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1章
保存食を作ろう
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朝から曇り空で、肌寒さが増し始めている。
空気も乾燥しているのか、少し肌がカサカサしている感じがする。
元気なのはデンちゃんで、裏庭を走り回っている。
あれからまた少しデンちゃんは大きくなった。
豆柴から柴犬サイズへ、小屋の裏に仕掛けたワインパンで酔っている鳥を捕まえては持ってきてくれるようになって、私の狩りの手間は少し緩和された。
「デンちゃーん! そろそろ行くよー!」
デンちゃんが生きたまま咥えて来てくれるのも有り難くて、蔓で作った網籠に生きたまま入れて、川まで持ち運ぶ。
最近は川に大きな鍋を一個置いてリヤカーでは行かなくなった。
カンテラと蔓のロープとナイフ。
このぐらいしか持って行かない。
慣れたのもあって、解体作業も大分手際よくなってきた。
こんな生活に慣れてしまった中学生って何なんだろう……
ここに来てから三ヶ月と二十五日。
多分、十月に入ったと思う。あと五日で私は十四歳になる。
私、七月五日にこっちに来て、三十日区切りで数えてたから、三十一日とかがあったら多少は前後するだろうけど、誕生日まであと少し。
「三ヶ月……というか、四ヶ月近くもよく生きてこれたなぁ……」
自分の生命力と精神力に拍手したい。
この四ヶ月近くの間に、冬支度で食糧確保や生活していくうえで必要な物を作ったりするのに、毎日一つずつこなしていって、気付けばあっという間……ビックリだよね。
あと少しで川にくるのも大変になるだろうから、そろそろ鍋を回収しておかなきゃいけないかも?
この世界の秋って冬並みに寒く感じる。
これで冬が来たら本当に凍死しちゃうかも? 川の水も冷たくて、魚が動きが鈍くなってるから捕まえやすくて、最近の食事は魚の塩焼きを解体作業の合間に食べてる。
塩が結構溜まりまして、ふんだんに魚に掛けれるのも良い。
多分だけど、外敵が少なかったから警戒心がそんなに無い動物や魚が多くて、私みたいな素人でも簡単に捕まえられるんだと思う。
まぁ、最近は私は自分が外敵認定されるのも時間の問題かなー? とは思ってる。
「デンちゃん、ご飯だよー」
「ヘッヘッヘッ」
小さな鳥は保存食には向かないから、首を落としてお湯で煮て、羽をむしったら火の棒で切り取った所から刺してグルんと回して内臓を取って、火で炙って骨を抜き、デンちゃんのご飯の完成である!
ゲッちゃんは寒くなってからは小屋の中でウトウト寝ていて、私と外に行ってくれるのはもっぱらデンちゃんだけとなった。
まぁ、こうして外で食事も出来ているし、作業も出来ているから良いんだけどね。
でも寒いから早めに小屋に帰りたい。寒くてお尻が冷たくなる。
女子に寒さは大敵である!!
保存食のお肉もかなりの量になってきたし、毎日こうやって外で食べたりしているから、保存食に手を付けることなく済んでいて、わずかに備蓄も増えているしで、少し冬越えの自信が出来てきた。
ただ、四ヶ月近くは冬だと考えると、食料は少しずつ考えて食べないといけない。
一応、川魚の大物も獲れた時は日干しにして保存食にしている。
作り方は、魚のお腹を切って、中身を取り出して、水気をよく切ったら、塩水に漬け込んで、あとは外で尻尾部分に紐を付けて乾燥させるだけと、至ってシンプル。
ただ……風が強いと尻尾を残して飛んで行っちゃうんだけどね……
何回かそれをやって、涙目になったのは言うまでもない。
備蓄庫に作った魚の干物を吊るして着々と増やしている。
日々の食事と保存食に頭を悩ませる……そんな毎日だけど、ここに来たばかりの頃よりかは、生活は安定しているし、最近お肉を食べれるようになったのもあって、飢える事も少なくなったかな?
欲を言えば、もう少し美味しい物を食べたいけど。
卵と牛乳が手に入れば美味しいパンケーキが食べられるのになぁ……
美味しいパンケーキは女の子を作る素材の一つだと思うんだよね!
美味しいジャムはあるのに、パンケーキが水で焼いただけの小麦粉なのが辛すぎるッ!
でも牛みたいな大きな動物は見たことが無い。
鳥は外敵居ないんだから木の下で卵を産んで―! と、思わずにはいられない。
まぁ、私が外敵ではあるんだけど……
「ハフ―……寒いから、今日はお家に帰ろうかー」
「アンッ!」
小屋に帰って今日作った分の鶏肉をジャーキーにするのだ!
作り方は、鶏肉を棒で叩いて薄くして、スライスする。
ハーブソルトと塩をかけて揉みほぐして、ワインと一緒に浸して揉みほぐし、一時間くらい? 正確な時間は私も時計が無いから解らないけど、その後は網籠の中に並べて外で天日干し、乾いたらフライパンで軽く炙ると、簡単な鶏肉ジャーキーになる。
料理本で長期保存や旅の非常食にこれが載っていて、ガラス瓶ももう無いし、非常に助かる長期保存食作りになっている。
まぁ、パルシーム鳥用の木の実を探すのが大変になって来て、魚を釣って塩を大量に交換してもらう作業が大変だったけどね。
一応、塩もなにも振らずに、薄切りにして天日干ししてフライパンで炙った、味付けなしジャーキーも作ったから、デンちゃん用もバッチリ増やしていっているよ!
