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11章
リルと困惑
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『ケンジは女性の下着に並々ならぬ情熱を持っていました』
リルが耳を下げながら紙に文字を書き、朱里とありすが「ですよねー」と声を出す。
「ああ、だから隠し部屋に袋6個分の下着があったのか」
ネルフィームの言葉にリルが顔を真っ赤にして口をパクパクさせながら『ケンジぃぃぃ』と声なき声でケンジを呪っている。
「流石この世界で下着を広めただけはあるっしょ」
「まぁとりあえず、ケンジさんのおかげで私達は下着には苦労してませんから良かったですよね」
「それしか感謝するところはないけどねー」
「ケンジさんの事をネルフィームは知ってる?」
ありすが眉間にしわを寄せたまま項垂れたリルを慰めながら、朱里がネルフィームにケンジの事を聞けばネルフィームは口元に指を当てて目を閉じる。
「ケンジ・タナカ・・・下着を広めた人物・・・、私の記憶だと400年程前に下着を今の形に広めたケンジ・タナカしか該当はないな」
「400年前から下着が変わらないのも凄いけど、これがベストな下着って事っしょ」
「でも400年前って事は、リルさんは・・・」
ケンジも400年前ならリルも400年前の人物・・・?
頭に浮かぶ疑問を朱里がぐるぐると思って居ると、リルが紙にペンを走らせる。
『ケンジはここに居ないようですね。もしかすると下着を開発した人とは違うケンジ・タナカなのかもしれないです』
「私が言えるのはリル、貴女はダンジョンの隠し部屋にさらに隠されていた。あのダンジョンについてはこれから調べが入るが、少なくとも貴女は長い間あのダンジョンで眠っていた。断定はできないが、あの隠し部屋は長い事開かれた様子はない」
ネルフィームの言葉にリルが首を傾げ考え込むように眉根を顰め紙にまた文字を書く。
『何をしていたのか思い出せない。ケンジと一緒に居た事は覚えてるのに』
「あっ、スマホ見たら思い出せるかもっしょ?」
ありすが自分のスマートフォンを片手にリルに見せるとリルが目を見開く。
手を伸ばすリルにありすが「いやいや、こっちはうちのだから。アカリっち、さっきのスマホ見せたげて」と朱里に言い、朱里がリルにスマートフォンを手渡す。
リルが動かない画面のスマホと携帯に困惑しながらグスグス泣き始め、朱里がハンカチをリルに渡すと頭を下げながらハンカチで顔を押さえて肩を震わせている。
「あのね、この携帯とスマホを直してくれる人が居るから、しばらく時間をくれたらちゃんと動くと思うの」
グスッと涙の溢れる目で朱里を見ると朱里がニコッと安心させるように笑い、リルの頭を撫でるとリルが朱里に抱きついて頭をスリスリと擦り付ける。
ルーファスや子供達がすり寄って来た時の様な感じで朱里がリルの背中をポンポンと叩きながら「よしよし」と言っていると、ミルアとナルアを抱きかかえてルーファスがリビングに入ってくる。
「だたいま。リューとシューは帰って来たか?」
「おかえりなさい。リューちゃんとシューちゃんならお部屋を見に行きましたよ」
ルーファスが朱里と朱里に抱きついているリルに気付くと小さく首を傾げ、朱里に目で「何ごとか」と見つめれば朱里が困った顔をする。
説明が難しいというより、朱里もまだリルに関してはよく知らないので答えようもない。
リルが振り向きルーファスを見上げると目を丸くして、朱里から手を離すとルーファスに近付いてフンフンと鼻を動かすと、ルーファスも眉根をしかめて匂いを少し嗅ぎ、首を傾げる。
「君は・・・何だ?アカリの姿に似ているが、黒狼族で金目はうちの家系だけのはずだが・・・、しかし匂いがうちの子供達に似てる」
リルも困った顔でルーファスを見つめ返し、ルーファスがじっとリルを見る。
「ルーファス、その子はリルさん。声が出せないらしいんですが、今回のダンジョンの隠し部屋に眠っていたそうなんです」
「何だそれは?」
「私もよくわかりませんが、下着を作ったケンジ・タナカに関係ある子みたいです」
困惑する2人の間に割り込んで朱里がミルアとナルアを受け取り、子供用の椅子にミルアとナルアを座らせる。
「ああえ、みっみ」
「ああえ、みっみ」
椅子に座りミルアとナルアがテーブルをペシペシ叩くと朱里が「はいはい」と氷室からミッカのジュースを取り出し、小さな蓋つきのコップに注いでストローを挿すとミルアとナルアに手渡す。
その様子を見ていたリルが紙にペンを走らせて途中で文字を消すとまた書き始める。
『ミッカ■■■= あなた達は誰?』
ミッカジュースの事が書きたかったのかと思うが途中で塗りつぶされ、誰?とリルが少し怯えた表情で首を振って部屋をキョロキョロと見渡し、口元がパクパクと動く。
『ここはどこ?』
「オレは温泉大陸【刻狼亭】当主ルーファス・トリニアだ。ここはオレと番の家『女将亭』だ」
リルがルーファスを見上げて首を振る。
紙にペンを走らせてリルがルーファスに突き付ける。
『嘘。【刻狼亭】の当主はタルト・トリニア。私のお婆様、『女将亭』はこんな所じゃない』
*(ケンジのフラグはドコに?という質問があったので、7章の1話目に少しだけ出ています)
リルが耳を下げながら紙に文字を書き、朱里とありすが「ですよねー」と声を出す。
「ああ、だから隠し部屋に袋6個分の下着があったのか」
ネルフィームの言葉にリルが顔を真っ赤にして口をパクパクさせながら『ケンジぃぃぃ』と声なき声でケンジを呪っている。
「流石この世界で下着を広めただけはあるっしょ」
「まぁとりあえず、ケンジさんのおかげで私達は下着には苦労してませんから良かったですよね」
「それしか感謝するところはないけどねー」
「ケンジさんの事をネルフィームは知ってる?」
ありすが眉間にしわを寄せたまま項垂れたリルを慰めながら、朱里がネルフィームにケンジの事を聞けばネルフィームは口元に指を当てて目を閉じる。
「ケンジ・タナカ・・・下着を広めた人物・・・、私の記憶だと400年程前に下着を今の形に広めたケンジ・タナカしか該当はないな」
「400年前から下着が変わらないのも凄いけど、これがベストな下着って事っしょ」
「でも400年前って事は、リルさんは・・・」
ケンジも400年前ならリルも400年前の人物・・・?
頭に浮かぶ疑問を朱里がぐるぐると思って居ると、リルが紙にペンを走らせる。
『ケンジはここに居ないようですね。もしかすると下着を開発した人とは違うケンジ・タナカなのかもしれないです』
「私が言えるのはリル、貴女はダンジョンの隠し部屋にさらに隠されていた。あのダンジョンについてはこれから調べが入るが、少なくとも貴女は長い間あのダンジョンで眠っていた。断定はできないが、あの隠し部屋は長い事開かれた様子はない」
ネルフィームの言葉にリルが首を傾げ考え込むように眉根を顰め紙にまた文字を書く。
『何をしていたのか思い出せない。ケンジと一緒に居た事は覚えてるのに』
「あっ、スマホ見たら思い出せるかもっしょ?」
ありすが自分のスマートフォンを片手にリルに見せるとリルが目を見開く。
手を伸ばすリルにありすが「いやいや、こっちはうちのだから。アカリっち、さっきのスマホ見せたげて」と朱里に言い、朱里がリルにスマートフォンを手渡す。
リルが動かない画面のスマホと携帯に困惑しながらグスグス泣き始め、朱里がハンカチをリルに渡すと頭を下げながらハンカチで顔を押さえて肩を震わせている。
「あのね、この携帯とスマホを直してくれる人が居るから、しばらく時間をくれたらちゃんと動くと思うの」
グスッと涙の溢れる目で朱里を見ると朱里がニコッと安心させるように笑い、リルの頭を撫でるとリルが朱里に抱きついて頭をスリスリと擦り付ける。
ルーファスや子供達がすり寄って来た時の様な感じで朱里がリルの背中をポンポンと叩きながら「よしよし」と言っていると、ミルアとナルアを抱きかかえてルーファスがリビングに入ってくる。
「だたいま。リューとシューは帰って来たか?」
「おかえりなさい。リューちゃんとシューちゃんならお部屋を見に行きましたよ」
ルーファスが朱里と朱里に抱きついているリルに気付くと小さく首を傾げ、朱里に目で「何ごとか」と見つめれば朱里が困った顔をする。
説明が難しいというより、朱里もまだリルに関してはよく知らないので答えようもない。
リルが振り向きルーファスを見上げると目を丸くして、朱里から手を離すとルーファスに近付いてフンフンと鼻を動かすと、ルーファスも眉根をしかめて匂いを少し嗅ぎ、首を傾げる。
「君は・・・何だ?アカリの姿に似ているが、黒狼族で金目はうちの家系だけのはずだが・・・、しかし匂いがうちの子供達に似てる」
リルも困った顔でルーファスを見つめ返し、ルーファスがじっとリルを見る。
「ルーファス、その子はリルさん。声が出せないらしいんですが、今回のダンジョンの隠し部屋に眠っていたそうなんです」
「何だそれは?」
「私もよくわかりませんが、下着を作ったケンジ・タナカに関係ある子みたいです」
困惑する2人の間に割り込んで朱里がミルアとナルアを受け取り、子供用の椅子にミルアとナルアを座らせる。
「ああえ、みっみ」
「ああえ、みっみ」
椅子に座りミルアとナルアがテーブルをペシペシ叩くと朱里が「はいはい」と氷室からミッカのジュースを取り出し、小さな蓋つきのコップに注いでストローを挿すとミルアとナルアに手渡す。
その様子を見ていたリルが紙にペンを走らせて途中で文字を消すとまた書き始める。
『ミッカ■■■= あなた達は誰?』
ミッカジュースの事が書きたかったのかと思うが途中で塗りつぶされ、誰?とリルが少し怯えた表情で首を振って部屋をキョロキョロと見渡し、口元がパクパクと動く。
『ここはどこ?』
「オレは温泉大陸【刻狼亭】当主ルーファス・トリニアだ。ここはオレと番の家『女将亭』だ」
リルがルーファスを見上げて首を振る。
紙にペンを走らせてリルがルーファスに突き付ける。
『嘘。【刻狼亭】の当主はタルト・トリニア。私のお婆様、『女将亭』はこんな所じゃない』
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