106 / 131
3章
一歳のお誕生日
しおりを挟む
アオドリ通りにある我が家。
大黒柱のグーエンは、このイグラシア港の警備をしている大陸の警備隊長さん。
銀色の長髪に、アイスブルーの瞳をしている狼の獣人で、氷の魔法を得意としている。
とても身長が高い。
ついでに私、日南子。改め、ヒナコ・テラスの夫で、息子のフリーレン・テラスの父親でもある。
息子のフリーレンもグーエンと同じ銀色の髪にアイスブルーの瞳で、三角耳と尻尾がとてもラブリーキュートな一歳。
よてよてと掴まり立ちで歩く姿も可愛い。
「んーっ、可愛いが歩いてる! 可愛いっ!!」
「ヒナ。レンに益々夢中ですね……」
「だって、グーエン。可愛いっ!! 息子が、かわぁいい~っ!!」
「ヒナ……可愛いしか言葉になっていませんよ」
家のリビングで大騒ぎする私に、グーエンは少し苦笑いしつつもフリーレンの一歳の誕生日をお祝いしていた。
「んまーまぁ」
「ひぇぇ~息子可愛いっ!」
「私は、レンに夢中なヒナが一番可愛いです」
私の頬っぺたにチュッとグーエンがキスをすると、フリーレンもよちよちと歩いてきて私に手を伸ばす。
顔を近付けると、むちゅーとグーエンの真似をしてキスをしてくる。
「私、人生で一番のモテ期到来!?」
「ヒナは私にだけモテていて下さい。レン。貴方もお母さんのチューは、今のうちだけですからね」
「グーエン。嫉妬は駄目よ。それに、そのうちレンから『母さん恥ずかしい』とか言うようになっちゃうのよ……ううっ、こんなに可愛いのに、反抗期とかでクソババァなんて言われたら……死ねる」
ヨヨヨ……っと、将来を想像して涙ぐむ私に、フリーレンはキョトンとした顔をしていて、グーエンは「ヒナにそんな口をきいたら、海に投げ捨てますし」と、物騒だけど、普通に部下の人達を海に氷漬けにして投げ込むので、やっちゃうだろうなぁとは思う。
子育て、失敗しないようにしよう。
「さて、お誕生日の食事にしようか!」
「そうですね。レン。抱き上げますから、今日こそは座って下さいね」
フリーレンをグーエンが抱き上げて、子供用の補助イスに座らせる……んだけど、フリーレンは足を突っ張って嫌がる。
何故か、椅子に座るのを断固拒否するのよね……
「んきゃあーぁぁ」
「レン。お利口にして下さい」
「レン。お父さん困ってるよー」
頬をぷぅっと膨らませて嫌がるレンに、グーエンがガクリと項垂れる。
今日も敗北するしかない……グーエンが自分の膝に抱き、グーエンの前にフリーレンのお誕生日用のスポンジケーキを置く。
これ、スポンジケーキではあるけれど、柔らかくて滑らかなムース状のプリンと混ぜて作ったから、驚くほどとろけるスポンジケーキなのよ。
作り方は簡単。
プリンの材料である、牛乳をお鍋で沸騰しないぐらいに温めて、砂糖を入れる。そして卵の黄身と混ぜて、ザルと布巾で、コシてから、メレンゲにした卵白と混ぜ、小麦粉を少量入れる。
そして焼けば完成。
作り方のポイントとしては、普通のプリンより軟らかめに作ることかな?
失敗しちゃいそうな人は、生クリームとゼラチンを入れて、カスタードクリームと混ぜて作るのもおススメ。
あとはフリーレンの好きな柔らかミートボールとマッシュポテトにコーンスープ。
私とグーエンは普通にハンバーグにポテトサラダとコーンスープ。
「レン。一歳のお誕生日おめでとう!」
「フリーレン。一歳おめでとう」
「あーい。んふー」
手をパチパチと叩くと、グーエンの膝の上でフリーレンも手を叩いて笑う。
うーん。私達の息子が可愛い。
「さぁ、今日はお誕生日ですからね。しっかり食べて下さい」
「今日はどうかなー?」
グーエンがスプーンで、フリーレンの口元へスポンジケーキを持っていくと、あーんと、口を開ける。
期待を込めてジッと様子を見るも、少ししたら口の端からテリッと出してしまう。
「うーん。駄目かぁー」
「好き嫌いが激しいですからねぇ。ヒナの料理でも駄目な子がいるとは思いませんでした」
「まぁ、赤ちゃんの時は、こういう物だって聞いたし、仕方がないね」
ミートボールを半分に切って、グーエンがフリーレンに食べさせて、いつも通りのメニューでフリーレンは満足したようだ。
たまに、このメニューでも口から出しちゃうんだけどね。
早く色々と食べてくれたら、私としては嬉しい。
フリーレンのお誕生日をお祝いが出来て、私は自分がしてもらえなかった誕生日会が出来て大満足である。
うん。来年も再来年もずーっと、フリーレンが「母さん、もう誕生日会なんていいよ!」って、言うまでは続けるつもりだ。
親の夢の押し付けで悪いけど、でも、これは普通の家庭でもしている事だから、フリーレンがいつか大人になって、自分の家族が出来た時に、思い出して同じ様にお祝いしてくれたら良いなぁ。