ワンコに味付けのあるものは大敵だからね! うん。気を付けてあげなきゃ。
空気も乾燥しているのか、少し肌がカサカサしている感じがする。
元気なのはデンちゃんで、裏庭を走り回っている。
あれからまた少しデンちゃんは大きくなった。
豆柴から柴犬サイズへ、小屋の裏に仕掛けたワインパンで酔っている鳥を捕まえては持ってきてくれるようになって、私の狩りの手間は少し緩和された。
「デンちゃーん! そろそろ行くよー!」
デンちゃんが生きたまま咥えて来てくれるのも有り難くて、蔓で作った網籠に生きたまま入れて、川まで持ち運ぶ。
最近は川に大きな鍋を一個置いてリヤカーでは行かなくなった。
カンテラと蔓のロープとナイフ。
このぐらいしか持って行かない。
慣れたのもあって、解体作業も大分手際よくなってきた。
こんな生活に慣れてしまった中学生って何なんだろう……
ここに来てから三ヶ月と二十五日。
多分、十月に入ったと思う。あと五日で私は十四歳になる。
私、七月五日にこっちに来て、三十日区切りで数えてたから、三十一日とかがあったら多少は前後するだろうけど、誕生日まであと少し。
「三ヶ月……というか、四ヶ月近くもよく生きてこれたなぁ……」
自分の生命力と精神力に拍手したい。
この四ヶ月近くの間に、冬支度で食糧確保や生活していくうえで必要な物を作ったりするのに、毎日一つずつこなしていって、気付けばあっという間……ビックリだよね。
あと少しで川にくるのも大変になるだろうから、そろそろ鍋を回収しておかなきゃいけないかも?
この世界の秋って冬並みに寒く感じる。
これで冬が来たら本当に凍死しちゃうかも? 川の水も冷たくて、魚が動きが鈍くなってるから捕まえやすくて、最近の食事は魚の塩焼きを解体作業の合間に食べてる。
塩が結構溜まりまして、ふんだんに魚に掛けれるのも良い。
多分だけど、外敵が少なかったから警戒心がそんなに無い動物や魚が多くて、私みたいな素人でも簡単に捕まえられるんだと思う。
まぁ、最近は私は自分が外敵認定されるのも時間の問題かなー? とは思ってる。
「デンちゃん、ご飯だよー」
「ヘッヘッヘッ」
小さな鳥は保存食には向かないから、首を落としてお湯で煮て、羽をむしったら火の棒で切り取った所から刺してグルんと回して内臓を取って、火で炙って骨を抜き、デンちゃんのご飯の完成である!
ゲッちゃんは寒くなってからは小屋の中でウトウト寝ていて、私と外に行ってくれるのはもっぱらデンちゃんだけとなった。
まぁ、こうして外で食事も出来ているし、作業も出来ているから良いんだけどね。
でも寒いから早めに小屋に帰りたい。寒くてお尻が冷たくなる。
女子に寒さは大敵である!!
保存食のお肉もかなりの量になってきたし、毎日こうやって外で食べたりしているから、保存食に手を付けることなく済んでいて、わずかに備蓄も増えているしで、少し冬越えの自信が出来てきた。
ただ、四ヶ月近くは冬だと考えると、食料は少しずつ考えて食べないといけない。
一応、川魚の大物も獲れた時は日干しにして保存食にしている。
作り方は、魚のお腹を切って、中身を取り出して、水気をよく切ったら、塩水に漬け込んで、あとは外で尻尾部分に紐を付けて乾燥させるだけと、至ってシンプル。
ただ……風が強いと尻尾を残して飛んで行っちゃうんだけどね……
何回かそれをやって、涙目になったのは言うまでもない。
備蓄庫に作った魚の干物を吊るして着々と増やしている。
日々の食事と保存食に頭を悩ませる……そんな毎日だけど、ここに来たばかりの頃よりかは、生活は安定しているし、最近お肉を食べれるようになったのもあって、飢える事も少なくなったかな?
欲を言えば、もう少し美味しい物を食べたいけど。
卵と牛乳が手に入れば美味しいパンケーキが食べられるのになぁ……
美味しいパンケーキは女の子を作る素材の一つだと思うんだよね!
美味しいジャムはあるのに、パンケーキが水で焼いただけの小麦粉なのが辛すぎるッ!
でも牛みたいな大きな動物は見たことが無い。
鳥は外敵居ないんだから木の下で卵を産んで―! と、思わずにはいられない。
まぁ、私が外敵ではあるんだけど……
「ハフ―……寒いから、今日はお家に帰ろうかー」
「アンッ!」
小屋に帰って今日作った分の鶏肉をジャーキーにするのだ!
作り方は、鶏肉を棒で叩いて薄くして、スライスする。
ハーブソルトと塩をかけて揉みほぐして、ワインと一緒に浸して揉みほぐし、一時間くらい? 正確な時間は私も時計が無いから解らないけど、その後は網籠の中に並べて外で天日干し、乾いたらフライパンで軽く炙ると、簡単な鶏肉ジャーキーになる。
料理本で長期保存や旅の非常食にこれが載っていて、ガラス瓶ももう無いし、非常に助かる長期保存食作りになっている。
まぁ、パルシーム鳥用の木の実を探すのが大変になって来て、魚を釣って塩を大量に交換してもらう作業が大変だったけどね。
一応、塩もなにも振らずに、薄切りにして天日干ししてフライパンで炙った、味付けなしジャーキーも作ったから、デンちゃん用もバッチリ増やしていっているよ!
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