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11章
未来の女将亭
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フフーンと、シュトラールが得意な顔で自分の鼻を指さす。
「ああ、この子ね。不思議と良い事には鼻が利くの」
「シュトラールはそういうとこあるよね」
朱里とリュエールが得意そうな顔をしているシュトラールを上と横から指でつんつんと突いてリルに説明するとリルがペンを動かす。
『あなた達は何歳?』
「僕らは双子だから同じ歳。6歳」
「あと2ヶ月で7歳だよ」
「私は永遠の16歳!」
「「母上・・・」」
2人に睨まれ朱里が「ううっ」と引き下がる。
「23歳・・・です。リルさんは?」
『私は21歳です』
「なら私とほぼ変わらないのね」
「2歳の差は大きいよ」
「2歳差はね・・・」
2人の息子が容赦なく朱里を攻めてくる。酷い息子達である。
朱里が2人の耳を片方ずつ引っ張るとリルが小さく笑う。
「リルさん、笑っていた方が良いよ。色々と今は混乱しているだろうけど、とりあえず私達家族を信じて1つずつ謎を解きましょう?」
『はい』
リルがコクリと頷き、朱里が「じゃあ次行ってみようか!」と元気に答えると、リュエールとシュトラールが「母上、待って」と、朱里にストップをかける。
「ミルアとナルアが泣いてる」
「母上はまず2人を泣き止ませてあげないと」
「もう。ルーファスったら何してるのかしら?」
朱里がずんずんとリビングに戻ると、ありすがミルアとナルアと同じような顔で「どうしたらいいの~」と情けない声を上げていた。
リュエールとシュトラールがミルアとナルアを抱き上げてあやし始め、ありすが「助かったし・・・」と、ガクリと項垂れる。
「ありすさん、ごめんなさいね。ルーファスは?」
「ルーっちは携帯とスマホ修理に行ったし、ネルっちは日記があるとかで取りに行ったし。うちは赤ちゃんのお世話は厳しいって思い知ったし・・・こんなんで自分の赤ちゃんと生きていけるかなぁ?」
「あはは。大丈夫ですよ。日々慣れていくものですから」
朱里がリルに手招きしてリビングを出ると、リュエールとシュトラールが「母上ずるーい」と声を出すが、朱里は「2人の面倒見ててねー」と階段を下りていく。
「リルさん、さっき『女将亭』はこんな所じゃないって言ってたでしょ?だからお店と外観も見てほしいなって」
朱里が店に降りるとリロノスが少し驚いた顔をした後で軽く頭を下げ、接客対応をしている。
店はいつも通りお客さんで賑わい、温泉鳥の5月人形バージョンプチサイズが売れていっている。3月のひな祭りから味を占めた朱里が月ごとにシリーズで売る事を決めて、3弾目になる。
6月はジューンブライドで花嫁と花婿の温泉鳥を作るつもりで、これに関しては大きいサイズも作ってハネムーンで温泉街に遊びに来た人が買っていくのでは?と、目論んでいる。
「リルさん、私のお店はどうですか?リルさんの知ってる『女将亭』とは違います?」
『温泉鳥の1桁ナンバーです!すごいです!温泉鳥マニアの間では凄く高値で取引されているんです!』
「そうなんだ。ならこのシリーズは上手くいってるんだね。引き続き頑張っちゃお」
朱里がニコッと笑って、リルにミッカジュースを見せる。
「さっき、ミッカジュースを見て何か書いてたでしょ?何かあるの?」
『ミッカジュースは初代の『女将亭』の女将さんしか作れなくて、ミッカの木は女将さんのお墓の近くに植えられていたんですけど、その木の実を使えば作れるのではないかと考えた商人がミッカの実に手を掛けたら、木竜ケルチャの怒りに触れてしまい、世界中のミッカは実を付けなくなり花だけの木になってしまいました』
