溺婚オオカミ隊長の美味しい日々!

ろいず

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3章

一歳のお誕生日

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 アオドリ通りにある我が家。
大黒柱のグーエンは、このイグラシア港の警備をしている大陸の警備隊長さん。
銀色の長髪に、アイスブルーの瞳をしている狼の獣人で、氷の魔法を得意としている。
とても身長が高い。
ついでに私、日南子。改め、ヒナコ・テラスの夫で、息子のフリーレン・テラスの父親でもある。

 息子のフリーレンもグーエンと同じ銀色の髪にアイスブルーの瞳で、三角耳と尻尾がとてもラブリーキュートな一歳。
よてよてと掴まり立ちで歩く姿も可愛い。

「んーっ、可愛いが歩いてる! 可愛いっ!!」
「ヒナ。レンに益々夢中ですね……」
「だって、グーエン。可愛いっ!! 息子が、かわぁいい~っ!!」
「ヒナ……可愛いしか言葉になっていませんよ」

 家のリビングで大騒ぎする私に、グーエンは少し苦笑いしつつもフリーレンの一歳の誕生日をお祝いしていた。

「んまーまぁ」
「ひぇぇ~息子可愛いっ!」
「私は、レンに夢中なヒナが一番可愛いです」

 私の頬っぺたにチュッとグーエンがキスをすると、フリーレンもよちよちと歩いてきて私に手を伸ばす。
顔を近付けると、むちゅーとグーエンの真似をしてキスをしてくる。

「私、人生で一番のモテ期到来!?」
「ヒナは私にだけモテていて下さい。レン。貴方もお母さんのチューは、今のうちだけですからね」
「グーエン。嫉妬は駄目よ。それに、そのうちレンから『母さん恥ずかしい』とか言うようになっちゃうのよ……ううっ、こんなに可愛いのに、反抗期とかでクソババァなんて言われたら……死ねる」

 ヨヨヨ……っと、将来を想像して涙ぐむ私に、フリーレンはキョトンとした顔をしていて、グーエンは「ヒナにそんな口をきいたら、海に投げ捨てますし」と、物騒だけど、普通に部下の人達を海に氷漬けにして投げ込むので、やっちゃうだろうなぁとは思う。
子育て、失敗しないようにしよう。

「さて、お誕生日の食事にしようか!」
「そうですね。レン。抱き上げますから、今日こそは座って下さいね」

 フリーレンをグーエンが抱き上げて、子供用の補助イスに座らせる……んだけど、フリーレンは足を突っ張って嫌がる。
何故か、椅子に座るのを断固拒否するのよね……

「んきゃあーぁぁ」
「レン。お利口にして下さい」
「レン。お父さん困ってるよー」

 頬をぷぅっと膨らませて嫌がるレンに、グーエンがガクリと項垂れる。
今日も敗北するしかない……グーエンが自分の膝に抱き、グーエンの前にフリーレンのお誕生日用のスポンジケーキを置く。

 これ、スポンジケーキではあるけれど、柔らかくて滑らかなムース状のプリンと混ぜて作ったから、驚くほどとろけるスポンジケーキなのよ。
作り方は簡単。
プリンの材料である、牛乳をお鍋で沸騰しないぐらいに温めて、砂糖を入れる。そして卵の黄身と混ぜて、ザルと布巾で、コシてから、メレンゲにした卵白と混ぜ、小麦粉を少量入れる。
そして焼けば完成。
作り方のポイントとしては、普通のプリンより軟らかめに作ることかな?
失敗しちゃいそうな人は、生クリームとゼラチンを入れて、カスタードクリームと混ぜて作るのもおススメ。

 あとはフリーレンの好きな柔らかミートボールとマッシュポテトにコーンスープ。
私とグーエンは普通にハンバーグにポテトサラダとコーンスープ。

「レン。一歳のお誕生日おめでとう!」
「フリーレン。一歳おめでとう」
「あーい。んふー」

 手をパチパチと叩くと、グーエンの膝の上でフリーレンも手を叩いて笑う。
うーん。私達の息子が可愛い。

「さぁ、今日はお誕生日ですからね。しっかり食べて下さい」
「今日はどうかなー?」

 グーエンがスプーンで、フリーレンの口元へスポンジケーキを持っていくと、あーんと、口を開ける。
期待を込めてジッと様子を見るも、少ししたら口の端からテリッと出してしまう。

「うーん。駄目かぁー」
「好き嫌いが激しいですからねぇ。ヒナの料理でも駄目な子がいるとは思いませんでした」
「まぁ、赤ちゃんの時は、こういう物だって聞いたし、仕方がないね」

 ミートボールを半分に切って、グーエンがフリーレンに食べさせて、いつも通りのメニューでフリーレンは満足したようだ。
たまに、このメニューでも口から出しちゃうんだけどね。
早く色々と食べてくれたら、私としては嬉しい。
  
 フリーレンのお誕生日をお祝いが出来て、私は自分がしてもらえなかった誕生日会が出来て大満足である。
うん。来年も再来年もずーっと、フリーレンが「母さん、もう誕生日会なんていいよ!」って、言うまでは続けるつもりだ。
親の夢の押し付けで悪いけど、でも、これは普通の家庭でもしている事だから、フリーレンがいつか大人になって、自分の家族が出来た時に、思い出して同じ様にお祝いしてくれたら良いなぁ。
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