体がだんだんと熱くなってくる。
体が一番熱く感じたのは、なぜかおへその下あたりだ。ズクンズクンと、心臓のリズムに合わせて下腹部が疼き不思議な感じがする。
「アラン、すっごく甘くて……僕なんか変だ……。お腹、ズクズクする……」
ぽやっとした頭で下腹を両手で押さえながらアランに伝えると、僕の手にアランの手が重なる。
そして、耳元でアランが囁く。
「やっぱりケイの体は変化してるのかも」
「どこが変化したの?」
「どこがというより……ケイはオメガに変わったのかもしれない」
「…………へ?」
間抜けな顔をしてアランを見上げると、彼はとても嬉しそうに微笑みを向けた。
アランの口から降り注ぐ愛の言葉たちが、全て自分に向けられていると分かると心臓がバクバクと鼓動を早くした。
そして、なんで僕なんかにそんな大切な言葉をくれるのか分からず困惑してしまう。
「な、な、……なんで?」
思わずそう問いかけると、アランは目を細めて優しく微笑む。
「そうだなぁ……初めてケイを見た時から、可愛いなって思ってたんだ。可愛くて、花が咲いたような笑顔が好き。いつも、オレのことを思ってくれる優しいところが好き。辛い時に、すぐに助けてくれるところも好き。あとは、ケイの小さな手も好きだし、元気をくれる明るい声も好き。つまり、全部大好き」
アランはそう言って、嬉しそうに僕を抱き寄せる。
褒めちぎられて大好きだって言われた僕は、頬がカァァと熱くなるのを感じた。
ーー本当に、僕を好きなんだ……
きゅっと胸が締め付けられて『嬉しい』って感情が込み上げる。
ずっと心の奥に隠していた、アランを想う気持ちが顔をのぞかせて『僕もアランが好きだよ』と囁いてきた。
そんなこと僕が言っていいんだろうかと戸惑い、アランを見上げる。
優しげな灰色の瞳からも僕のことが好きだと伝わってきて、気持ちが溢れてポソリと言葉がこぼれ落ちる。
「僕も……好き……」
「え?」
アランが目を丸くして僕を見つめる。
恥ずかしくて俯くと、両頬をアランの大きな手が包み込んでまたアランと目が合った。
『もう一度ケイの気持ちを教えて?』と、アランの瞳が問いかけてくる。
「僕も……アランが好き」
僕の言葉をハッキリと聞いた瞬間、アランの唇が僕の言葉を飲み込むようにキスをしてくる。
唇を開かされて、ぬるりとアランの熱い舌が入ってくる。
キスからも僕を想う気持ちが伝わってきて、嬉しくて微笑むと灰色の瞳が弧を描く。
『好き、好き、アランが好き』
表に出さないように隠していた感情が込み上げてきて心の中で何度も呟き、ぎゅっとアランのシャツを握りしめる。
すると、アランからとてもいい香りがした。
時折感じる、爽やかでちょっぴり甘い香り。
唇が離れると、ぎゅっと抱き寄せられて香りを強く感じる。
胸いっぱいにアランの香りが僕を満たすと、なんだかポワポワと頭が揺れる。
「———っ! ケイ?」
「ん?」
ポーっとなった頭のままアランを見上げると、アランが目を丸くして僕を見つめていた。
「ケイの匂い……変わった!」
「へっ? ひゃっ! ア、アラン!?」
アランは突然変なことを言い出して、僕の首筋にぐっと顔を埋めてくる。
くすぐったい感触に、思わず体がピクンとはねる。
アランは確かめるようにうなじを撫でて、問いかけてくる。
「ケイ、何か変わったことある?」
「か、変わったって、何が?」
「そうだな……体に何か変化が起きてないって聞いた方がいいかな」
「体の変化……」
首を傾げ変化したことを考えてみるがいまいち思いつかない。
なので、今自分が感じていることをぶつぶつと呟いていく。
「えっとねぇ、アランが好きだって言ってくれて嬉しくて胸がいっぱいで、アランがキスしてくれて心臓がドキドキしてて、頭の中はアランのことばかりで、それから……」
指を折りながら一つ一つ確認していくと、アランの顔がみるみる照れた表情に変わる。
僕はうーんと考えながら、思いつく限り答えていく。
そして、最後にアランに抱きしめられた時に感じた匂いについて伝える。
「あとは、アランの香りを嗅ぐと頭がポーッとしちゃった」
「匂い? オレの匂いはどんな香りなの?」
「アランの香りは爽やかなすっごくいい香りだよ。アランに近づくと甘い香りも混じって、さらに素敵な香りになるんだ。ずっと、嗅いでいたいくらいにね」
ずっと嗅いでいたいなんて変なことを言っちゃった僕に向けられたアランの視線はとても優しかった。
匂いのことを褒められるとアランは喜ぶのかな?と、思っているとアランがまた抱きしめ胸元に顔がうずまる。
「ケイ、今もオレの香りを感じる?」
「え、うん。すっごくいい香りだよ」
「じゃあ……これは?」
アランがそう言うと、ぶわりと甘い香りが強くなった。
思いっきり甘い香りを吸い込むと、くらっと目の前が揺れた。
意識がぼーっとして、体がだんだんと熱くなってくる。
体が一番熱く感じたのは、なぜかおへその下あたりだ。ズクンズクンと、心臓のリズムに合わせて下腹部が疼き不思議な感じがする。
「アラン、すっごく甘くて……僕なんか変だ……。お腹、ズクズクする……」
ぽやっとした頭で下腹を両手で押さえながらアランに伝えると、僕の手にアランの手が重なる。
そして、耳元でアランが囁く。
「やっぱりケイの体は変化してるのかも」
「どこが変化したの?」
「どこがというより……ケイはオメガに変わったのかもしれない」
「…………へ?」
間抜けな顔をしてアランを見上げると、彼はとても嬉しそうに微笑みを向けた。
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