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14章
トリニア家の3男
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ティルナールが生まれ、2ヶ月経ち体重も安定し始めた。
そして、ティルナールの目が生まれた時は灰色だったものが、目が見える様になるとその目の色は両目とも金色をしていた。
今まで生まれた4人の子供はオッドアイで両目とも金の目は初めてだった。
「ティルは黒髪で金目でルーファスそっくりの顔なので・・・シューちゃんよりルーファスに似るかもしれませんね」
「そうか?でも口元はアカリに似てるが?」
「あら、私こんなに可愛いぷっくりな唇かなぁ?」
「アカリはさくらんぼみたいな可愛い唇だ」
笑いながらルーファスが朱里の唇に軽く唇を当てると「ん。やはりぷっくりした可愛い唇だ」と言い朱里が頬を桜色に染めながらペシペシルーファスを叩く。
「メッです。ティルがルーファスみたいにキス魔になったら大変です」
朱里がティルナールを抱き寄せて「父上の真似はしちゃ駄目ですよー」と言い聞かせる。
ようやく自由に抱けるほどになったティルナールが可愛くて仕方がない朱里に、ルーファスは子供にメロメロな朱里が可愛いとメロメロになっている。
その為、連日の様に【刻狼亭】を抜けて産院に来るのでリュエールに「父上は仕事してください」と怒っている時の朱里の様な顔をして言われてる日々が続いている。
ミルアとナルアはティルナールを抱っこさせてもらったものの、ティルナールに泣かれてしまい、何度、抱っこしても泣くので、抱っこしたいとは言わなくなった。
恐々と抱っこするので余計に泣いてしまうという悪循環を生んでいるのだろうとルーファス達は思っているが、ミルアとナルアは赤ちゃんは泣くから怖いとなってしまっている。
リュエールはミルアとナルアを世話していた時期もあるので手慣れているし、シュトラールは何かあっても回復魔法を使えば何とかなるだろうという考えで抱くので、泣かれずに済んでいる。
「うーん・・・」
「どうしたアカリ?」
「何だか、今日はお腹が張るんですよ。腰は痛いし・・・」
「産医を呼ぶか?」
「ううん。たまに張る事はあるから大丈夫。腰が痛いのも中の子供が育ってる証拠だし」
「しかし、予定日はもうそろそろだしな・・・」
「ううーっ、このお腹いっぱい食べ過ぎて胃が痛くて圧迫されているようなお腹の張りが、一番嫌です」
朱里がうにゃうにゃと文句を言いながら、ルーファスにティルナールを手渡す。
ティルナールは朱里より少し早めに退院になり、今日は初めて家に行く事になっている。
「ティル~っ、やっぱり退院は私と一緒の方が・・・」
「アカリが退院する時はお腹の子供と一緒にだ」
「ううーっ、ティルぅー・・・」
「仕方がない番だな」
朱里の頭を撫でながらルーファスが「また明日来るからな」とおでこにキスを落として出て行こうとすると朱里が手を伸ばして「ティルー」とまだ騒いでいた。
「あ」
朱里が一言発して手を伸ばしたまま固まる。
ルーファスが少し怪訝な顔をすると、朱里がオロっとする。
「今、お腹の中でパツンって音が・・・多分、破水します・・・」
「え?直ぐに産医を呼ぶ!」
「あ、あ、ティルを抱えたまま走らないでー!」
「ああ、ティルはどうすればいい?!」
「あわわ、ティル下さい!ティルー!」
朱里とルーファスがおたおたとやり取りをしながら、ルーファスが朱里にティルナールを任せると病室を出ていき産医を呼び、再びティルナールをルーファスに渡して朱里が「ううーっ」と唸りながら破水の後で陣痛が始まり、痛い時と痛くない時の落差でひんひん泣き言を言っていた。
「ふふっ、ティルも他の兄弟と離れたくないんですよ。私と一緒に退院ですよ?」
「いや、ティルは家に連れて帰ってハガネに面倒を見てもらうんだぞ?」
「そんなぁー・・・ルーファスずるいです!」
「いや、オレはアカリの側に居るからな?」
「ううーっ、絶対ですよ?抜け駆け禁止ですよ?」
「あー・・・アカリ、痛さで支離滅裂になっているから少し休もうな?」
朱里自身も既に1分前に話したことなどポンっと抜ける程に同じことを繰り返して言っては「ううーっ」と唸っている。
連絡を受けてハガネがティルナールを受け取りに来ると朱里に「ハガネのおにぎりが食べたい・・・っ」としがみ付かれ、ハガネが「その状態で食えるか?」と少し困った顔をして、【刻狼亭】の調理場でおにぎりを一口サイズで作って再び戻ると、メソメソしながら朱里がおにぎりを食べて「お母さん・・・」と泣き始めるしで、ハガネも頭をポリポリとかく。
「アカリ、弱音吐いてたら出産持たねぇぞ。飯食ったら元気出せ。アカリは7人の母ちゃんになるんだろ?」
「はい・・・。ぐすっ」
出産時の恥は掻き捨て・・・旅の恥はとは言うが、出産時だって、痛さとメンタルで何を言おうとノーカンだと朱里は後に語っている。
ありすやフリウーラも「出産時は罵詈雑言言おうとノーカンだよね」と「あるある」と賛同を受ける程度には出産時はそんなものなのである。
朱里が6人目と7人目を産んだのはそれから3時間経った夕方で、男の子と女の子だった。