「あらら。じゃあ本当の意味で『幻のミッカジュース』になっちゃったのね。今でも生産数は少ないから幻って言われてるのに。それにしてもケルチャ何だかんだで優しい所あるんだ・・・ふふっ」
ひねくれ者のオネェなケルチャが朱里の為に世界中のミッカの木を差し押さえてしまった事に嬉しいやら可笑しいやらで朱里が口元を手で隠しながら笑って、「後で一緒に飲みましょうね」と言ってミッカジュースを戻すとリルがコクコクと頷く。
『ミッカジュース初めて飲みます!楽しみです!』
「そっか。なら良かった!」
朱里が女将亭の店を出てレストランの方へ向かうと大窯の前ではハガネが忙しそうに木の箆でピザを次々と出しては新しい物を入れてを繰り返している。
「うちのピザは人気あるんだよ。リルさんの時代のピザは人気はある?」
『プチトゥートの乗ったピザが人気あります』
「定番だよねー。チーズたっぷり乗せてベーコンとか・・・うん。後でハガネから奪いましょう」
朱里がレストランを通り抜けて後ろを振り返り、指をさす。
「これが私の『女将亭』ルーファスが私の為に建ててくれた私のお城!」
和風テイストと洋風なレトロさを足したような店。
看板には白い木とドラゴンと狼と猫と温泉鳥がシルエットで描かれて【刻狼亭】と書かれている。
ドラゴン達によって『竜の癒し木』が11本植えられ、いつの間にか白い森のような物が『女将亭』の横に出来てしまったが、一番初めに植えた木がぐんぐん伸びて今では『女将亭』を追い越してしまっている。
『外観は違いますが、『竜の癒し木』は私の知っている『女将亭』にもあります。ドラゴン達が言っていた事がようやく解りました』
「何がわかったの?」
『ドラゴン達が初代の『女将亭』は『竜の癒し木』が大きくなりすぎて駄目にしちゃったんだよね・・・って、言っていたんです。もっと木が大きくなるので私の知っている『女将亭』はこの『女将亭』の後に建てられた物だったんですね』
「ふぁっ!!!ええええっ!!!あの木まだ大きくなる気なのー!!」
リルが頷き朱里が「嫌ぁ!私のお店が木に潰されるぅ!!!」と叫んだのだった。
「ああ、この子ね。不思議と良い事には鼻が利くの」
「シュトラールはそういうとこあるよね」
朱里とリュエールが得意そうな顔をしているシュトラールを上と横から指でつんつんと突いてリルに説明するとリルがペンを動かす。
『あなた達は何歳?』
「僕らは双子だから同じ歳。6歳」
「あと2ヶ月で7歳だよ」
「私は永遠の16歳!」
「「母上・・・」」
2人に睨まれ朱里が「ううっ」と引き下がる。
「23歳・・・です。リルさんは?」
『私は21歳です』
「なら私とほぼ変わらないのね」
「2歳の差は大きいよ」
「2歳差はね・・・」
2人の息子が容赦なく朱里を攻めてくる。酷い息子達である。
朱里が2人の耳を片方ずつ引っ張るとリルが小さく笑う。
「リルさん、笑っていた方が良いよ。色々と今は混乱しているだろうけど、とりあえず私達家族を信じて1つずつ謎を解きましょう?」
『はい』
リルがコクリと頷き、朱里が「じゃあ次行ってみようか!」と元気に答えると、リュエールとシュトラールが「母上、待って」と、朱里にストップをかける。
「ミルアとナルアが泣いてる」
「母上はまず2人を泣き止ませてあげないと」
「もう。ルーファスったら何してるのかしら?」
朱里がずんずんとリビングに戻ると、ありすがミルアとナルアと同じような顔で「どうしたらいいの~」と情けない声を上げていた。
リュエールとシュトラールがミルアとナルアを抱き上げてあやし始め、ありすが「助かったし・・・」と、ガクリと項垂れる。
「ありすさん、ごめんなさいね。ルーファスは?」
「ルーっちは携帯とスマホ修理に行ったし、ネルっちは日記があるとかで取りに行ったし。うちは赤ちゃんのお世話は厳しいって思い知ったし・・・こんなんで自分の赤ちゃんと生きていけるかなぁ?」
「あはは。大丈夫ですよ。日々慣れていくものですから」