大黒柱のグーエンは、このイグラシア港の警備をしている大陸の警備隊長さん。
銀色の長髪に、アイスブルーの瞳をしている狼の獣人で、氷の魔法を得意としている。
とても身長が高い。
ついでに私、日南子。改め、ヒナコ・テラスの夫で、息子のフリーレン・テラスの父親でもある。
息子のフリーレンもグーエンと同じ銀色の髪にアイスブルーの瞳で、三角耳と尻尾がとてもラブリーキュートな一歳。
よてよてと掴まり立ちで歩く姿も可愛い。
「んーっ、可愛いが歩いてる! 可愛いっ!!」
「ヒナ。レンに益々夢中ですね……」
「だって、グーエン。可愛いっ!! 息子が、かわぁいい~っ!!」
「ヒナ……可愛いしか言葉になっていませんよ」
家のリビングで大騒ぎする私に、グーエンは少し苦笑いしつつもフリーレンの一歳の誕生日をお祝いしていた。
「んまーまぁ」
「ひぇぇ~息子可愛いっ!」
「私は、レンに夢中なヒナが一番可愛いです」
私の頬っぺたにチュッとグーエンがキスをすると、フリーレンもよちよちと歩いてきて私に手を伸ばす。
顔を近付けると、むちゅーとグーエンの真似をしてキスをしてくる。
「私、人生で一番のモテ期到来!?」
「ヒナは私にだけモテていて下さい。レン。貴方もお母さんのチューは、今のうちだけですからね」
「グーエン。嫉妬は駄目よ。それに、そのうちレンから『母さん恥ずかしい』とか言うようになっちゃうのよ……ううっ、こんなに可愛いのに、反抗期とかでクソババァなんて言われたら……死ねる」
ヨヨヨ……っと、将来を想像して涙ぐむ私に、フリーレンはキョトンとした顔をしていて、グーエンは「ヒナにそんな口をきいたら、海に投げ捨てますし」と、物騒だけど、普通に部下の人達を海に氷漬けにして投げ込むので、やっちゃうだろうなぁとは思う。
子育て、失敗しないようにしよう。
「さて、お誕生日の食事にしようか!」
「そうですね。レン。抱き上げますから、今日こそは座って下さいね」
フリーレンをグーエンが抱き上げて、子供用の補助イスに座らせる……んだけど、フリーレンは足を突っ張って嫌がる。
何故か、椅子に座るのを断固拒否するのよね……
「んきゃあーぁぁ」
「レン。お利口にして下さい」
「レン。お父さん困ってるよー」
頬をぷぅっと膨らませて嫌がるレンに、グーエンがガクリと項垂れる。
今日も敗北するしかない……グーエンが自分の膝に抱き、グーエンの前にフリーレンのお誕生日用のスポンジケーキを置く。
これ、スポンジケーキではあるけれど、柔らかくて滑らかなムース状のプリンと混ぜて作ったから、驚くほどとろけるスポンジケーキなのよ。
作り方は簡単。
プリンの材料である、牛乳をお鍋で沸騰しないぐらいに温めて、砂糖を入れる。そして卵の黄身と混ぜて、ザルと布巾で、コシてから、メレンゲにした卵白と混ぜ、小麦粉を少量入れる。
そして焼けば完成。
作り方のポイントとしては、普通のプリンより軟らかめに作ることかな?
失敗しちゃいそうな人は、生クリームとゼラチンを入れて、カスタードクリームと混ぜて作るのもおススメ。
あとはフリーレンの好きな柔らかミートボールとマッシュポテトにコーンスープ。
私とグーエンは普通にハンバーグにポテトサラダとコーンスープ。
「レン。一歳のお誕生日おめでとう!」
「フリーレン。一歳おめでとう」
「あーい。んふー」
手をパチパチと叩くと、グーエンの膝の上でフリーレンも手を叩いて笑う。
うーん。私達の息子が可愛い。
「さぁ、今日はお誕生日ですからね。しっかり食べて下さい」
「今日はどうかなー?」
グーエンがスプーンで、フリーレンの口元へスポンジケーキを持っていくと、あーんと、口を開ける。
期待を込めてジッと様子を見るも、少ししたら口の端からテリッと出してしまう。
「うーん。駄目かぁー」
「好き嫌いが激しいですからねぇ。ヒナの料理でも駄目な子がいるとは思いませんでした」
「まぁ、赤ちゃんの時は、こういう物だって聞いたし、仕方がないね」
ミートボールを半分に切って、グーエンがフリーレンに食べさせて、いつも通りのメニューでフリーレンは満足したようだ。
たまに、このメニューでも口から出しちゃうんだけどね。
早く色々と食べてくれたら、私としては嬉しい。
フリーレンのお誕生日をお祝いが出来て、私は自分がしてもらえなかった誕生日会が出来て大満足である。
うん。来年も再来年もずーっと、フリーレンが「母さん、もう誕生日会なんていいよ!」って、言うまでは続けるつもりだ。
親の夢の押し付けで悪いけど、でも、これは普通の家庭でもしている事だから、フリーレンがいつか大人になって、自分の家族が出来た時に、思い出して同じ様にお祝いしてくれたら良いなぁ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる