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9章
終幕:ドラゴン達の宿り木
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新しいミシリマーフ国の国王ジャガール・ジス・ミシリマーフは国を立ち直す為に前国王のジャルドの悪政を正すことから着手し、ミシリマーフ国での呪詛に関する魔術書の廃棄と関わった者達の処分が決まった。
これ以上、この世にドラゴンや人間を媒介とした呪詛が出ない様に全てを無に帰した。
ジャガールが即位後の春の出来事。
ミシリマーフ国の空にドラゴンが7体現れる。
土竜ニクストローブが砂漠から大地を新たに出現させた。
火竜ローランドが大地から熱を奪い。
光竜アルビーが大地に回復魔法を掛け。
風竜スピナが回復魔法された大地を風で広げ。
木竜ケルチャが大地に植物を生やし。
氷竜グリムレインが植物に水を撒き。
金竜エデンが植物に実をつけさせた。
ミシリマーフ国の大地から魔力が吸い上げられていた原因の赤い石が王宮から消えた事で大地を蘇らせる為にドラゴン達が動いたのは、金竜エデンがミシリマーフ国から本当に自由になる為にジス家の最初の娘との約束を果たすためにしたことだった。
蘇った大地のおかげで砂漠の土地だったミシリマーフ国は温かい気候の緑豊かな国になった。
大地が蘇った事で精霊達が嘆くことは無くなり氷竜グリムレインがミシリマーフの上空を飛ぶことはなくなった。
南国の国ミシリマーフ国に冬が訪れなくなり、1年中夏だけの国として四季のない唯一の国になった。
貿易の盛んな国になった事で他国との交流も多くなり、国王のジャガールも賢王と呼ばれ政策に力を入れて国を栄えさせた。
ドラゴン信仰の神殿は無くなったが、ミシリマーフ国の城下にはドラゴンの石像が建てられ、年に1度ドラゴンに感謝する祭りが開かれるようになった。
毎年、祭りの日に空をドラゴン達が飛んでいる姿が目撃される事がしばしばあるが、ドラゴン達は人型になり祭りを楽しんでいるらしく、姿を見た者は居ない。
ドラゴンへの感謝の祭りの日はドラゴンを見ようと多くの観光客が現れ、空を飛ぶドラゴンを見た者はほんの少し幸せになるのだとかで毎年この時期だけは人が多く、観光収入も凄いらしい。
ミシリマーフの国民はドラゴンに楽しんでもらおうと、食べ物を色々と趣向を凝らしたものを作り、南国独特の食べ物が次々と開発されていくことになる。
*・。*・。*・。*
春になり、桜の花びらが温泉大陸を覆い花見と温泉を楽しむ観光客で温泉大陸が賑わいをみせる。
白に薄桃色のグラデーションの掛かった着物を着たお腹がふっくらした【刻狼亭】の女将朱里が『女将亭』の住居部分の改装工事が終わり、明日からの開店準備を始めていた。
庭に植えた11本の『竜の癒し木』も小さな桃色の花を咲かせ、ドラゴン達が一番初めに植えた一番大きな木の枝に7匹で座って花見を始め、楽しそうに騒いでいる。
30cm程の小さなドラゴン姿で騒いでいる為に、女将亭の2階の窓からドラゴン達が出入りしてはキッチンからつまみを取っていく。
「こらー!夕飯のおかずまで取って行っちゃ駄目ー!」
朱里が夕飯のおかずを持ち窓から出ていくドラゴンに怒ると、逃げろとばかりに木の上に飛んでいく。
朱里が窓から顔を出して木の上を覗けば、ドラゴン達は結構な量のおかずをおつまみとして持って行っている。
そして、お酒に酔ってへべれけ状態ではしゃいでいる。
よくよく見ればドワーフの老人達がくれた【火酒】までも飲んでいる。
赤竜のローランドが飲む度に口から火を吹いている。
「火事になるでしょ!ローランド止めなさい!グリムレイン!ローランドの口に氷を入れちゃって!」
「嫁、怒ると嫁の貰い手が無くなるぞー?」
ケタケタと笑いながら楽しそうにグリムレインが朱里の元まで飛んできて頭をポンポン叩いては笑っている。
「もう!酔っ払いドラゴン!私はもう嫁ですから!貰い手はもうついてますー!」
「フハハハ。嫁が怒った怒った」
「これだから酔っ払いは性質が悪い・・・むぅ!」
朱里がペシペシと叩くとグリムレインが体の大きさを変えて朱里を抱き上げると『竜の癒し木』の枝の上に朱里を座らせる。
「どうだ!眺めがいいだろ?嫁もたまには花見を楽しめ!」
「アカリ!お花見一緒にしようよ!」
「アカリちゃんおつまみ美味しいよ!」
「嬢ちゃん今度は大根の甘辛煮がええのう」
「あるじしゃま!おはなみだよ!」
「アンタもたまにはアタシ達に付き合いなさいな」
「火酒もっとくれー!」
ドラゴン達がワァっと騒ぎ朱里の周りに集まる。
楽しそうなドラゴン達を見るのは良い・・・が、高所恐怖症の朱里は既に花見どころではない。
ガシッと木にすがりつき、声なき声で叫んでいる。
「______っ!!!!」
「コラッ!お前等、アカリを下ろしてやれ!怖がってんじゃねぇか!」
ハガネが下からドラゴン達に怒りの声を上げると、何が怖いのだろうとドラゴン達はわからないと首をかしげる。
仕方ねぇなぁと、ハガネが頭を掻きながら店の中へ戻って2階へ上がるかと思っていると、2階の窓からルーファスが体を乗り出して木に飛び移る姿が見えた。
ルーファスが飛び乗ると後ろからリュエールとシュトラールも顔を出し木に飛び移る。
「アカリ大丈夫・・・じゃないよな。直ぐに下ろしてやるから木じゃなくてオレに摑まっておけ」
「っ!!」
朱里を首に抱きつかせて抱き上げるとルーファスが軽く木を飛び降りる。
「【風】」
風魔法を使ったルーファスに風竜のスピナが指を回すと緩やかな風が包み込む。
ふわっと振動もなく地面に降りるとルーファスがスピナに微笑むと、スピナが両目を閉じて口端を上げて笑う。
「アカリ、地面に降りたぞ。もう大丈夫だ。目を開けて良いぞ」
固く閉じた目を片目を開いて確認してから朱里が両目を開いてホッと息を吐く。
「ルーファスありがとう~」
「お安い御用だ。それにしてもあいつ等に花見の酒は持ち込み禁止させないと駄目だな」
「もう、隠しておいた【火酒】まで持ち出しているんだもの!」
「あいつ等は困った奴らだな」
「「母上、父上~」」
朱里にキスすると地面に下ろしてルーファスが木を見上げると、リュエールとシュトラールが木の上で手を振っている。
「リューちゃんシューちゃん危ないからその上でふざけ合っちゃ駄目だからね!」
「わかってるよ。母上は心配症なんだから」
「そこまでバカじゃないよ母上」
2人は顔を見合わせて「ねー」と言って木の上から温泉大陸を見下ろす。
温泉街にひと際高く建つ黒い【刻狼亭】の旅館を中心に土産屋や茶屋が建ち並び路地には桜の木が1軒飛ばしに植えられ桜色に染めていた。
「桜並木を見ながら花見も良いね」
「アルビー達いい所で花見してたんだね」
リュエールとシュトラールにドラゴン達が「そうだろ?」と笑いながら双子の周りに飛んで来る。
「我らの宿り木と言ったところだな」
「『竜の癒し木』で宿り木」
「確かに違いない。フォフォフォ」
「アタシはもっとセンス良く植え替えしたいわ」
「あんたが植えるとロクでもない植物しか生やさないからダメ!」
「はなみ!はなみ!」
「火酒もっと寄越せー!」
ドラゴン達が明るい声を上げながら騒ぐのを朱里が腰に手を当て見つめる。
狙われる危険が無くなった今、平和なのは良い事だが、おかず泥棒対策は必要!と、朱里が思いながら苦笑いするのだった。
これ以上、この世にドラゴンや人間を媒介とした呪詛が出ない様に全てを無に帰した。
ジャガールが即位後の春の出来事。
ミシリマーフ国の空にドラゴンが7体現れる。
土竜ニクストローブが砂漠から大地を新たに出現させた。
火竜ローランドが大地から熱を奪い。
光竜アルビーが大地に回復魔法を掛け。
風竜スピナが回復魔法された大地を風で広げ。
木竜ケルチャが大地に植物を生やし。
氷竜グリムレインが植物に水を撒き。
金竜エデンが植物に実をつけさせた。
ミシリマーフ国の大地から魔力が吸い上げられていた原因の赤い石が王宮から消えた事で大地を蘇らせる為にドラゴン達が動いたのは、金竜エデンがミシリマーフ国から本当に自由になる為にジス家の最初の娘との約束を果たすためにしたことだった。
蘇った大地のおかげで砂漠の土地だったミシリマーフ国は温かい気候の緑豊かな国になった。
大地が蘇った事で精霊達が嘆くことは無くなり氷竜グリムレインがミシリマーフの上空を飛ぶことはなくなった。
南国の国ミシリマーフ国に冬が訪れなくなり、1年中夏だけの国として四季のない唯一の国になった。
貿易の盛んな国になった事で他国との交流も多くなり、国王のジャガールも賢王と呼ばれ政策に力を入れて国を栄えさせた。
ドラゴン信仰の神殿は無くなったが、ミシリマーフ国の城下にはドラゴンの石像が建てられ、年に1度ドラゴンに感謝する祭りが開かれるようになった。
毎年、祭りの日に空をドラゴン達が飛んでいる姿が目撃される事がしばしばあるが、ドラゴン達は人型になり祭りを楽しんでいるらしく、姿を見た者は居ない。
ドラゴンへの感謝の祭りの日はドラゴンを見ようと多くの観光客が現れ、空を飛ぶドラゴンを見た者はほんの少し幸せになるのだとかで毎年この時期だけは人が多く、観光収入も凄いらしい。
ミシリマーフの国民はドラゴンに楽しんでもらおうと、食べ物を色々と趣向を凝らしたものを作り、南国独特の食べ物が次々と開発されていくことになる。
*・。*・。*・。*
春になり、桜の花びらが温泉大陸を覆い花見と温泉を楽しむ観光客で温泉大陸が賑わいをみせる。