朱里がリルに手招きしてリビングを出ると、リュエールとシュトラールが「母上ずるーい」と声を出すが、朱里は「2人の面倒見ててねー」と階段を下りていく。
「リルさん、さっき『女将亭』はこんな所じゃないって言ってたでしょ?だからお店と外観も見てほしいなって」
朱里が店に降りるとリロノスが少し驚いた顔をした後で軽く頭を下げ、接客対応をしている。
店はいつも通りお客さんで賑わい、温泉鳥の5月人形バージョンプチサイズが売れていっている。3月のひな祭りから味を占めた朱里が月ごとにシリーズで売る事を決めて、3弾目になる。
6月はジューンブライドで花嫁と花婿の温泉鳥を作るつもりで、これに関しては大きいサイズも作ってハネムーンで温泉街に遊びに来た人が買っていくのでは?と、目論んでいる。
「リルさん、私のお店はどうですか?リルさんの知ってる『女将亭』とは違います?」
『温泉鳥の1桁ナンバーです!すごいです!温泉鳥マニアの間では凄く高値で取引されているんです!』
「そうなんだ。ならこのシリーズは上手くいってるんだね。引き続き頑張っちゃお」
朱里がニコッと笑って、リルにミッカジュースを見せる。
「さっき、ミッカジュースを見て何か書いてたでしょ?何かあるの?」
『ミッカジュースは初代の『女将亭』の女将さんしか作れなくて、ミッカの木は女将さんのお墓の近くに植えられていたんですけど、その木の実を使えば作れるのではないかと考えた商人がミッカの実に手を掛けたら、木竜ケルチャの怒りに触れてしまい、世界中のミッカは実を付けなくなり花だけの木になってしまいました』
「あらら。じゃあ本当の意味で『幻のミッカジュース』になっちゃったのね。今でも生産数は少ないから幻って言われてるのに。それにしてもケルチャ何だかんだで優しい所あるんだ・・・ふふっ」
ひねくれ者のオネェなケルチャが朱里の為に世界中のミッカの木を差し押さえてしまった事に嬉しいやら可笑しいやらで朱里が口元を手で隠しながら笑って、「後で一緒に飲みましょうね」と言ってミッカジュースを戻すとリルがコクコクと頷く。
『ミッカジュース初めて飲みます!楽しみです!』
「そっか。なら良かった!」
朱里が女将亭の店を出てレストランの方へ向かうと大窯の前ではハガネが忙しそうに木の箆でピザを次々と出しては新しい物を入れてを繰り返している。
「うちのピザは人気あるんだよ。リルさんの時代のピザは人気はある?」
『プチトゥートの乗ったピザが人気あります』
「定番だよねー。チーズたっぷり乗せてベーコンとか・・・うん。後でハガネから奪いましょう」
朱里がレストランを通り抜けて後ろを振り返り、指をさす。
「これが私の『女将亭』ルーファスが私の為に建ててくれた私のお城!」
和風テイストと洋風なレトロさを足したような店。
看板には白い木とドラゴンと狼と猫と温泉鳥がシルエットで描かれて【刻狼亭】と書かれている。
ドラゴン達によって『竜の癒し木』が11本植えられ、いつの間にか白い森のような物が『女将亭』の横に出来てしまったが、一番初めに植えた木がぐんぐん伸びて今では『女将亭』を追い越してしまっている。
『外観は違いますが、『竜の癒し木』は私の知っている『女将亭』にもあります。ドラゴン達が言っていた事がようやく解りました』
「何がわかったの?」
『ドラゴン達が初代の『女将亭』は『竜の癒し木』が大きくなりすぎて駄目にしちゃったんだよね・・・って、言っていたんです。もっと木が大きくなるので私の知っている『女将亭』はこの『女将亭』の後に建てられた物だったんですね』
「ふぁっ!!!ええええっ!!!あの木まだ大きくなる気なのー!!」
リルが頷き朱里が「嫌ぁ!私のお店が木に潰されるぅ!!!」と叫んだのだった。
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