ようやくティルナールが2000gに2ヶ月掛かってなったのに対し、生まれた子供達は2100gずつでティルナールと変わらない体重をしていた。
そして、ティルナールの目が生まれた時は灰色だったものが、目が見える様になるとその目の色は両目とも金色をしていた。
今まで生まれた4人の子供はオッドアイで両目とも金の目は初めてだった。
「ティルは黒髪で金目でルーファスそっくりの顔なので・・・シューちゃんよりルーファスに似るかもしれませんね」
「そうか?でも口元はアカリに似てるが?」
「あら、私こんなに可愛いぷっくりな唇かなぁ?」
「アカリはさくらんぼみたいな可愛い唇だ」
笑いながらルーファスが朱里の唇に軽く唇を当てると「ん。やはりぷっくりした可愛い唇だ」と言い朱里が頬を桜色に染めながらペシペシルーファスを叩く。
「メッです。ティルがルーファスみたいにキス魔になったら大変です」
朱里がティルナールを抱き寄せて「父上の真似はしちゃ駄目ですよー」と言い聞かせる。
ようやく自由に抱けるほどになったティルナールが可愛くて仕方がない朱里に、ルーファスは子供にメロメロな朱里が可愛いとメロメロになっている。
その為、連日の様に【刻狼亭】を抜けて産院に来るのでリュエールに「父上は仕事してください」と怒っている時の朱里の様な顔をして言われてる日々が続いている。
ミルアとナルアはティルナールを抱っこさせてもらったものの、ティルナールに泣かれてしまい、何度、抱っこしても泣くので、抱っこしたいとは言わなくなった。
恐々と抱っこするので余計に泣いてしまうという悪循環を生んでいるのだろうとルーファス達は思っているが、ミルアとナルアは赤ちゃんは泣くから怖いとなってしまっている。
リュエールはミルアとナルアを世話していた時期もあるので手慣れているし、シュトラールは何かあっても回復魔法を使えば何とかなるだろうという考えで抱くので、泣かれずに済んでいる。
「うーん・・・」
「どうしたアカリ?」
「何だか、今日はお腹が張るんですよ。腰は痛いし・・・」
「産医を呼ぶか?」
「ううん。たまに張る事はあるから大丈夫。腰が痛いのも中の子供が育ってる証拠だし」
「しかし、予定日はもうそろそろだしな・・・」
「ううーっ、このお腹いっぱい食べ過ぎて胃が痛くて圧迫されているようなお腹の張りが、一番嫌です」
朱里がうにゃうにゃと文句を言いながら、ルーファスにティルナールを手渡す。
ティルナールは朱里より少し早めに退院になり、今日は初めて家に行く事になっている。
「ティル~っ、やっぱり退院は私と一緒の方が・・・」
「アカリが退院する時はお腹の子供と一緒にだ」
「ううーっ、ティルぅー・・・」
「仕方がない番だな」
朱里の頭を撫でながらルーファスが「また明日来るからな」とおでこにキスを落として出て行こうとすると朱里が手を伸ばして「ティルー」とまだ騒いでいた。
「あ」
朱里が一言発して手を伸ばしたまま固まる。
ルーファスが少し怪訝な顔をすると、朱里がオロっとする。
「今、お腹の中でパツンって音が・・・多分、破水します・・・」
「え?直ぐに産医を呼ぶ!」
「あ、あ、ティルを抱えたまま走らないでー!」
「ああ、ティルはどうすればいい?!」
「あわわ、ティル下さい!ティルー!」
朱里とルーファスがおたおたとやり取りをしながら、ルーファスが朱里にティルナールを任せると病室を出ていき産医を呼び、再びティルナールをルーファスに渡して朱里が「ううーっ」と唸りながら破水の後で陣痛が始まり、痛い時と痛くない時の落差でひんひん泣き言を言っていた。
「ふふっ、ティルも他の兄弟と離れたくないんですよ。私と一緒に退院ですよ?」
「いや、ティルは家に連れて帰ってハガネに面倒を見てもらうんだぞ?」
「そんなぁー・・・ルーファスずるいです!」
「いや、オレはアカリの側に居るからな?」
「ううーっ、絶対ですよ?抜け駆け禁止ですよ?」
「あー・・・アカリ、痛さで支離滅裂になっているから少し休もうな?」
朱里自身も既に1分前に話したことなどポンっと抜ける程に同じことを繰り返して言っては「ううーっ」と唸っている。
連絡を受けてハガネがティルナールを受け取りに来ると朱里に「ハガネのおにぎりが食べたい・・・っ」としがみ付かれ、ハガネが「その状態で食えるか?」と少し困った顔をして、【刻狼亭】の調理場でおにぎりを一口サイズで作って再び戻ると、メソメソしながら朱里がおにぎりを食べて「お母さん・・・」と泣き始めるしで、ハガネも頭をポリポリとかく。
「アカリ、弱音吐いてたら出産持たねぇぞ。飯食ったら元気出せ。アカリは7人の母ちゃんになるんだろ?」
「はい・・・。ぐすっ」
出産時の恥は掻き捨て・・・旅の恥はとは言うが、出産時だって、痛さとメンタルで何を言おうとノーカンだと朱里は後に語っている。
ありすやフリウーラも「出産時は罵詈雑言言おうとノーカンだよね」と「あるある」と賛同を受ける程度には出産時はそんなものなのである。
朱里が6人目と7人目を産んだのはそれから3時間経った夕方で、男の子と女の子だった。
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