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9章
奴隷
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ジュワー・・・と、肉の焼ける音に食堂室でゴクリと喉の鳴る音がする。
高級な木箱に入った魔国エグザドルから届いたマデリーヌからの魔牛の焼ける匂いに、冬眠していたハガネも匂いに釣られて起き「俺に貸してみろ」と、魔牛を焼き始める。
「さすがハガネ!お肉の焼き加減が絶妙!!」
朱里がキャーと、声を上げ頬っぺた落ちるぅーと、満面の笑みを向けハガネが得意そうな顔をする。
「妊婦は生は駄目だから、生が残らない程度に焼くんだよ。まぁコレ、生で食べてもいい肉だけどな。用心には用心を重ねとけ」
「はーい。ふふ。美味しい~」
朱里がパクパクと肉を食べるのを見ながら、双子も自分達の分がようやく皿に上がると「いただきまーす」と元気に食べ始める。
ルーファスは酒を飲みながら、ハガネが起きる前に朱里が焼いていた肉を食べる。
「今回ここの護衛受けて良かったー!幸せ~」
プリシーが頬に手を当てながら肉を口に入れて「おかわりぃー!」と声を出すと、ハガネが「お前の給料1日分の肉を簡単に食い散らかすなよ!」と、プリシーに苦笑いする。
ハガネが自分の分の肉を焼き始め、そろそろかと肉を鉄板から上げた時、ドォーンと音がしルーファスが席を立って窓から外を見る。
窓の外には結界の上に氷の塊が乗っかっている。
「グリムレインが帰ってきたようだな」
指を鳴らし、結界を解くとグリムレインが朱里を呼びながら屋敷の中へ急いで入ってくる。
「嫁!こいつを助けてくれ!」
「え?何ですか?」
グリムレインが小さな黒い塊を朱里に差し出し珍しく困った顔をしている。
黒く薄汚れた異臭のする物に朱里が手で口を押えて吐き気を押さえると、ハガネが「【清浄】」と魔法を出し、薄汚れた物から異臭を取り除く。
ハガネがグリムレインの手の中の物を確認し、ルーファスに手を差し出す。
「旦那、アカリかアリスの特殊ポーションを使わせてくれ」
「わかった。それは何なんだ?」
ルーファスが鍵で空中からポーションを取り出すとハガネに手渡し、ハガネがポーションの蓋を開けるとグリムレインの手の上に掛ける。
「多分、兎族の子供だ」
「多分・・・?」
ルーファスが席を立ちグリムレインの手の中を覗き込む。
ハガネが多分と言った言葉を理解し、朱里と双子にそこに居るように言いつけてグリムレインとハガネを連れて部屋を出ていく。
「グリムレイン、この子を何処で拾って来たんだ?」
「ミシリマーフ国だ」
「お前、危ねぇんだから行くなよ!」
ハガネがグリムレインを叱りながら、救急箱を取り出し新しい子供用に作り始めた手拭いを1枚取ると回復ポーションに浸して軽く絞り、兎族の子供をその手拭いに包みこんでいく。
「とりあえず、これで様子みていくしかねぇな」
「さすが嫁の従者だ。手際がいい。」
「お前も従者だろうが・・・ったく、けど、全身の毛がねぇから常に温かい部屋で治療させねぇと不味いな」
ハガネが思案していると、グリムレインが「ローランドの部屋はどうだ?」と提案する。
火竜ローランドの部屋はローランドの発している熱で他の部屋よりも暑い。それならば大丈夫そうだとハガネがローランドの部屋に兎族の子供を連れていく。
ルーファスがグリムレインに小さくため息を吐く。
「グリムレイン、何故ミシリマーフに行ったんだ?危険だと分かっているだろう?お前に何かあればアカリが悲しむ」
「あの国の精霊たちが前にも増して魔力を吸い上げられていると嘆くのでな様子を見に行ったまでよ。ちゃんと姿は消して行ったし、雪も降らせておらんから気付かれても居ないはずだ」
グリムレインが小さな枷をルーファスに見せる。
その枷は子供用サイズの小ささで奴隷の印が押されていた。
「あの子は奴隷か?しかし、ミシリマーフ国では奴隷はご法度だと思ったが・・・」
「わからんが、あの子は精霊が見える子らしくてな。精霊たちの助けで逃げ、精霊が我に子供を助けろと騒ぐから連れてきた」
「そうか。まぁ、ミシリマーフ国に居る密偵にそこら辺も探らせておく」
「流石は婿だ。嫁が選んだ婿なだけはある」
グリムレインが機嫌よく笑い「良い匂いがするから我も飯にする」と、食堂室へ姿を消して行く。
「やれやれ。厄介ごとを持ち込んでくれる。しかし奴隷か・・・」
何か引っかかるものがありルーファスはその何かを思い出そうとするが、思い出せずに食堂室に戻ると、朱里が心配そうに席を立って近付いた時に思い出す。