白に薄桃色のグラデーションの掛かった着物を着たお腹がふっくらした【刻狼亭】の女将朱里が『女将亭』の住居部分の改装工事が終わり、明日からの開店準備を始めていた。
庭に植えた11本の『竜の癒し木』も小さな桃色の花を咲かせ、ドラゴン達が一番初めに植えた一番大きな木の枝に7匹で座って花見を始め、楽しそうに騒いでいる。
30cm程の小さなドラゴン姿で騒いでいる為に、女将亭の2階の窓からドラゴン達が出入りしてはキッチンからつまみを取っていく。
「こらー!夕飯のおかずまで取って行っちゃ駄目ー!」
朱里が夕飯のおかずを持ち窓から出ていくドラゴンに怒ると、逃げろとばかりに木の上に飛んでいく。
朱里が窓から顔を出して木の上を覗けば、ドラゴン達は結構な量のおかずをおつまみとして持って行っている。
そして、お酒に酔ってへべれけ状態ではしゃいでいる。
よくよく見ればドワーフの老人達がくれた【火酒】までも飲んでいる。
赤竜のローランドが飲む度に口から火を吹いている。
「火事になるでしょ!ローランド止めなさい!グリムレイン!ローランドの口に氷を入れちゃって!」
「嫁、怒ると嫁の貰い手が無くなるぞー?」
ケタケタと笑いながら楽しそうにグリムレインが朱里の元まで飛んできて頭をポンポン叩いては笑っている。
「もう!酔っ払いドラゴン!私はもう嫁ですから!貰い手はもうついてますー!」
「フハハハ。嫁が怒った怒った」
「これだから酔っ払いは性質が悪い・・・むぅ!」
朱里がペシペシと叩くとグリムレインが体の大きさを変えて朱里を抱き上げると『竜の癒し木』の枝の上に朱里を座らせる。
「どうだ!眺めがいいだろ?嫁もたまには花見を楽しめ!」
「アカリ!お花見一緒にしようよ!」
「アカリちゃんおつまみ美味しいよ!」
「嬢ちゃん今度は大根の甘辛煮がええのう」
「あるじしゃま!おはなみだよ!」
「アンタもたまにはアタシ達に付き合いなさいな」
「火酒もっとくれー!」
ドラゴン達がワァっと騒ぎ朱里の周りに集まる。
楽しそうなドラゴン達を見るのは良い・・・が、高所恐怖症の朱里は既に花見どころではない。
ガシッと木にすがりつき、声なき声で叫んでいる。
「______っ!!!!」
「コラッ!お前等、アカリを下ろしてやれ!怖がってんじゃねぇか!」
ハガネが下からドラゴン達に怒りの声を上げると、何が怖いのだろうとドラゴン達はわからないと首をかしげる。
仕方ねぇなぁと、ハガネが頭を掻きながら店の中へ戻って2階へ上がるかと思っていると、2階の窓からルーファスが体を乗り出して木に飛び移る姿が見えた。
ルーファスが飛び乗ると後ろからリュエールとシュトラールも顔を出し木に飛び移る。
「アカリ大丈夫・・・じゃないよな。直ぐに下ろしてやるから木じゃなくてオレに摑まっておけ」
「っ!!」
朱里を首に抱きつかせて抱き上げるとルーファスが軽く木を飛び降りる。
「【風】」
風魔法を使ったルーファスに風竜のスピナが指を回すと緩やかな風が包み込む。
ふわっと振動もなく地面に降りるとルーファスがスピナに微笑むと、スピナが両目を閉じて口端を上げて笑う。
「アカリ、地面に降りたぞ。もう大丈夫だ。目を開けて良いぞ」
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「ルーファスありがとう~」
「お安い御用だ。それにしてもあいつ等に花見の酒は持ち込み禁止させないと駄目だな」
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「あいつ等は困った奴らだな」
「「母上、父上~」」
朱里にキスすると地面に下ろしてルーファスが木を見上げると、リュエールとシュトラールが木の上で手を振っている。
「リューちゃんシューちゃん危ないからその上でふざけ合っちゃ駄目だからね!」
「わかってるよ。母上は心配症なんだから」
「そこまでバカじゃないよ母上」
2人は顔を見合わせて「ねー」と言って木の上から温泉大陸を見下ろす。
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「桜並木を見ながら花見も良いね」
「アルビー達いい所で花見してたんだね」
リュエールとシュトラールにドラゴン達が「そうだろ?」と笑いながら双子の周りに飛んで来る。
「我らの宿り木と言ったところだな」
「『竜の癒し木』で宿り木」
「確かに違いない。フォフォフォ」
「アタシはもっとセンス良く植え替えしたいわ」
「あんたが植えるとロクでもない植物しか生やさないからダメ!」
「はなみ!はなみ!」
「火酒もっと寄越せー!」
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