朱里の穿いているアンゴラータ族のスカートを手に掴み「これか!」と、言うと朱里が顔を赤くしてルーファスを非難の目で見、双子もルーファスに冷めた目で見つめてきた。
高級な木箱に入った魔国エグザドルから届いたマデリーヌからの魔牛の焼ける匂いに、冬眠していたハガネも匂いに釣られて起き「俺に貸してみろ」と、魔牛を焼き始める。
「さすがハガネ!お肉の焼き加減が絶妙!!」
朱里がキャーと、声を上げ頬っぺた落ちるぅーと、満面の笑みを向けハガネが得意そうな顔をする。
「妊婦は生は駄目だから、生が残らない程度に焼くんだよ。まぁコレ、生で食べてもいい肉だけどな。用心には用心を重ねとけ」
「はーい。ふふ。美味しい~」
朱里がパクパクと肉を食べるのを見ながら、双子も自分達の分がようやく皿に上がると「いただきまーす」と元気に食べ始める。
ルーファスは酒を飲みながら、ハガネが起きる前に朱里が焼いていた肉を食べる。
「今回ここの護衛受けて良かったー!幸せ~」
プリシーが頬に手を当てながら肉を口に入れて「おかわりぃー!」と声を出すと、ハガネが「お前の給料1日分の肉を簡単に食い散らかすなよ!」と、プリシーに苦笑いする。
ハガネが自分の分の肉を焼き始め、そろそろかと肉を鉄板から上げた時、ドォーンと音がしルーファスが席を立って窓から外を見る。
窓の外には結界の上に氷の塊が乗っかっている。
「グリムレインが帰ってきたようだな」
指を鳴らし、結界を解くとグリムレインが朱里を呼びながら屋敷の中へ急いで入ってくる。
「嫁!こいつを助けてくれ!」
「え?何ですか?」
グリムレインが小さな黒い塊を朱里に差し出し珍しく困った顔をしている。
黒く薄汚れた異臭のする物に朱里が手で口を押えて吐き気を押さえると、ハガネが「【清浄】」と魔法を出し、薄汚れた物から異臭を取り除く。
ハガネがグリムレインの手の中の物を確認し、ルーファスに手を差し出す。
「旦那、アカリかアリスの特殊ポーションを使わせてくれ」
「わかった。それは何なんだ?」
ルーファスが鍵で空中からポーションを取り出すとハガネに手渡し、ハガネがポーションの蓋を開けるとグリムレインの手の上に掛ける。
「多分、兎族の子供だ」
「多分・・・?」
ルーファスが席を立ちグリムレインの手の中を覗き込む。
ハガネが多分と言った言葉を理解し、朱里と双子にそこに居るように言いつけてグリムレインとハガネを連れて部屋を出ていく。
「グリムレイン、この子を何処で拾って来たんだ?」
「ミシリマーフ国だ」
「お前、危ねぇんだから行くなよ!」
ハガネがグリムレインを叱りながら、救急箱を取り出し新しい子供用に作り始めた手拭いを1枚取ると回復ポーションに浸して軽く絞り、兎族の子供をその手拭いに包みこんでいく。
「とりあえず、これで様子みていくしかねぇな」
「さすが嫁の従者だ。手際がいい。」
「お前も従者だろうが・・・ったく、けど、全身の毛がねぇから常に温かい部屋で治療させねぇと不味いな」
ハガネが思案していると、グリムレインが「ローランドの部屋はどうだ?」と提案する。
火竜ローランドの部屋はローランドの発している熱で他の部屋よりも暑い。それならば大丈夫そうだとハガネがローランドの部屋に兎族の子供を連れていく。
ルーファスがグリムレインに小さくため息を吐く。
「グリムレイン、何故ミシリマーフに行ったんだ?危険だと分かっているだろう?お前に何かあればアカリが悲しむ」
「あの国の精霊たちが前にも増して魔力を吸い上げられていると嘆くのでな様子を見に行ったまでよ。ちゃんと姿は消して行ったし、雪も降らせておらんから気付かれても居ないはずだ」
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その枷は子供用サイズの小ささで奴隷の印が押されていた。
「あの子は奴隷か?しかし、ミシリマーフ国では奴隷はご法度だと思ったが・・・」
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「そうか。まぁ、ミシリマーフ国に居る密偵にそこら辺も探らせておく」
「流石は婿だ。嫁が選んだ婿なだけはある」
グリムレインが機嫌よく笑い「良い匂いがするから我も飯にする」と、食堂室へ姿を消して行く。
「やれやれ。厄介ごとを持ち込んでくれる。しかし奴隷か・・・」
何か引っかかるものがありルーファスはその何かを思い出そうとするが、思い出せずに食堂室に戻ると、朱里が心配そうに席を立って近付いた時に思い出す。
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